家入一真氏、都知事選で「既存の政治システムをハッキングして優しい革命を起こす」 ホリエモンが応援する理由とは?

起業家でネット企業役員の家入一真氏(35)が1月22日、東京都庁(新宿区)で会見を開き、2月9日に投開票が行われる都知事選への出馬を表明した。
猪谷千香

起業家でネット企業役員の家入一真氏(35)が1月22日、東京都庁(新宿区)で会見を開き、2月9日に投開票が行われる都知事選への出馬を表明した。会見には供託金を支援したライブドア元代表取締役社長の堀江貴文氏も「応援団」として参加。ネットを駆使した選挙戦を展開し、若い世代を中心に支持を訴えていくことを明らかにした。家入氏はネット事業者の「paperboy&co.」創業者として知られ、JASDAQに最年少社長として上場。数々のサービスやプロジェクトを立ち上げるなど、ネットユーザーの間で人気が高い。

■引きこもりの経験から「居場所」を作ってきた

堀江氏:まずは自己紹介を。

家入氏:21歳の時に起業して、上場しました。会社とは別の活動で、いろんな人たちの居場所を作ってきました。たとえば、いじめられて学校に行けなくなった子たちや、就活を途中でやめて、「どうしよう?」という子たち。そういう子たちが生きていく中で、ものを作ったりビジネスを作ったり、自分が本当にやるべきことを見つけられるような居場所を作ってきた。日本中にそういう子たちが安く寄り添って生きていくシェアハウスを作っています。

堀江氏:なぜ、立候補しようと思ったんですか?

家入氏:そうですね。先日、ツイッターで「1000リツイートされたら出馬する」といったら、1000リツイートされて、あとに引けなくなった感じなんですが、1000RT行くだろうとは思っていたし、本格的に決めたのは今年に入って、事前審査の締め切り1日前に決めました。

先ほどの、居場所を作っているという話ですが、僕は中2の頃にいじめにあい、引きこもりになってしまった

。18歳まで家の中で過ごしていて、ずっとインターネットをしていた。いわゆる今で言う、うつ状態、引きこもりだったのですが、今も当時の僕と同じように家から出られない、家から出ても行き場所がない子たちがいっぱいいる。そういった子が自殺をしてしまっている。僕は「なんで日本はこんなに自殺が多いのだろう?」と思うのですが、そういう質問に誰もなかなか答えることができないと思っています。

学校に行かなくなった子のフリースクールは、存在として知られていないし、結局それで自殺してしまったり、そういった子たちが多い。その中で、行政に頼らない形で自分たちで居場所を作っていくことで、お互い助け合っていく共同体を作っていこう。そういうことをしていた。それをたとえばネットを使って、もっとやれることがあるんじゃないかとか。小さな問いを自主的に国や行政に期待するんじゃなくて「俺らでやっていこうぜ」と作ってきた。

それをやってきた時に、シェアハウスは法律が厳しくなっていて、これからどんどん、厳しくなっていくこともあると思います。共同体、居場所を作っていくにしても、政治に無関心ではいられないと思ったんです。さっき言ったように、「なんで居場所がないんだろう」「なんで就活しなければいけないんだろう」ということに、答えられる大人はいない。答える政治家はいるかもしれないが、正解とは思えなくて。一人ひとりがそういう質問を持って動き始めることにこれからの東京を含めて、未来はあると思っています。

選挙は政治家のものじゃないですか。本当はもっと身近なものだったはず。でも、政治家のものになってしまっている。政治家の言っていることが僕らに刺さらないし、言っていることがよくわからない。みんなの小さな質問を集めていく中で、選挙や政治を取り戻していこうぜというのが、僕が思っていることです。

■「居場所のある街」「仕事や遊びがとことん楽しめる遊べる街」「政治に参加」

堀江氏:ではあとは、政策を。

家入氏:政策も正直、政治がよくわからないところがありますが、ざっくり作りました。3つあるんですけど、1つは「居場所のある街」東京を作っていきたい。多様性のある人達が生きていく場所をつくりたい。あとは、「仕事や遊びがとことん楽しめる遊べる街」である東京を作りたい。それから政治をもっと身近にしていく。特にインターネットを使って「政治に参加したくなる街」、そういう東京を作っていきたいと思っています。

■選挙は「ネットで24時間放送」を展開

家入氏:政治とか選挙とか、そういうものを遠いところのものにしてはいけないと思うんですよね。もっと僕らが考えて動いていかないといけない。20代、30代ですけど、(政治に)興味がない。とりあえず、(彼らが)質問を持つようにすることから始めようと考えていて、今回の選挙では面白い手法を取り入れていきたいと思っています。お金がないので街頭演説できないんですけど、24時間ずっと生放送しつづけようかと。そうしたら、違法なお金をもらったりすることはない。ネットでずっと放送していく中で、みんなで政策をつくっていく。僕らの公約みたいなハッシュタグをつくって、それぞれのトピックを集まったやつを専門家呼んで聞いて、ひとつひとつブラッシュアップしていく。これ、超すごくないですか?

