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橋下徹・大阪市長が中止した「アメリカ出張」 キャンセル料をめぐる住民訴訟は妥当か

2014年01月26日 23時48分 JST
時事通信社

橋下市長「米国出張中止」のキャンセル料をめぐる「住民訴訟」 弁護士はどう見る?

橋下徹大阪市長が中止した「米国出張旅費」のキャンセル料が、公費で負担されていた問題で、このキャンセル料相当額の約69万円を橋下市長に賠償させるよう、市に対して求める住民訴訟を市民団体が起こした。

1月中旬に大阪市を訴えた市民団体「見張り番」は、橋下市長が昨年6月に予定されていた訪米視察を中止したのは、記者会見での発言をきっかけに「慰安婦は必要だった」という自説を展開したり、在日米軍司令官に対して「海兵隊のためにもっと日本の風俗を活用して」と発言したことが原因だと主張。こうした行為は「事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理しおよび執行する義務」(地方自治法138条の2)に違反するとして、キャンセル料を公費負担すべきでないとしている。

この一件についてはすでに住民監査請求も行われているが、昨年12月に監査委員が「(橋下市長の発言は)明らかに違法性があるとまではいいきれない」と判断、請求を棄却した。住民団体側はこの結果を不服とし、司法判断を仰ぐことにしたという。

住民監査請求の棄却や今回の提訴について、行政訴訟の専門家はどう見ているのだろうか。湯川二朗弁護士に聞いた。

●監査請求は、市民感覚として「極めて当然」

「大阪市民の監査請求は、橋下市長の発言が極めて不適切であった結果、海外出張キャンセル料が生じたのだから、それを公費負担としたのは不当であるというものです。

これは、市民として極めて当然の請求だと思います」

湯川弁護士は、今回の住民監査請求について、このように話す。

住民監査請求とは、地方自治体のトップが違法もしくは不当に財産管理を怠る事実が認められるとき、その自治体の監査委員に「必要な措置を講ずべきこと」を求めることだ(地方自治法242条1項)。

しかし今回、市民の監査請求は、大阪市の監査委員によってしりぞけられた。この結果について、湯川弁護士は「市民感覚としては釈然としませんが、法律的にはそういう判断もあり得る」と分析する。どうしてだろうか?

「今回の橋下市長の言動は、誰か特定の個人・団体の名誉を棄損したわけでもなく、職務上の義務違反が明らかだともいえません。また、市長は政治家ですから、不法行為として法的責任を追及するのではなく、発言の当否は次回の選挙で決められるべきだ、という判断もありかと思います。

確かに住民監査請求は、違法とまでは言えないケースでも認められますが、それでも、『不当に財産管理を怠る事実』は必要です。

結局、もし橋下市長に不法行為が成立しないと判断するのであれば、監査請求を認めることも、実際問題としては難しいのです」

●裁判所の判断に弁護士も注目

だが大阪市民は、市の監査委員の判断を不服として、住民訴訟を起こした。訴訟ではどんな点がポイントとなるのだろうか?

「訴訟になっても、論点が大きく変わるわけではありません。

しかし、今度は判断する主体が『監査委員』ではなくて、『裁判所』に変わります。

橋下市長の言動は、本当に不法行為に該当しないのか。市長としての発言がどこまで、政治家個人の言論の自由として保障されるのか。

このような事案に対して、裁判所がどんな判断を下すのか、私自身も注目しているところです」

湯川弁護士はこのように述べ、議論の深まりに期待していた。

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【取材協力弁護士】

湯川 二朗(ゆかわ・じろう)弁護士

京都出身ですが、東京の大学を出て、東京で弁護士を開業しました。その後、福井に移り、さらに京都に戻って地元で弁護士をやっています。なるべくフットワーク軽く、現地に足を運ぶようにしています。

事務所名: 湯川法律事務所

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