細川護熙氏「原発ゼロこそ最重要テーマ」 東京都知事選【会見速報】

2月9日投開票の東京都知事選に立候補を予定している元首相の細川護熙氏(76)が1月22日、東京の日本記者クラブで記者会見を開いた。発言内容は以下の通り。
猪谷千香

2月9日投開票の東京都知事選に立候補を予定している元首相の細川護熙氏(76)が1月22日、東京都庁で記者会見を開いた。発言内容は以下の通り。

【冒頭発言】

私は政治の世界を退いてから15年あまり、焼き物やったり絵を描いたりする一方で、震災後はがれきのマウンドに木を植えていく「いのちの森のプロジェクト」をやってきました。その一方で脱原発の声を挙げ続けてまいりました。半分隠居暮らしをしていたもの、都知事選に出るなどということはつい先日まで思っていませんでした。ところが各界の敬愛する方々から「ぜひあなたがやるべきだ」と背中を押され、日増しに真剣に考えるようになりました。特に脱原発の同志である小泉元総理から強いメッセージを受けて意を決した次第です。

21年前、日本新党を一人で立ち上げたときは、小舟の舳先に旗を掲げ、この指止まれで船出をしましたが、今回は本当に迷いながらです。しかし決めた以上は後戻りできません。力を尽くして、東京をさらにいい方向へ進めていかなければならないし、国のありようにも東京から注文をつけることがあればいろいろもの申していきたいと思います。

なぜ決意をしたかということですが、今の国の目指している方向、進め方に何かと危うい者を感じているからです。憲法でも安全保障でも近隣諸国との関係でも、懸念していることがいくつかあります。デフレ脱却、安倍さんはがんばっておられますが、現在の1億3千万人の人口が50年後には9千万人、100年後には江戸時代に近い3分の1の4千万人まで減ると予測されます。今までのような大量生産、大量消費、経済成長至上主義ではやっていけないのではないか。

腹いっぱいではなく、腹七分目の豊かさでよしとする抑制的なアプローチ、心豊かな幸せを感じ取れる社会を目指し、成熟社会へのパラダイム転換を図っていくことが求められていることだと思います。世界でもおそらく初めての歴史的実験になるかも知れませんが、世界が生き延びていくためには豊かな国が生活のスタイルを共存型へ変えていくしかありません。成長がすべてを変えていくという傲慢な資本主義から幸せは生まれないということを我々はもっと謙虚に学ぶべきだと思います。

私が特に心配しているのは、成長のためには原発が不可欠と言って政府が再稼働させようとしていることです。改めて強い危機感を抱き、出馬を決意するきっかけとなりました。原発リスクの深刻さは福島やチェルノブイリの例を見るまでもなく、ひとたび事故が起きれば国の存亡に関わる大事故になる可能性をはらんでいます。そのためには現在の原発依存型のエネルギー過消費型社会を180度方向転換しなければだめだと思います。

3.11がもちろん決定的な契機になりました。かつて私が不覚にも信じ込んでいた、原発が安全でクリーンという神話は完全に崩壊しました。福島4号機は大きな地震が来ても大丈夫なのか、汚染水の垂れ流しは止まっているのか、核のゴミは捨て場さえ見つからない。捨て場もないのに原発再稼働させるようなことは、あとの世代に対する犯罪的な行為だと思います。

原発がなければ日本の経済が成り立たないという人がいますが、もう2年間原発は止まったままではありませんか。もちろんそのために火力発電の燃料費など相当なコストを海外に払っているわけですが、今までの無責任態勢によって天文学的なコストがかかっている。それが見えない形で税金として国民の負担にされて、原子力のコストが安いというごまかしとウソがまかり通ってきました。原発の安全性の問題、核のゴミのことを考えたら、原発がいかに割に合わないかは明白です。

同じコストをかけるなら自然エネルギーにかける方がよほど生産的ですし、新しい技術を開発していく可能性も開けていくと思います。世界自然エネルギー産業の成長を日本に取り込んで、成長の切り札にしていく絶好の機会です。今ここで方向性を明確に打ち出さなければ、50年100年たっても原発依存から抜け出すことは不可能でしょう。再稼働にストップを賭け、自然エネルギー大国日本を世界に発信していくときだと確信しております。

