3Dプリンタでつくる100ドルの義手、スーダン内戦の肢切断患者の希望に

1万5000の人々がスーダン内戦で手足を失った。その多くは子供たちで、患者の数は膨大だ。そんな中、ある企業が6時間ほどで製作できる安価な義肢を開発し、彼らに救いの手をさしのべようとしている。

1万5000人がスーダン内戦で手足を失った。その多くは子供たちで、患者の数は膨大だ。そんな中、ある企業が6時間ほどで製作できる安価な義肢を開発し、彼らに救いの手をさしのべようとしている。

ミック・エベリング氏(Mick Ebeling)は、Not Impossible Labsの設立者の一人だ。彼らは深刻な医療問題をクラウド化により解決しようとしている集団である。エベリング氏が、スーダンの膨大な数の肢切断患者を救いたいと思い始めたのは、2012年にTime誌に掲載された悲痛な記事を読んでからだ。その記事は、スーダンのヌバ山地に住む一人のアメリカ人医師と、彼の若い患者の一人ダニエル・オマー君を取り上げていた。

現在16歳のオマー君は2年前、家族で飼っている牛の世話をしている最中に、アントノフ爆弾によって両腕を失った。

「腕がなきゃ何もできないよ」 彼はTime誌に語った。「けんかもできないんだ。この先すごく家族に苦労をかけると思う。いっそ死ねたらよかったのに。」

アイライター(EyeWriter)」というガジェットを開発し、麻痺患者のグラフィティ・アーティストが再び絵を描くことを可能にした経験から、エベリング氏は次なる医療問題への挑戦に燃えた。

彼は、低価格で3Dプリントの義手を生産するためのチームを結成した、とBusiness Insiderは伝える。エンジニアリング企業であるインテルとPrecipartから支援を受けるチームは、南アフリカのロボハンド開発者、オーストラリア出身のMITの神経科学者などからなる。

彼らは約6時間で義手をプリントする手法を開発し、その価格は100ドルほどだ、とTime誌は伝える。

Disability Worldによると標準的な義手の価格が3000ドルから3万ドルであることを考えると、これは驚くべき発明だ。

「プロジェクト・ダニエル」の発足を決めたエベリング氏は、3Dプリンタとノートパソコン、プラスチック、それに「ダニエルの腕を作るという目標」を持ってスーダンに向かった、とビデオの中でエベリング氏は言う。

エベリング氏はオマー君の義手を作ることに成功し、そのおかげでオマー君は10代らしい自立した生活の一部を取り戻すことができた。彼は2年ぶりに自分で食事ができたのだ。

その後、エベリング氏は、地元のボランティアにプリント技術の訓練を行い、自分たちで患者を助けられるようにした。

「地元の人に使い方を教えてあげれば、僕らがいなくなってもプロジェクトがずっと続けられる」と、エベリング氏は「プロジェクト・ダニエル」のビデオで語っている。

エベリング氏の帰国後、現地では週に一つのペースで義手製作が続いており、Business Insiderによれば、オマーは現在病院で働いて他の四肢切断患者の人生を変える手助けをしているという。

「テクノロジーで人道支援」という発想に賛同し、こうした解決法に期待を寄せる方は、こちらでNot Impossibleの支援を考えてみてはいかがだろう。

[(English) Translated by Gengo]

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています

関連記事

Project Daniel Training

Sudanese Volunteers Printing $100 Limbs In 6 Hours For Local Amputees

注目記事