グーグルの決算から垣間見る、インターネット経済の近未来
ネット検索最大手の米グーグルは2014年1月30日、2013年10~12月期の決算を発表した。売上高は前年同期比17%増の168億5800万ドル(約1兆7300億 円)、 純利益は同17%増の33億7600万ドル(約3470億円)となり、売上高、利益とも過去最高となった。
グーグルの検索サービスは、インターネットの基本的なインフラとなっており、同社の決算動向はインターネット経済の動向を示す指標として注目されている。
今回の決算は、主力のネット広告事業が順調に推移した結果だが、クリック数と単価の関係に変化が見え始めている。単価の下落はこれまでと同様だが、クリック数の伸びが極めて大きくなった。スマホの普及でネットが生活インフラとしてさらに拡大するとともに、広告単価は今後も低下していく可能性が高くなってきた。
同社の収益構造は単純だ。同社が提供する検索連動広告を利用者がクリックするたびに、広告料金の一部が同社に入ってくる。売上げを決定する要因は、クリック数(利用者が広告を閲覧した回数)とクリック単価(広告料金)である。単純に考えればこの両者を掛け合わせると同社の売上げになる。
これまで同社は増収増益を続けてきた。一方、クリック数は順調に増加するものの、クリック単価は低下が進んでいた。このため一部の専門家からは、同社の収益が伸び悩むのではないかとの声も出ていた。同社のサービスはインターネット経済の基本インフラなので、同社の伸び悩みは、ネット経済の成長鈍化とイコールになる。
今回の決算は傾向としては従来と同じだが、大きな変化があった。広告単価は継続して減少しているものの、クリック数が急激に増大したのである。これによって単価減少をクリック数増加が大きく上回り、増収増益を実現した。
同社のクリック単価は2011年をピークに30%以上も下落したが、一方でクリック数は2.5倍に増加している。今四半期にいたっては前四半期に比べて30%もクリック数が増えた。
これはスマホへのシフトやデジタル・ネイティブ世代の増加によって、インターネットの裾野がさらに広がっていることを示唆している。これによってクリック数は急拡大するが、もはや汎用品と化したインターネットでの広告単価は下がる一方ということになる。
もしそうなのだとすると、この傾向は当分の間、続くことになる。紙媒体が急激な勢いで消滅している米国はともかく、日本のようにまだまだ紙媒体が中心的存在となっている国は多く、今後、これらがネットに置き換わる余地が大きいからだ。ただこのことが、すべてのネット事業社にとってバラ色の未来を意味しているのかは分からない。
インターネットの利用はさらに拡大するが、規模のメリットを追求できる事業社以外は、さらに利益を生み出すことが苦しくなってくるだろう。
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