この選挙は小泉さんが言っているように、原発がなくても日本は発展していけると考える人と、原発がなければ日本は発展できないと考える人のまさに戦いです。私は原発がなくても発展していけると考える人とともに、その先頭に立って戦う決意です。原発問題は都知事選の争点にふさわしくないという人がいますが、都知事の第一の任務は生命と財産を守ることです。東京から100~200キロにある浜岡、東海第二、柏崎刈羽などでも、もし事故が起こったら都民の生命、財産は壊滅的な打撃を受けます。オリンピックや消費税、TPPどころではないんです。すべてのものが吹き飛んでしまうわけですから、原発問題こそ最重要テーマであることは疑う余地がありません。

さて東京は2020年のオリンピック、パラリンピック開催地に決定しました。私は当初、大震災後、仮設住宅に30万人近くの人たちがおられることを思いますと、原発事故後の復旧、復興にまだめどがつかない状態下で、オリンピック、パラリンピックに諸手をあげて賛成する気持ちになれませんでした。しかし開催が決まったからには、2020年を新しい東京、新しい日本の建設にとって絶好の目標年にできると思い直し、むしろ開催を歓迎し、これを新しい日本をつくるチャンスとしてとらえるべきとの気持ちに変わりました。

ちょうど20年前、私は総理就任後最初の所信表明演説で、質の高い実のある国家、質実国家をめざすと政権の旗印として掲げました。大量生産、大量消費、大量廃棄の経済や生活を転換する必要性を痛感していたからです。大震災、原発事故を経てこのような方向性は今こそ決定的になったと感じています。オリンピック、パラリンピック開催を大きな目標に日本の経済や生活を変えていく。首都である東京はその先頭を走ってそのお手本になりたいと思っています。

脱原発社会は我々に地産地消の自然エネルギー普及とともに、地産地消の自然エネルギー普及とともに、経済活動や日常生活の電力消費の無駄の節減を要請しています。私は原発に頼らない東京を実現するため、公的部門、民間の自然エネルギー発電を促し、一方で電力消費節減に都民の協力を求め、省エネ技術開発を促進していきたいと思います。

災い転じて福となすという言葉がありますが、大震災、原発事故は日本を変え、東京を変えるまたとない機会にしなければ成りません。東京オリンピック、パラリンピックでは、協議、文化、環境の分野でさまざまな形で東北の皆さんに協力して頂き、その実質は東京・東北オリンピック、パラリンピックのようにできないものかとも考えています。

私の世代は結果的に原発を容認、推進してきました。その世代の責任を感じるとともに、国の最高責任者としての責任があります。それは小泉さんも同じです。その不明の責任を感じ、何としても我々世代の最後の仕事として、新しい経済、新しい生活の展望を開いていきたい。原発ゼロの具体的な取り組みについては東京エネルギー戦略会議というものを立ち上げ、脱原発のエネルギー基本計画を立てていきたいと思います。

私は東京の景観にも強い関心を持っております。防災上の観点からも情緒あふれる水と緑を実現したいと思いますし、日本橋の上の首都高速を排除したり、あるいは可能な路面電車の復活も考えていきたいと思っています。

今、世界は文明史の折り返し点に立っています。環境や資源の有限性の壁に直面して、経済や生活の転換が迫られているのです。福島原発事故は転換に着手しない我々への緊急警報ではなかったでしょうか。東京には誰が知事に選ばれても取り組まなければならない緊急で共通の課題があります。大地震にそなえた帰宅困難者対策、耐震化の問題、密集した木造住宅の不燃化など防災対策、高齢者、障害者福祉、子育て支援、幼児教育充実など。これらについては民間や都庁職員の皆さんが知恵を絞って取り組んでこられました。これらのうち継承すべきものは継承し発展的に受け継ぎ、確かな成果を上げていきたい。

一方、国でも都でもできなかったこともたくさんあります。岩盤規制と言われる、各種既得権に阻まれてきた医療、介護、子育て、教育などの規制改革を強力に進めていきたいと思います。既存の政党勢力と結びついた人にはおそらく難しい課題でしょう。私は何のしがらみもありません。恐れるものもありません。既得権との戦いこそ私に最も期待されることではないかと思います。私は思案の上、私のすべてを東京の新しい方向付けに捧げる決意をしました。それはまた日本の新しい方向となるはずです。

