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世界中の政府当局がスマートフォンの盗難対策に困難を強いられている

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SMARTPHONE THEFT GLOBAL
Gomez and Boken families


南アフリカではクリス・プリースさん(Chris Preece)が山刀(マチェーテ)で切り付けられた

アメリカではミーガン・ボーケンさん(Megan Boken) が胸と首に二発の銃弾を受けた。

英国ではキース・スーンスさん(Keith Soons)がねじ回しで頭を刺された。

3つの国で3人の犠牲者が殺されたが狙われたものは同じ、スマートフォンだ。

「人生これからというときに若者が寒い裏通りで殺された。携帯電話ひとつのために。」とグロスターシャー州警察長官が2011年のスーンスさんの事件の後に語った。

世界中でスマートフォンの盗難件数が急増している上に、ますます凶悪化している。警察、政府当局、産業界は総力で、殺人をも厭わないこの現代の犯罪の世界的潮流に対する解決策を、緊急に進めざるを得なくなった。強盗の原因は一台何百ドルもする製品の旺盛な需要によるのだが、何百万人もの人たちがこうしたデバイスを地下鉄や歩道で不注意にも手に持ったままでいる。警察が言うように、これでは狙われて当然だ。

アメリカでは、毎年強盗事件のおよそ半数が携帯電話がらみだ。警察では専門の秘密捜査部隊を組織して、盗難電話機のブラックマーケットを崩壊させようとしている。通常のおとり捜査では、私服警官が盗品の電話を街で売りさばいているところへ他の警官が急行して売人たちを逮捕するのだ。

コロンビアでは、昨年160万台にのぼる携帯電話が盗難にあっている。政府はシリーズ物のテレビコマーシャルを作って、人々が盗品のデバイスを買う気にならないように努めている。 ある作品では、人々の手にした携帯電話から血がにじみ出て、それから画面にメッセージが出る。盗品の携帯電話を買う人たちは、この国に蔓延しているしばしば凶暴な強盗事件に直接ではなくとも手を貸している、と訴えるのだ。

ロシアでは、モスクワ警察が携帯電話の盗難を減らすために携帯デバイスを用いて辺りの携帯電話をチェック し、5m以内に盗品の番号に合致するものがないか調べている。しかしこれはSIMカードの内容を読み出してしまうので、つまり携帯電話上のデータも当局が読み出す可能性があり、個人情報保護の観点から懸念も広がっている。

韓国政府は新しい法律の議論をしている。これは、サムスンを始めとする国内 の携帯電話メーカーに新製品から「キル・スイッチ」の組み込みを義務付けるもので、これにより盗難の際に電話を使えないように変えてしまうのだという。

しかし今のところ、世界中でのこうした努力も街角の犯罪を大きく減らすには役立っていない。各国がばらばらに取組みを進めていては効果が上がらないのだ、と識者は言う。

アメリカ、オーストラリアとイギリスの無線通信事業者たちは、競合の壁を越えて、盗品となった携帯電話のブラックリストを共有しており、これらの携帯電話がこの三国内で再び使用状態になるのを防いでいる。無線通信事業者の国際組織であるGSMAも同じく、世界中の無線通信事業者が、それぞれの無線ネットワーク内で盗品の携帯電話が再び使用状態にならないように監視するためのデータベースを、運営している。

それでも多くの国では通信業者間の盗品電話に関する情報の共有はその国境を越えてまでは進んでおらず、犯罪者たちに地下売買を通じての地球規模での盗品デバイスの流通を許している。モバイル・セキュリティ会社 Lookoutによると、その年額はおよそ300億ドルの規模に上るという。

「どの国々も、自国内で問題を解決することだけを考えています。」とノキアの前セキュリティ担当役員のミカ・ラウデさん(Mika Lauhde)はワールドポストに語った。「でももし私が泥棒の立場なら、アメリカで盗んだ携帯電話がアメリカで通信業者のブラックリストに載っていようが関係ありません。南アメリカの国々に持ち込んで売り払えばいい、そこにはブラックリストの情報が渡っていないのですから。つまり、盗まれた携帯電話は地球規模で流通するのだから、その対策もグローバルでなければならないのです。」

いくつかの国々では協力体制が組まれつつある。アメリカとメキシコの両政府は2012年に二国間協定に合意し、国境を越えた 売買を抑止するため、盗品の携帯電話では通信ができなくなるようにした。アメリカが他国とこのような協定を結んだのは、これが初めてである。当時のメキシコ当局者の話によれば、この協力関係により、メキシコの麻薬密売業者たちが誘拐した犠牲者の肉親と、合衆国内で盗まれた携帯電話を用いて通信するのを、阻止できるのだ。

