田母神俊雄氏「自民党は私を支持すべきだ」 都知事選前に会見【会見速報】

2月9日投開票の東京都知事選に立候補を予定している元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)が1月22日、東京の日本記者クラブで記者会見を開いた。
Taichiro Yoshino

2月9日投開票の東京都知事選に立候補を予定している元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)が1月22日、東京の日本記者クラブで記者会見を開いた。発言内容は以下の通り。

【冒頭発言】

自衛官で村山談話に反する論文を書いたということで、ガチガチじゃないかと思われていますが、本当はいい人なんです。安倍政権ができて日本もようやく再興の軌道に乗り始めたんじゃないかと思います。安倍総理は国家観、歴史観がしっかりしている人で、きちんと自分の国を守れる体制にしないといけないと考えている。都知事がこれに反する人がなったのでは、再興が難しくなる。政府と一体になっていかないといけない。安倍総理と同じ方向で努力できれば、国家再興に向けて踏み出していけるのではないか。

東京都はミュンヘンの投資会社が都市の脆弱性を発表した。東京が世界でいちばん地震、災害に危ない街だと。こういうことでは東京に対する投資も減って経済の中心にあることも難しい。幸いオリンピックもある。東京を災害に強い街にして、都民を遅滞なく救助できる体制を整える。そのためには私が自衛隊で培った経験が大いに生かせるのではないか。街の景観も美しくして外国のお客さんも迎えたいという思いで立候補いたしました。

【代表質問】

Q なぜ自分でなければならないのか簡潔に

A 冒頭で言ったように、安倍総理と知事が同じ国家観、歴史観でなければ戦後レジームからの脱却は図れない。石原(元)都知事は強い方だったが、日本の野党はどちらかというと総理の足を引っ張る側にいるんではないか。総理の右側にいてやりたいことを先に発言したりする野党があればいいのだが、都知事はそういう役割を果たしていけるのではないか。

Q 原発政策について。再稼働の是非が争点になることへの考えや、原発の是非について。

A 私は原発は十分安全性を確保しながら使っていけると思っている。まったく非科学的な議論が行われている。50年使ってきて運転中に亡くなった方は1人もいない。適切に手順を守れば亡くならない。なぜ突然やめなければならないのか。安全を軽視しているわけではない。航空自衛隊で安全管理を十分考えてきた。ではなぜ使って行くべきか。使わないと電力供給が十分できない。自然エネルギーではGDPが伸び悩む。年間4兆円の油代を使っている。本来国民の生活を豊かにするための4兆円が産油国に流れている。

Q 電力の大消費地・東京都として取り組めることはあるのではないか。使用済み核燃料の保管場所を地方に依存する現状をどう考えるか

A 東京都自体に原発が存在するわけではない。東京は恩恵に預かっている。東京は経済活動の中心。利益が上がったものが多少地方に回されるという形で還元されるのではないか。核のゴミもまったく非科学的な議論が行われている。核のゴミで日本が埋め尽くされてしまうというが、よその国はどうなのか。

柏崎刈羽で23年間の使用済み核燃料が10立方メートル。日本が核のゴミでいっぱいになるのは何億年かかる。だからこれは嘘だ。高濃度汚染水がよく問題になるが、日本の基準値が厳しすぎる。こないだNHKでやってましたけど、日本は1リットルあたり10ベクレル。アメリカは1200、ヨーロッパは1000。アメリカやヨーロッパではコーヒー作って飲んでる数字です。経産省の担当者に聞いたら、非常に非科学的な議論のなかで世界に誇れる基準にしようと決めた人がいたそうです。

Q 簡潔に東京五輪の成功とは

A 日本国民がやったね、と金メダルをたくさん獲得することも成功だが、景気が回復して災害に強い街になり、多くの人が日本にやってくるという状況になれば成功かなと。

Q 東日本大震災の影響で施設規模の縮小や東北開催を主張している方もいるが

A 東京五輪による災害対策や効果は大きい。やりながら景気も回復できる。それを福島や宮城に回せば日本全体の底上げに役立つ

Q 自衛隊による対応を前面に打ち出している。自衛隊が出てくるのはまさに震災発生時の問題。それまで行政がやるべきことがあるのでは

A 東京都知事の権限としてできることをやるべきだ。警察、消防、民間運送や食品など官民の能力を結集して即時に動ける態勢をつくるべき。大規模のときは自衛隊が動ける態勢をつくっておくべきではないか。6年前アメリカを公式訪問し、北米軍司令官が空軍大将で、フロリダのハリケーン想定をした話を聞かせてもらった。小規模な場合はアメリカも州レベルで対応するが、大規模なものは軍司令官の指揮で動く。緊急時はどういう体制にするかが決まっているから、どっと動ける。