今回の決意の背景には、20年前の政権担当で、必ずしも皆さんのご期待に添う政治の実現に取り組めなかったという深い反省もあります。借入金問題については、10年かけて全部お返ししたと国会で誠意をもってご説明させていただきました。しかし残念ながら野党の方々にご理解頂けず、国会が空転することとなり、国民生活に関わる予算の成立を遅らすわけにいかず、総理をやめるということでけじめをつけました。私の不徳のために多くの皆さんの失望を招いたことは、この20年間、1日とも私の脳裏を離れたことはありません。

このところ晩節を汚すなと多くの忠告を頂きました。確かに逃げる方が楽であることは間違い有りません。しかし日本の存亡に関わるときであり、志を同じくする人が立候補しない以上、私が一身の毀誉褒貶(きよほうへん)を顧みるときではないと考え、あえて多くの人の要請に応え、出馬の決意を固めた次第です。東京が世界の多くの首都に先駆けて文明史的な転換をなしとげ、新しい経済と生活の新しい形態について明るい展望を開く機会と私は確信しております。

立つ以上は最善を尽くします。誇りを持って名誉をなげうつことを潔しとする、私はこの戦いにすべてをかけて戦おうと考えております。

【主な質疑応答】

Q 事務所にご自身の書かれた掛け軸があるが、なぜ「桶狭間」なのか

A 私、事務所に行ってないんです(笑)。まことに鮮やかな戦い、芸術的な勝利だったということで、若い頃から非常に強い関心を持っていた。ときどき書いているが、それを事務所の人が掲げたということでしょう。

Q 政治とカネの問題について。政治家に政治と金の疑惑が持ち上がったとき政治家はどうあるべきか。猪瀬知事の5千万円と、細川さんが首相を辞任する景気となった1億円の借り入れ問題が非常に似ているとの指摘があるが、どう受け止めるか。国会で説明を尽くしてきたとのことだが、1億円の問題やNTT株の問題、疑問は残っているが説明責任を果たすおつもりはあるか。

A 全体的なことについて。佐川の問題は熊本の古い家の修復、東京の宿舎マンション購入のため、30年以上前に東京佐川から1億円借り入れまして、10年かけて返済しました。1億円を返していないのではないかと追求されましたが、湯河原の土地・建物を1億円で抵当権を設定し、借入金も完済して抵当権を抹消されております。完済の事実は根抵当権が抹消されている登記簿謄本や、東京佐川急便を吸収して当時利害関係がない佐川急便東京支社から提出された同社の社印が押された借入金が完済されたとする回答書からも明らかであります。

これは国会等でもご指摘がありました。誠心誠意ご説明させていただきましたが、しかし残念ながら完済し担保も抹消されたため、保管の必要がなくなった借入金の領収書等が事務所の移転によって見つからず、野党から執拗に返済していないのではないかと追及を受けることになったので、こうした個人的な問題で国会が空転して、国民生活に重大な予算が成立しないという状況でありましたために、空転を解消して予算を成立させるため総理の職を辞したのであります。

また辞任後も引き続き誠意を持って説明を尽くさせていただきました。衆参予算委員会だけで21回、130時間以上、入手した資料はすべてお出ししています。

似通っているというのは裏献金ということですか?

Q まず借入金という説明、また多額にも関わらず現金で金融機関を通さずやりとりしていること、いずれも猪瀬さんの場合は知事選の1カ月前、細川さんの場合は(熊本県)知事選の4カ月前。猪瀬さんも借用書を出されたが、いずれも資料の日付や印鑑など不備があると指摘されてものを証拠資料としていることが似ているが。

A 先ほども申し上げた資料で明白だと思います。十分だと思います。当時の東京佐川の貸付金台帳からも返済の事実は明らかです。追及された自民党の方も、東京佐川の口座に私名義の振り込み記録がある旨が述べられております。

それから、二転三転しているということ。それはね、そういうことはないのでありまして、とにかく古い話でありますから、こちらもその当時すでに10年たっている。国会でお尋ねがあるので、資料を探してお答えするわけですから、二転三転でなくて後から新しい事実関係が積み重なっていったわけです。国会の議事録からも明らかです。