その同じ年、世界各国から政府当局者や警察、産業界のリーダーたちがコロンビアに集まって、盗品携帯電話の売買と戦う道筋について議論を交わした。サムスンの役員、スコットランド・ヤードやアメリカの電話業者を管理する連邦通信委員会などもこのサミットの参加者に名を連ねていた。しかしボゴタのこの会議で合意に至ったのは唯一点、この問題の解決に向けてこれから各国の当局者が協力していくということのみだった。

殺人を犯してでもスマートフォンを奪う値打ちがあるのは、場所によって大きく異なる末端価格を反映している。アメリカにおいて200ドルで売られている2年契約付きのiPhoneが、香港やブラジルでは2,000ドルで売れるのだ。そこでは輸入関税のため アップル製品の価格が高騰している。

しかし盗難された電話の行き着く先は何も香港やブラジルばかりではない。何千台という電話機がコロンビアの麻薬密売人たちの手によって南アメリカ諸国へと密輸 されている。新しくこうしたデバイスを売買する野放しに近い販路を見つけたのだ。

イギリスの警察は西ヨーロッパからアフリカ、アジアにまたがる16の国々に渡って盗まれた電話機を追跡し取り押さえた。欧州で盗まれた電話機の多くがガーナの首都であるアクラにある大賑わいの中古物市場、通称チップトゥーレインで見つかっている。

警察の高官によれば、携帯電話の盗難を防ぐことができるのは警察ではなくて産業界だという。アメリカの警察高官たちは昨年、アップルやサムスンをはじめとするスマートフォンのメーカーに対し、携帯電話が盗まれたら通話をできなくするような新しい技術の付加を要求した。ブラックマーケットでの価値を大きく下げようというのだ。

アップルとサムスンはこれに応えて昨夏、新しいセキュリティ上の機能を発表した。それによると、携帯電話が盗まれると持ち主はそのデバイスを通話できない設定にできるのだという。しかしアップルの新しい盗難防止機能が有効に働くかどうかは良く見てみる必要があるし、無線通信事業者たちはサムスンのキル・スイッチ機能の公開の邪魔をした。これは、サンフランシスコ地区のジョージ・ガスコン検事(George Gascon)によると、携帯電話の盗難保険による利益を確保するためだったという。

ニューヨーク州のエリック・シュナイダーマン(Eric Schneiderman)司法長官とロンドンのボリス・ジョンソン市長(Boris Johnson)は ガスコン検事と協力して、より厳しい盗難防止の手段を求めていく予定である。ジョンソン市長によるとロンドン市内では毎月約1万台のスマートフォンが盗難にあっているという。

「携帯電話の業界にはこの問題をもっと深刻に受け止めてもらいたい。犯罪の原動力となっている無法なスマートフォン市場をぶっ潰すためになんとか技術的な解決策を施さなければならないのだ。」とジョンソン市長はこの2013年8月に語った

そうこうしている間にも、電話機の盗難件数と関連した暴力事件は悪化する一方である。デンバーポスト紙によるとコロラド州デンバーでは、2013年を通じて盗難事件が全体として前年度より16%の減少となったが、iPhoneの盗難を見ると昨年比22%もの増加となっている。

コロンビアでは、電話機の盗難に絡んで昨年14名が殺された。これは一昨年より8人も多い。

享年25歳の弁護士フアン ギレルモ ゴメスさん(Juan Guillermo Gomez)はスマートフォンを狙われて刺殺された。2012年6月、ボゴタの近所の居酒屋から歩いて家まで帰る間の出来事だった。この殺人で2人の男が有罪となり懲役刑となった。ひとりは44歳、もう一人は39歳である。17歳の共犯者は未成年者として告発され5年の懲役となった。

それから一年以上が経ち、ゴメスを「フアンギ」と呼んで可愛がっていた母親のエミリア・オスピナさん(Emilia Ospina)はワールドポストに、息子を殺した者たちを「哀れに思う」と語った。ほんの数ドルを奪うのに夢中で犯人たちは電話機以上の物を盗んだのだ。

「フアンギのことを思うと、世界への思いに繋がるのです。そしてコロンビアのこと。明るい未来を開いてくれるはずの命が一つ失われたのですから。」インタビューで母親はこう答えた。「息子の友達は、大事な友達をひとり失ったわけだし。私もあの子を失った。そして主は、優れた弁護士を一人お迎えになられたのです。」

[(English) Translated by Gengo]

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