日本は今でも官邸に大臣がぞろぞろ集まって、どういう組織にするかを相談している。その間に人がどんどん亡くなっていく。緊急事態に対しては号令さえ発せられれば誰でも動ける体制を構築しておくべきだ。そのためには自衛隊における私の経験が相当役に立つ。

Q 改めて安倍政権への評価を。靖国や特定秘密保護法、集団的自衛権など。それからアベノミクスをどう評価するか。安倍政権とどういう連携を取るか

A 集団的自衛権や特定秘密保護法は正しい方向。世界の軍の中で国際法で動けない軍は日本だけ。明文化された法律と慣習法の積み重ね。これに対して日本はネガティブリストで動くことができない。あらかじめ言われたことだけ例外的にできる。集団的自衛権もその一つ。国際標準に直していくという一つの方向だ。

特定秘密保護法は、日本でスパイが野放し(だから制定された)。情報戦では相手の情報を取ると同時にスパイを防ぐのも必要だが、防諜という作戦が日本は非常に弱い。今までは公務員から情報をそそのかしてとってもスパイが捕まらない。これが特定秘密保護法によって拘束される。野放しでない態勢ができる。日本は情報収集の態勢も非常に弱い。人を介してスパイ網を構築するのが非常に弱い。現代でもなお、スパイ大作戦を展開している。スパイ網を構築するときに履歴書に保護者について記入する欄がない。これではスパイ網に属する人にどんな背景があるのかわからない。適性調査は大きな前進。裏切るかもしれない人は排除しないといけない。

またアベノミクスは正しい方向。財政再建が先でやがて景気回復ができる、これは緊縮財政。一時的に借金を増やしても勝手に立ち直るというのが積極財政。十数年の緊縮財政に別れを告げた。世界史を見れば緊縮財政で立ち直った国はない。4月に消費税が上がって景気減速が予想されるので、都民税減税を少し考えた方がいいかなと思う。

Q 靖国神社に参拝するか

A 当然。毎月2回ほど参拝している。知事になってもかわらないだろう

Q 都知事として中国、韓国、アメリカにどういうメッセージをだすか

A 仲良くして行こうというメッセージを出すが、日本が毅然として国益を守るため言うべきことを言って仲良い関係を構築していきたい。日本の国益を失いながら関係を続けていっても意味がない。今までは外交もテクニックとして利用されているだけ。歴史認識の印籠で日本が引き下がるから使われていたが、印籠に効果がないとおもえば相手も出してこない。

Q ホームページには「思想信条を超えて」とあったので、主張はマイルドにされるのかなと思っていたが

A 思想信条で何かが差別されることがあってはいけない。オリンピックなどで皆さんの意見を聞くけど、最終的には話し合った結果としてみんなで知恵を出してみんなでやろうと。決断は最後まで一致することなんてありえないから、指揮官、都知事、総理大臣がこうしようといったらその方向で努力しなければならないんではないかなと思う。

【会場からの質問】

Q 安倍首相と歴史観や国家観は本当に一緒なのか。確かめたことはあるのか。集団的自衛権は政策であり、国家観はもっと深い問題ではないか

A 安倍総理はかつて国防軍構想を打ち出した。靖国参拝をするというのは戦後レジームからの脱却だ。日本が侵略戦争したとか残虐行為をしたとか真実ではないことを非占領国として強制されてきた。その自虐史観を乗り越えなければいけないと言われている。それは同じだと思う。私はまったく違和感を感じていない。ほとんど同じだと思っている。

Q 政治とカネの問題でどうあるべきか

A 政治とカネの問題は、政治はお金もかかるでしょうから。法に基づいて適正に集めるべきであって、法に反する形で集めたり使ったりがあってはならない。猪瀬前知事がああいう形でおやめになった直後。うちの事務所にも絶対に指弾されることがあってはならないと指示している。

Q 経済対策で、公共投資積極財政と言う一方で減税すると言う。財源はどうするのか。

A 財源は都の職員を通じて検討するが、基金は1兆5千億円を超えている。都債も4千億円まで落ちている。これに6千億円の都債を発行すれば2兆円になる。これを消費税3%増税に見合った、皆さんの所得に回る使い方をしないといけない。中小企業に勤める人たちが所得に増えるまでにはなっていない。増えるためには仕事がなければ増えない。都が仕事を作り出していけばやがて賃金が増える。都が比較的財政的に余裕があるのでできるんではないか。細部は十分検討したい。こういう問題を解決したいということしか今の時点では公約にならないのではないか

Q 都には五輪とか社会保障、福祉など課題山積。最重要の課題は何か

A やっぱり特殊出生率が低い。子供が生まれなければ明るいものにはならない。少子化、女性対策を最優先で掲げたい。なんで生まれないのか。東京では結婚年齢が高い。景気回復と同時に子供が生まれやすい、育てやすい社会に。たとえば都営アパートへの子育て世代への家賃補助とか、女性が働きたいようにしなければ。これは待機児童ゼロの方向で努力しますが、家庭で子供を育てたい人もいる。3歳ぐらいまでは、お母さんが家にいて育てられる体制を作らないといけない。