説明責任は今果たしますよ。

Q まず1億円の関係で言いますと、国会の説明では、元金と利子については毎年暮れに分割払いをしたと行っていて、最後に辞任するときに「利子については佐川側に政治献金扱いにしてもらっていた」と言っています。しかし辞任前年末(1993年末)の段階で、元秘書が「利子の扱いについては細川事務所に説明している」とのことだったんですけど、これは国会答弁が変わっていることになるんですが、そもそも認識がなかったのかどうなのかについて疑念があります。

またNTT株については、義父の取引だったと説明しているが、そもそも株の売却益がなぜ細川事務所の口座に振り込まれていたのか。

A まず政治献金として処理した資料ですね。東京佐川側から政治献金するという話があったので、利息が私個人が支払ったこととして佐川側が利息支払いを受けた。佐川側から金銭を受け取ることなく利息と同額の政治献金を受け取った形とする。私の口座から政治団体の口座に佐川側からの政治献金としてお金を移動させたと。それから…

Q それが辞任まで説明がなかった。長い間国会論戦していたのだが

A いや、説明していますよ。

Q 政治献金として利子を扱ったという説明は最後にしています

A そのこともご説明したと思いますよ。15年ぐらい前の話ですからね、私も定かではありませんが、何回もそのことは聞かれたように思いますが。もう1回議事録を、大抵のことは話していますからね。

Q 辞任の時にそのことは明らかになったのですが

A そうですか。それはのちほどまたよく調べてみます。それからNTT株の売却益。そのときから申し上げているように、義父の取引で、配当金も義父が受領して、相続税も納付されておりますから、義父の取引だったことは明らか。法律上も税制上も何ら問題はない。

Q それが細川事務所の口座に入っていたのはなぜか

A それはですね、えー、私はよく覚えておりませんが、NTT株を順次売却していく中で、売却代金について小切手が任意団体の口座で換金されて、ただちに義父に渡ったこともあったと聞いております。ただ、義父の取引であったことは明らかなので。

Q 先ほどからお手元に書面があって、質問に対して見るようなそぶりですが、どなたがお作りになったのか

A 特に今の借入金問題について、前の国会答弁の資料をいろいろ調べまして。齟齬があると困りますから。

Q 小泉氏との会談以降、だいぶ時間がたったなあという印象。今日になったのはなぜか

A だって14日に出馬表明したんですよ。1週間で事務所を立ち上げスタッフを集め政策を詰めないといけない。特に原発の問題についてうかつなことはいえない。借入金問題もいろいろ資料探し回って、問題ないように。昔の答弁と違ったなんて言われたらまた問題になっちゃいますから。ギリギリ間に合ったんです。

Q 原発政策について。都知事としてどういう権限を行使して、どういう姿を有権者に示していくのか。具体的に

A ひとつはエネルギー戦略会議(仮称)。できるだけ早く立ち上げないと。再稼働の問題がありますから、間髪を入れずに立ち上げて対応を考えなければならない。

Q 舛添さんも宇都宮さんも脱原発は話している。具体的な中身の討論会のチャンスはあったが、全員が出そろった共同会見や討論会はなかった。今後、公の場で討議、議論の場に参加するつもりはあるか

A さあ、議論する場というものがあるか知らないが、いろいろ申し込みが来ているが、議論するのはあまりどうなのかなあと。司会者から横並びに説明するという場には出ていく。そこで議論しても話にならない方もたぶんあるので。

Q エネルギー戦略会議は具体的にどのようなことを話すのか。2020年までに再生エネルギーを20%に持っていきたいと。今は4%。残りの16%を世界の最新技術を取り入れていきたいとのことだが、どんな技術を取り入れるのか。

A 今、とにかく原発はいちばん高いエネルギー、非常に遅れたエネルギーということは世界の潮流。いつまでも原発にしがみつくことは日本が取り残されていく基本的な要素。一日も早く再生可能、分散型エネルギーに変えて行かなくては。それには再稼働をやめて原発即ゼロという方向に、当然廃炉に何十年もかかるわけですけど、そういう方向をはっきりさせないと、新生エネルギーも再生エネルギーも立ち上がってこない。そういうロードマップをつくる。

それからおそらく政府も再稼働する方向で動くが、その対策を検討する。たとえば、これはおかしな話だと思うけど、今度の選挙は原発が争点ではないという人がいる。それならば、来年の統一地方選も前に原発即ゼロの国民投票やっていただくことだってあるかもしれない。

Q 東電の株主として道筋をつけると?