堀江氏:そうですね。いいと思います。

家入氏:そんな感じで、わかりやすい言葉でいえば「民主主義2.0」ていうんですかね。ツイッターがこれだけ普及しているので、ツイッターを使ってがんがん言っていけば、偉そうにここで3つの政策を言っているよりいい。じゃあなんで原発がだめなのかという質問とか、絶対あるんですよ。たとえば、風営法ありますよね。あれも「じゃあなんで踊っちゃいけないの?」という問いに答えることができる人がいない。そういう小さな質問を集めていって政策をつくれば、超いい政策ができますよね。

既存の選挙や政治のシステムをハッキングする形で、乗りこなしていくことで、新しい動きを作っていくことができるんじゃないか。戦わない「優しい革命」を起こせればすごく面白いと思っています。

カメラの向こう側にいろんな思いを抱えて生きている若い子たちがいると思うので、そういう子たちが応援してくれれば、「クラウド選挙対策本部」じゃないですけど、すごい人数の選挙対策本部ができるんじゃないかなと思っています。それについてもいろんなアイデアがありまして、ネットを使い切って、こんな選挙の仕方ってありなの?ところまでやっていくので。

■堀江氏が家入氏を応援する「理由」とは?

堀江氏:僕からちょっと応援のコメントを。堀江と申します。都知事選を見てて「おじいさんばっかりなんでどうなの?」って思っていて、僕もいろんな人に出ないのっていわれてたんですけど、僕は1年9カ月社会にいなかったので、もうちょっと自由を満喫したくて、僕より若くて会社経営のセンスもあって、弱いものの気持ちがわかるし、実行力がなさそうに見えてある人。彼自身がいじめられっ子で、引きこもりで、そういう弱さを知っている。僕は同郷なんですけど、弱い人の気持ちが分かる人がトップにたつと、まわりに優秀な人が集まって、いい政治ができるんじゃないかと思っていて、そういう人が何人かいるんだけど、出てくれない。(家入さんが)出たそうな顔をしてたんで、アオリまくって、やっと出てくれました。金がないというので、貸しました。

でも、金を貸してくれるような仲間が彼のまわりにはいますし、こうやってこう、実はけっこう優秀なスタッフが集まっている。「泡沫」だっていう人もいるんだけど、僕は意外とそんなことはないと思っていて、若い人にとっては有力な選択肢なのかなと。正直、僕も今回の知事選で投票したい人がいなかった。若い人は特になんだかなあと思っている。世界中をみても、知事や首相は40代でなっている人が多くて、そういう若さは必要なのかあと思っています。そういう意味で、彼はこう見えて、会社を育てて上場させた実力があるので。そういう人が都の運営をやったことがない。そういう意味でも画期的かなと思います。世界に冠たる経済都市として発展すると思います。彼に期待したいと思います。今回は応援団として応援していきたいです。家入一真をぜひお願いします。

■東京オリンピックの裏で「裏リンピック」を

記者:原発問題とオリンピックについてどう思っているか?

家入氏:脱原発依存というのか、結局、大きなものに頼ってきた。国や原発に頼ってきた自分たちがいる。でも、大きなものに依存する時代じゃない。原発というものをなくしていく時に代替案を考えないといけなんだけど、自然エネルギーや太陽光などいろんな意見があったりして、細かいことが僕にはわからないので、いろんな見地から意見を吸い上げて僕がまとめればいいかなと思っています。

オリンピックについてはすごくいいと思っていて、ただ、そのタイミングで裏オリンピックを超やりたくて。僕、もともと引きこもりで体育が「1」だった。スポーツができる人の象徴としてのオリンピックがあるなら、僕らみたいなスポーツができないやつはリーダーになれなかったので、裏リンピックをやりたいと思います。

記者:堀江さんの立場は?

堀江氏:応援団です。「会見には不安だからついてきてくれ」といわれて、サポートで来ました。僕は応援したいと思っているので、ネットやマスメディア含めて家入という存在を−−僕はアンプみたいなもので−−割とまともなことをいっているんだけど、それを増幅してみなさんにお伝えしたい。年配の方は知らないじゃないですか。だから、僕は増幅器みたいなものです。

記者:具体的な目標は?

家入氏:50万、60万票いけば、供託金300万円が帰ってくるので、堀江さんにも返せるので(笑)。みんなで政策をつくっていきたいので、ある程度の数がないと説得力がないので、目指したい。

堀江氏:当選してください。

家入氏:はい。当選します。訂正です。当選します。

記者:ネットをやらない人たちへの訴えかけは?

家入氏:ネットに引き込むのが、いいんじゃないですかね。ネットをこれからやらないとだめじゃないですかね。これを機にネットに来ればいいじゃないですかね。それでもネットをやらない人は選挙ポスターや街頭演説なんですかね。あんまりやりたくないんですよね。108枚、煩悩の数だけ貼って、みんなでどこに貼られたか探しに行こうと思っています。

堀江氏:ポスター張るのもレギュレーションが厳しくて大変なんですよ。

家入氏:じゃあ、やめます。

記者:供託金の担保は?

堀江氏:担保はないです。でも、契約を結んでちゃんとしています。

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています

注目記事