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東京電力の広瀬直己社長、福島分離を否定

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HIROSENAOMI
1月18日、東京電力の広瀬直己社長は、ロイターのインタビューで、同社を電力事業と福島第1原発事故に対応する事業に分割することについて、「前から主張しているように、決していいことではないと思う」と強調した。都内の東電本店で撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai) | Reuters
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東京電力<9501.T>の広瀬直己社長は18日、ロイターのインタビューで、同社を電力事業と福島第1原発事故に対応する事業に分割することについて、「前から主張しているように、決していいことではないと思う」と強調した。

新潟県の泉田裕彦知事から「株主・貸し手責任を棚上げにした」として、新再建計画を見直すべきと指摘を受けた点について、広瀬社長は「(政府から)認定をいただき、結論を出している」と述べ、見直しには応じられないとの考えを示した。

<グッド・バッド分離、士気の維持困難か>

東電は15日、政府に認定された新しい再建計画(総合特別事業計画)の中で、電力事業と事故対応組織の完全分離論について、「事故責任からの実質的な免責に他ならず、福島第一で難作業に当たる人材・士気を確保することが極めて困難になる」と否定した。

インタビューで広瀬社長は、いわゆる「グッド(電力事業)・バッド(事故対応)分離論」について、「(事故現場は)リスクを抱えており、従業員をグッドとバッドに振り分けることでモラール(志気)を維持していけるのだろうか」などと疑問を呈し、本業と事故対応を一体で取り組むべきと主張した。広瀬社長は、東電という大組織を維持することで、事故現場での従業員の放射線被ばく量に対応しながら人繰りが可能になると説明した。

<株主・貸し手責任はどこまで>

一方、分離方式を取ることで、株主責任や東電に融資した金融機関の貸し手責任を問うことが可能になるとの指摘が有識者から聞かれる。

福島事故の国会事故調委員を務めた野村修也・中央大学法科大学院教授(弁護士)は、ロイターの取材で、1)電力事業と事故処理事業に分割し、既存株主に2社の株式を持たせる、2)事故処理会社は破綻させて国が運営、従業員の処遇は公務員に準じる、3)2兆円弱の震災前融資は一定程度カット──などのプランを示した。

ただ、東電の新計画は、国会など公開の場での審議を経ずに策定。外部の声を遮断する形で、政府認定を経て初めて内容が公表された。

新計画公表の翌日、広瀬社長は新潟県の泉田知事を訪問。計画で最大の焦点となる柏崎刈羽原発の再稼動に、厳しい姿勢を取り続ける泉田知事は会談で、「モラルハザードの計画を作った。(株主・貸し手が)免責されれば、事故が起きても責任を取らなくてもいいということになり、(原発の)危険性が高まる」と、計画の内容を批判した。

広瀬社長はインタビューで、泉田知事の指摘について「われわれがモラルハザードを起こしたわけではない」と反論。その上で、「株主は(株価下落や公的資本注入に伴う希薄化リスクにより)責任を取っているのは明らか。福島の責任を果たしていくために、おカネが必要なのは事実で、そのことを考えた上で、(金融機関には)責任を取ってもらわないといけない」と述べ、株主・貸し手責任には踏み込んでいるとの認識を示した。

<福島分離、将来の可能性は否定せず>

新しい再建計画は、持ち株会社制の導入や社債市場への復帰、政府の議決権比率を50%超から3分の1強への引き下げ──などを目指す2016年度が当面の節目となる。

持ち株会社は、傘下に火力発電、送配電、小売りの3事業会社を置く一方、内部に廃炉カンパニー、原発事業、賠償・復興支援などの難しい事業を抱える。

持ち株会社制移行後にグッドとバッドの分離はないのか、との質問に広瀬社長は「グッド、バッドを反対しているのは、現場が回らない不安が理由。国のおカネがどんどんつぎ込める組織体として考えるなら、(事故対応事業は)東京電力ではないほうがやりやすいかもしれない」と語った。

社長在任中に改めて分離問題が浮上するのかどうかについて広瀬社長は「(人材や資金確保などの)懸念が解消されれば、私が社長であろうがなかろうが、変わることもあり得ると思う」と述べ、将来的な可能性に含みを残した。

(インタビュアー:浜田健太郎 斉藤真理)

[東京 18日 ロイター]

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