A そうですね。東電にもいろいろ物を申し上げて行きたいと思っております。

Q 世界の再生エネルギーについては?

A ドイツとかオーストリアとか先進的なところはいろいろあります。もうすでに自然エネルギー・再生可能エネルギーで20〜30%というところもあるわけですね。そういう先進的な技術を取り入れて、立ち上げていくようにしきたい。

Q 首相在任中に原発について問題視してなかったと思いますが、いつから「脱原発」になったのか?

A 私も参院議員のときは、エネルギー特別委員長だったことがあるんです。数ヶ月だったと思いますが。(原発を)視察にいたこともありますが「クリーンで安全だ」という説明を信じておりました。不明を恥じるばかりです。

最初はイギリスのセラフィールドの原発事故のテレビのドキュメントを見たんですね。大変な放射能を北極海周辺にばらまいて、農業も漁業もダメになったと。そこに日本の六カ所村からも核のゴミが持ち込まれて処理されていると。

「これはいかん」ということで、六カ所村のことをいろいろ調べました。そしたら放射能に汚染された水が流れて、しかも60kmのところに濃度の濃い排水が流れていて、数千カ所ですけど、継ぎ目がものすごくあるんですね。もし地震があったらどういうことになるんだろう。科学技術庁に問い合わせたりいろいろいたしました。しかし「グルグル巻きにしてあるから大丈夫だろう」と。そんなことはないだろうと思ったけど。それが第一ですね。

それから「六ケ所村ラプソディー」にもだいぶ啓発されました。原発に関するものは多く見ております。3.11の前からそうした意識を持っておりまして、3.11が決定的になりました。

Q 小泉元総理とはいつから脱原発で意見交換するようになったのか。

A 最初は10月21日だったかな。それが最初です。彼は彼でいろいろ喋っていたし、私もあちこちで喋ったり書いたりしていた。しかし会って話したのは初めて。彼がオンカロもドイツも見に行ったというので、話を聞こう、会おうと。

Q どういった印象を持ったか

A 小泉さんも「これはいかん、原発を止めなきゃ」と。非常に強い思いだった。

都知事選についてはこないだ、14日ですか。それまで私も何も言いませんし。あちらは何か言っておられたようですけど。私の方はずいぶん慎重でしたから。小泉氏がどのくらいやって頂けるか、腹を割って話してみないと分からないと、最後の最後まで腹を決めかねておりました。

Q 小泉総理との会談が最終決断に至ったのか

A そうですね。

Q 志を一緒にする人が立たないからと言っていたが、反原発を掲げる陣営はあるのにどう違うのか

A 私はどの方かよく分かりませんが、ほかの政策を並列しておられるのですが、私のように「原発ゼロ、再稼働しない」と冒頭で最優先の課題と言っておられますか?そこは私は違うんじゃないかと思います。

Q たとえば市民団体が一本化で動いたことは

A 知っております。そこが違えば違います。

Q エネルギー最大消費地の東京としては、それなりの負担も背負わなければならない。処分場の受け入れも東京が考えるべきか

A それは東京は負担をしなくてはならないと思います。黙ってるわけにはいきません。東電に対して言いますけども、応分の責任はあると思います。

Q 猪瀬知事も脱原発を実際に語らなかったが老朽化した火力発電の立て替えや東電改革などしてきた。実質的に原発に頼らない方向性を示していたが、猪瀬氏のエネルギー政策を検討したか。それに対する評価は

A 石原さんだろうと猪瀬さんだろうと、いい政策は全部受け継いで発展的にそれを継承してきたいと思います。

Q 具体的に…

A 今おっしゃった火力発電所、とてもいいことです。

Q 東電改革は

A 株主として当然、言うべきことは言っていきたいと思います。

Q 具体的に…

A 特に今のところはありません。戦略会議のようなところで検討してから、申し上げることは申し上げたいと思います。

Q 首都直下地震の防災対策に秘策があれば。少子高齢化対策についても。「国や都でもできなかった岩盤規制」改革について具体的に

A まずその…、それは当然のこと。都の方でつくっておられる防災計画がありますね。それは都の職員が非常に練り上げてつくったものですから、しっかりと、さらにメリハリつけてスピードアップして。

