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人工知能事業、日本が不利である最大の理由とは

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IBM WATSON
YORKTOWN HEIGHTS, NY - JANUARY 13: A general view of IBM's 'Watson' computing system at a press conference to discuss the upcoming Man V. Machine 'Jeopardy!' competition at the IBM T.J. Watson Research Center on January 13, 2011 in Yorktown Heights, New York. (Photo by Ben Hider/Getty Images) | Ben Hider via Getty Images
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人工知能の事業化が本格的にスタート。日本がこの分野で不利である最大の理由

人工知能の事業化が急ピッチで進みそうな状況になってきた。米IBMは2014年1月9日、人工知能を搭載した高性能コンピューター「ワトソン」の事業化に向け10億ドル(約1040億円)を投資すると発表し た。2000人規模の事業部門を設立し、幅広い業種への導入を目指す。

ワトソンはIBMが開発した人工知能を備えたコンピュータ。人間の会話など自然言語を理解し、膨大なデータベースから必要な情報を集め、適切な解を導き出す能力を持っている。

米国の人気クイズ番組で、人間のチャンピオンを破ったことで、その能力が世界的に知られることになった。

IBMはこれまで人工知能の開発に膨大な投資を行っており、10年以内に関連事業で100億ドルという同社の目標を達成したとしても、それほど大きな利益にはならないとの見方もある。

だが人工知能については、インターネットの登場以降、最大のイノベーションともいわれており、グーグルなどIT各社が積極的に取り組んでいる。グーグルは2014年1月27日に、英国の人工知能ソフトウェア企業であるディープマインド社を4億ドルで買収すると発表した。どの程度の利益をもたらすのかという算段とは無関係に、こうした事業化の動きは今後、一気に加速する可能性が高い。

人工知能は様々な分野での応用が期待されている。人工知能を使えば、人間は自然言語でコンピュータと対話できることになるため、ある意味ですべての分野に導入することができる。

すでに米国では薬剤師の処方や医師の問診などがスタートしているし、自動車の自動運転は、人工知能がもっとも生かされやすい分野のひとつといってよいだろう。家電や公共サービス、あるいは学校教育などあらゆる場面で人工知能は普及してくることになる。もちろん、最近商用化が進みつつあるロボットと人工知能は切ってもきれない関係にある。

米アマゾンはこのところ、無人機を使って商品を配送するサービスや、顧客が注文することを先回りして商品を出荷してしまうサービスなど、奇抜なアイデアを次々に打ち出しているが、実はこれらの背景には人工知能の存在が大きく関係しているのだ。

残念ながらこうした分野で圧倒的なリードを保っているのは米国であり、日本勢はかなり出遅れている。日本はハードウェアの製造や機器の制御など、個別の分野では優秀な技術を持っているが、ソフトウェアの開発や、各要素技術をオープンな形で統合し、新しい技術やサービスとして再構築する作業は得意としていない。だが人工知能の事業化において重要になるのは、こうした総合力なのである。

日本がこうした部分で出遅れてしまう原因のひとつに、過剰な政府の規制がある。イノベーションの進展には、経験のないことに対して「とりあえずやってみよう」というスタンスが非常に重要となる。

米国の法体系が「原則自由、状況に応じて禁止」であるのに対し、日本の法体系は「原則禁止、状況に応じて解禁」というスタンスであり、新しい事にチャレンジできないようになっている。調剤や問診の人工知能化、無人機による配送などは、現状ではまず不可能だろう。自動運転の公道実験も、道交法との関係があり、なかなか前に進まないのだ実情だ。政府の規制が厳しいことが、新しいことを拒絶する社会風習を生み出しており、さらに悪循環になっている。

日本が新興国であった時代には、よいものを安く大量生産できれば一定の競争力は確保できた。だが成熟国家となった今、そのような低付加価値な産業モデルは通用しない。アベノミクスの成長戦略では、特定産業や特定技術を財政的に支援する従来型の産業政策が基本となっている。そろそろ民間の自主的なイノベーションを促す政策に切り替える時期に来ているといってよいだろう。

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