横浜市長が実証している子育てコンシェルジュ、45ー60歳女性を採用しているが、本当のニーズはフルタイム保育から時間限定まで様々。ニーズを聞くことができるシステムを横浜の制度が非常に評判がいいそうですから、東京も取り入れるとか。子供が育ちやすい状況をつくっていかなければいけないと思う。高齢化対策もあわせて実施できるんではないか。昔できたアパートマンション5階建てなら、1階にシニア世代に住んでもらって、上の会に子育て世代に住んでもらう。昔あった町内会や子ども会みたいなものをつくって、年老いても安心して住める優しい街にしたいなと思っている。

Q 細川さんの出馬表明が今日に至るまで、もたついていることをどう思うか。他の立候補予定者の原発政策についてどうみているか

A 細川さんが政策発表できなくてもたついていると言われるが、まあ、その通りだなと思います。私は福島県出身。原発事故で亡くなった人もいるし、避難している人もいる。同情を感じて、かなり勉強した。その結果、放射能が怖いというのは違うんだなと理解できた。科学的な基準で理解されないといたずらに恐怖をあおる。福島の原発の上にカラスが落ちてきたのか。チェルノブイリと同じ爆発が起きたと国民は思わされている。違う。水蒸気の爆発だ。ぜひマスコミの皆さんのも国民に知らせて欲しい。

Q 原発政策について。いま原発が東京にあっても問題ない?東京に誘致を考えてもいいのか

A 場所があって安全が確保できれば問題ないとおもうが、考えたことはない。場所が問題

Q 原発政策について。東京で利益があがった分を回せば貢献できるというお話。具体的にどのようなことをやろうと思っているのか。原発などの大規模電源は災害の影響は大きいが、防災の側面から原発の依存度をどのように考えているか

A 国が税金を集めるわけだから、国が交付金を交付する。間接的に貢献する。東京が景気が悪ければ日本中が悪い。だから景気を回復させなければならない。そのためには原発が必要だ。防災、万が一原発災害が起きたら、今後十分に検討して安全を確保しておくべきだが、それはできると思う。いま、福島周辺は放射能的に危ないかというと違う。これは放射線医学的に間違いだ。1日100万個のDNAが壊されて自動修復される。相当高いレベルの放射能を浴びないと修復不可能にならない。5ー10年後。今までの実績をみれば、まったく死なないのを危ないと言っているのではないか

Q 前都知事が進めてきた政策は道半ば。地下鉄一元化は継続するかやめるか。小中高一貫校の4・4・4制は継続か、やめたいか

A 私は、まだ十分に勉強しておりません。知事になった暁にはよく聞いて決めて行きたい。

Q 安倍総理の国家観、歴史観、アベノミクスを支持するというが、なぜか自民党は舛添氏。その点についてどうお考えなのか

A 自民党が私を支持すべきだとおっしゃいますが、その通りだと思います。安倍総理は心の中では私を支持したいと思っていると思いますが、党内事情で言えないんだと思います。

司会:時間がないのでまとめて3人どうぞ

Q 政府と一体になってと言いましたが、田母神さんが考える国、都庁職員との付き合い方は

Q ネットで一番人気。ネットの世界は右寄りが多い人が多いといわれるが、そういう支持が多いことについてどう思うか

Q 大規模災害の自衛隊中心の救援について。3。11で自衛隊は10万人動員されたが、そのどこに不満があるのか。

A まず職員、霞が関とのバランスでは、国の方針に基づいて一体になって動かなければならないと思う。ややもすると公務員叩きが流行っている。でも公務員も人間だから叩かれれば美しい心構えが出てこない。立派な仕事だってできない。よしやってやるぞ、と思っていることが大事。それは自分の上司の発言と行動によって決まる。上司への信頼こそが美しい心を前に出す。がんばってあげないといけない。がんばって部下を守る姿勢がないと東京都の組織戦略は最大にならない。指揮官の行動、発言がやる気を高揚させてすばらしいサービスを提供できる。

A 次にネット人気、本当にありがたい。ネットがなかったら私なんか泡沫候補。ネットがやってる人がみんな右翼だとかそんなことはない。かなりの母数だから。

A 別に不満はないが、即時に動ける態勢がない。官邸が指示しなければ動けない。それでは困る。誰の指示がなくても即座に動ける態勢が必要ではないか。

【最後に】

自分が得をして都民が損をすることがあってはならない。さらに何かやろうとすると必ず問題が生じる。目標達成までは熱く燃えろと。自己保身のための上司がいる。そんな上司ではいけないし、そうならないし、志を高く持って国家国民のためにがんばれ、という意味で「熱く燃えろ」と。私は結構圧力に強い。これ以上小さくなることはない。

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