それから、少子高齢化、これは、たとえばこの問題についてもアクションプログラム、とてもよくできていると思いますので、そうしたものを、いいところは発展的にすべて引き継ぎたいと思います。たとえば待機児童の問題なんか言うと、任期の間にゼロにしたいという目標は持っています。

岩盤規制は、いろいろな規制とか、そうしたものを、いちばんそうしたものに知事の頃から取り組んできた経験がありますので、行革審とか、よく分かっていますから、頑固なものに対して腰を据えていきたい。

Q この分野でという案は

A それは、具体的には、いくつか候補は持っておりますが、ここで申し上げるところまでは行っておりません。

Q この選挙は結局、脱原発のワンイシューなのか

A やっぱり、原発の話は都民の生命、財産に関わる話。もし大きな事故が起こったら憲法もTPPもみんな吹き飛ぶ。どうしたってそれは命に関わる話を最優先。福島のときも東京の一部では水がでなくなり、一部では停電になった。それが都政の問題でないと言えるんですかね。それは大きな都政の問題だと思いますよ。どうしても原発の問題が優先的に、高齢者とか少子化とか岩盤規制とかいろいろありますけど、原発の話が優先的に問われるんじゃないか

Q 災害対策と同列に扱うわけではないと

A それよりも原発の事故の方がはるかに大きな影響があるわけですから、世界中にばらまいてるわけですから、世界に対して何かしないと申し訳ない

Q ということは脱原発を問う選挙だと

A 私の認識ではそうです。

Q 首相の靖国参拝にどのような見解をお持ちか

A 個人の心の問題だと思っています。今は考えておりません

Q 小泉氏も安倍首相も参拝した。それについては是とされるか、否とされるか

A 私はそのような考えは持っておりません。

Q 否とされるわけですね

A そうです。

Q それともう1点、現在…

A ただね、「否とされるか」と言われても困る。心の問題だと思います。前にも行ったことも何回もあります。ときどき行ってもいるし。でも今はいくつもりはありません。

Q 首相が行くことについてはどのように

A それはやっぱり行かれない方がいいと思います。

Q それはなぜですか。

A 国際的に、非常に、刺激する。強すぎるということですね。

Q 現在、対中外交が冷え込んでいます。打開のために都知事として中国に赴いて打開を図ろうというお考えは

A 都としてやることには限界がありますから、そこまでは考えておりませんが、近隣諸国との友好関係は将来にわたって非常に重要なことですから、そこはいつも国際的な親善を旨としていきたい。

Q 脱原発を国民運動にしたいと立候補したと聞いた。なぜ国政でなく都知事なのか。

A それは、都というものは最大の消費地であること。しかも福島から。そう言う諸々のことを考えると、東京都がいちばん原発に対して、柏崎だって浜岡だって非常にもし何か起きたら影響受けるわけですから。

Q 安倍政権が憲法改正や集団的自衛権に取り組んでいく。タカ派色が強まることが出馬の背景にあるのか

A 必ずしもそれだけじゃないんだけど、いろいろ気になることはあると申し上げました。それは国政でおやりになることだから、ここで申し上げるべきことではないと思います。

Q 野党再編について。野党の一部には細川さんの支援に回って再編が進むと考えている人もいるが、野党再編は進むとお考えか

A さあ、それは分かりません(笑)

Q 国政にももの申していくとおっしゃった。集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法、憲法改正についてご意見をはっきりと。経済の新自由主義、特に小泉氏の新自由主義的な構造改革を受け継いでいるのが安倍政権の国家戦略特区やTPP。規制緩和と重なり合うのではないか。舛添氏や安倍氏の新自由主義的な政策にも重なり合っていると聞こえた

A 戦略特区みたいなことは、いろいろダブることは当然ある。私は誰が言っていることであろうといいことはいい、悪いことは悪い、それだけの話。集団的自衛権は私は賛成ではありません。海外での武力行使は私は賛成できない。憲法をいじることも賛成ではない。前から言っています。

Q 小泉氏と見解がぶつかることはないのか

A ないでしょう。今回は脱原発ということでやっていく。ただ違うこともあるかもしれないけど、靖国や憲法がどうだとか、お互いしらない。

Q これから話すことは

A いたしません。したことありません。これからするかもしれない。でも多分、お互いすれ違うだけでしょう。

Q いま76歳。オリンピックの6年後は82歳。声が聞き取りにくい。オリンピックまで続けるつもりなのか。体力的にはいかがなのか。公開討論会は今後も参加されないのか

A 公開討論会は先ほども申し上げたように、そこでワイドショーみたいにめちゃくちゃな議論になっちゃうということは、正確な都政に対する判断をしていただくのにあまりいいことではない。ちゃんと司会者から時間を与えて頂いて、ものを申し上げるのはいくらでもやる。そこでムチャクチャな蜂の巣をつついたような議論はやりたくない。

