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アメリカで買った「コンバースのスニーカー、税関で没収される」は全くのデマではなかった

2013年12月20日 00時13分 JST | 更新 2013年12月20日 00時13分 JST
Paul Archuleta via Getty Images
HOLLYWOOD, CA - MAY 30: Actress Dawn Olivieri (Shoe Detail) visits Helen Bernstein High School for the Environmental Media Association at Helen Bernstein High School on May 30, 2013 in Hollywood, California. (Photo by Paul Archuleta/FilmMagic)

米国で買った「コンバース」のスニーカー 「税関」で没収されるってホント?

「アメリカで買ったスニーカーを日本に持ち帰ると、税関で没収される」。こんな都市伝説めいた話を聞いたことがないだろうか。この話、米コンバース社製品に限っては、全くのデマとも言い切れないようだ。

たとえば、米国ヤマト運輸のサイトを見てみると、アメリカから日本に送れないモノの例として、「ワシントン条約に抵触する素材の商品」などと並んで、「コンバースの靴はお取り扱いできません」と書いてある。

「コンバース」といえば若者に人気の靴ブランドだが、なぜこのような扱いをされているのだろうか。実際、米コンバース製の靴が税関で没収される可能性はあるのだろうか。岩永利彦弁護士に聞いた。

●「商標」がネックになっている

「この件の背景には、コンバースのブランド(商標)をめぐる問題があります」

岩永弁護士はこう切り出した。どんな問題なのだろうか?

「まず、商標の原則から説明します。

商標は各国ごとに保護されるものですので、アメリカでの正規品であっても、日本の商標権者の許諾のない製品の輸入は、商標権侵害となります」

つまり、アメリカの正規品であっても、日本に持ち込もうとすれば、日本で商標権を持っている人の許可が必要ということだ。どうして、そんなややこしい制度になっているのだろうか?

「この制度は、商標権者を保護すると同時に、消費者が偽造品や海賊品をつかませられないようにするという『消費者保護』の側面があります。

ただ、昨今のグローバル化した取引の現状から見て、この原則を貫くと、逆に消費者の保護にならない場合もあります」

岩永弁護士はこのように述べ、実際には「正規品の並行輸入」が認められている場合があると指摘する。それはどんな場合だろうか?

「正規品の並行輸入が商標権侵害とならないのは、以下の条件のいずれにも該当する場合です。法律用語で、難解と思われるかもしれませんが、そのまま列挙してみます。

(1)当該商標が、外国における商標権者、または当該商標権者から使用許諾を受けた者により、適法に付されている

(2)当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが、同一人であるか、または法律的もしくは経済的に同一人と同視し得るような関係であることにより、当該商標が、我が国の登録商標と同一の出所を表示している

(3)我が国の商標権者が、直接的にまたは間接的に、当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから、当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが、当該登録商標の保証する品質において、実質的に差異がないと評価される

以上は、平成15年2月27日の最高裁判決が示した条件で、これらをすべて満たす必要があるのです」

ざっくりというと、(1)その並行輸入品が外国で適法に売られている、(2)外国の商標権を持っている会社と日本の商標権を持っている会社が同じ会社だといえる、(3)日本の商品と並行輸入品の間に品質的な違いがない。という3つがポイントとなるようだ。

岩永弁護士は、「これらの条件は、商標の機能から必須の条件と言え、妥当なものと考えます」と指摘する。

●コンバースブランドを持っている企業は日米でバラバラ

それでは、なぜ「コンバースだけ」が問題になるのだろうか?

「問題は、日米で商標権を持つ企業がバラバラなことです。

日本でのコンバース商標の権利者は、伊藤忠商事のようです。他方、アメリカでの権利者は、米コンバースのようですが、これは現在ナイキ傘下となっております。

また、伊藤忠商事などがコンバース商品の並行輸入業者を訴えた平成22年4月27日の知財高裁の判決では、伊藤忠商事と米コンバース社の間には実質的な同一性がないと判断されています。

つまり、上記の(2)の条件に当てはまらないので、並行輸入が商標権侵害になってしまうのです」

そうなると、個人で買ってきた場合も、没収されてしまうのだろうか?

「商標権侵害は、業として(商売として)の使用におよぶだけですので、個人利用のため一足二足買って帰るくらいなら、税関で没収されることはないと思います。

しかし、それ以上持ち帰ると、ヤフオクなどでの転売目的、つまり業として、と捉えられることもあると思いますので、没収されることもあるでしょう」

つまり、個人での持ち込みは、個人レベルで利用するならOKだが、転売目的だとダメだということだ。同じブランドとして世界で販売しているのに、ずいぶんと分かりにくい気がするが……。

岩永弁護士は「消費者視点からは、なかなか納得いかない結論ですが、日米でブランド権利者が別々であることが問題の本質です。ここは伊藤忠商事さんにぜひ頑張っていただき、米コンバース社そのものをナイキから買い取って、この問題を解決していただきたいと思います」と期待していた。

【追記】この問題に言及している知財高裁の判決について補足しました。(12月19日17時26分)

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【取材協力弁護士】

岩永 利彦(いわなが・としひこ)弁護士

ネット等のIT系やモノ作り系の技術法務、知的財産権の問題に詳しい。

メーカーでのエンジニア、法務・知財部での弁理士を経て、弁護士登録した理系弁護士。

事務所名: 岩永総合法律事務所

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