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資生堂、初の外部社長 お公家さん社風は変わるのか

2014年01月15日 23時18分 JST | 更新 2014年01月15日 23時41分 JST
時事通信社

kyokasho

資生堂が初の本格的な社長外部招聘。お公家さん社風は変わるのか?

資生堂は昨年末、前田新造会長兼社長が代表権のある会長に専念し、元日本コカ・コーラ会長の魚谷雅彦マーケティング統括顧問を社長に就任させる驚きの人事を発表した。

魚谷氏は日本コカ・コーラのトップを長く務め、地域販売会社の再編や缶コーヒー「ジョージア」のテコ入れなどで手腕を発揮した人物。資生堂は今後の成長の柱としていた海外事業で大きくつまずいており、外資トップの経験がある魚谷氏に将来を託すことになる。

前田氏は、2005年にいわゆるゴボウ抜きの大抜擢で社長に就任。分散していたブランドを集約化し、同社のシンボルマークを全面的に押し出した新ブランド「TSUBAKI」を展開したほか、積極的な海外進出を行った。

2011年には末川久幸氏に社長を譲り、前田路線が継承されるかに見えたが、海外戦略が裏目に出て業績は低迷、2013年3月期には147億円の当期損失を計上した。

末川氏は体調不良を理由に社長を退任し、前田氏が社長に復帰していたが、末川氏の辞任が引責辞任であることは誰の目にも明らかであった。また前田氏の社長復帰についても、最終的な損失処理と次のトップへの橋渡しであるという見方がもっぱらであった。

この見方はやはり正しかったようで、米子会社であるベアエッセンシャル社の損失処理が一段落したところで魚谷氏へのバトンタッチとなった。これら一連の人事には、同社創業一族である福原義春名誉会長の意向が大きく影響しているともいわれる。

同社が苦戦している最大の原因は、縮小が続く国内事業をカバーするはずだった海外事業の業績が低迷していることである。1800億円もの資金を投じて買収した米ベアエッセンシャル社の売上げが思うように伸びず、業績拡大に寄与しなかった。また反日運動の影響から資生堂ブランドでの中国展開も足踏み状態となっている。すでに同社の売上げの半分は海外事業で生み出されていることを考えると、海外事業の立て直しは必須の状況といえる。

資生堂は明治5年創業の老舗企業で、かつては国内で圧倒的なブランド力を持っていた。百貨店などを通じた化粧品の対面販売が中心だった時代には、徹底的に教育された「美容部員」と呼ばれる女性が店頭に立ち、化粧品を売りまくった。著名タレントを起用した大量のテレビCMを流していることもあり、エンタテインメント業界への影響力も絶大であった。

業界での圧倒的な立場を反映してか、社風はおっとりとしたもので、子弟の入社も多いといわれていた。本格的に外部から社長を招聘するのは創業以来初めてのことになる。

他の業界と同様、化粧品の販売チャネルも、対面から量販店やネット通販に変わり、市場環境は大きく変わっている。今後はマーケティングがさらに重要になるとともに、海外市場の展開が成長のカギとなっている。

魚谷氏は2013年4月から同社のマーケティング顧問に就任しており、ある程度は社内の状況を把握していると思われる。だが、まったくの外部起用であることに変わりはない。

こうしたケースでは、社風転換のきっかけになり会社が大きく飛躍できるか、逆に混乱が生じるかのどちらかとなる可能性が高い。

魚谷氏がどのような戦略を描くのかはまだ明らかでないが、国内市場重視に戻ってしまった場合には、長期的には縮小均衡となってしまう。資生堂が本格的に海外展開を始めた際には、典型的な内需企業のグローバル化ということで、株式市場では高く評価されていた。やはり市場は海外展開のトップランナーであることを望むだろう。マーケティングの専門家であり、かつ外資トップの経験のある魚谷氏に対しては、やはり海外事業の本格的なテコ入れを期待したいところである。

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