年齢のこと。この選挙は4年間を問う話。それから先の話をすることは有権者に失礼な話だと思います。年齢のことは、年を重ねるだけで、老いることはないと。とにかく理想があれば老いることはない、何かそういう話でしたね。私はそこに付け加えたいのは、不条理に対して戦う気力があれば老いることはない。18歳でも不条理にまったく戦う意志を持たない人もいるし、90歳でも間違ったことに戦う気力を持っている人は青年だと思います。

Q 公開討論会は参加されないと

A どういう形の討論会かということです。横並びの時間があればいくらでも出ます。

Q 熊本県知事の経験を都知事にどう生かすのか

A 規模も違いますし、経験が参考になるかわかりませんけども、私の仕事に対するスタイルは、いつ、誰がどうやってどれだけのコストをかけて、いつまでにやるかが一番大事なこと。いつまでにやるかがいちばん大事。タイムリミットを切ることが一番大事と思って、(熊本県)知事の頃から職員には申し上げてきましたので、多分また同じようなことを言うんじゃないですかね。

Q 小金井市のゴミ問題が片付いていないのに原発のゴミを片付けることはできるのか

A 具体的なケースは分かりませんから、改めて。

Q 原発は50基あるけど、いずれも地域の人たちが選択している。東京は全部使うだけ。もちろん株主ではあるけど、一義的には地域の人たちが原発をどうするかを意志決定して、東京都が関与していくことが民主主義、かつて日本新党で地域主権を掲げたが、それが民主主義のルールではないか。原発なくして温暖化対策、大洪水で人の命も財産も奪われる。温暖化や気候変動に何らかの考えを持たないことは無責任ではないか

A 後の質問から答えますが、原発事故がどれだけ世界中に放射能をばらまいているか。気候変動どころの話じゃない。もちろん気候変動は大きな問題だが、同じぐらいといってもいいぐらいに大きな被害を与えている。そういう意味でとらえていかなきゃいけないと思っています。

それからもう一つは、立地地域の意志が第一じゃないかということですが、もちろん福島とか新潟と十分にお話をしていかなければ、再生エネルギー、分散型エネルギーも立地できないと思いますが、これからは自然エネルギー、再生エネルギーが地域の発展に非常に大きな力になるんだと。それはドイツでもオーストリアでも先進国はどこでもみんなそうですが、そういうことを見習っていけば。

Q 地域主権からいくと民主主義のルールを逸脱するようなアクションではないと

A はい。

Q 「殿、出番です」。ご自身の家柄や呼び名についてはどう思っているのか

A 「殿、ご乱心」と言われたりしますけど、ご乱心じゃなきゃこんな所出てきませんよ(笑)。相当なご乱心だと思います。だからそういうクセがあると家内にしょっちゅう言われています。

Q ご家族からは

A そりゃ、あんまり出て欲しくないと思っていると思いますけど、出ると言っちゃったから頑張れということですね。

Q 湯河原での生活について

A 15年ほど前に政治の仕事をやめてから、湯河原の方で、初めは焼き物やってたんですけど、この2年ぐらいはふすま絵の制作に取りかかっていまして、京都や奈良のお寺から制作を頼まれたものですから、京都の2寺に30枚くらい納めましたかねえ。薬師寺にも80枚ぐらい描かなくちゃいけないんですよ。そういう所の板戸は165cm×180cmとか、ものすごく幅広いものが多くて、3年がかりの仕事だな、と。今やっと下絵を描き終わったところです。港区の竹芝の倉庫を借りて作業していたんですけど、中断しちゃったんで、非常に弱っているところです。

Q インターネットをどうとらえているか

A まったく分かりません(笑)

Q 細川首相の頃、プロンプターを投入したり新しい風を吹かせた。都知事になられたら新しいイメージをお考えか。

A 私はまったくそういうことは不得手なので、何かいいアイデアがあったら教えてください(笑)

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