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アラブの春「もっと早く起こるべきだった」 東京のチュニジア料理店でイスラム教徒への「おもてなし」を考える

2014年02月24日 19時19分 JST | 更新 2017年06月18日 19時09分 JST
中野渉

日本を訪れるイスラム教徒の観光客が、増えている。2020年の東京オリンピックに向けて、イスラム教徒を受け入れる環境をさらに整える必要がありそうだ。現代イスラム研究センター理事長の宮田律さん(イスラム地域研究)とともに東京・大久保のチュニジア料理店を訪ね、イスラム教徒との付き合い方について考えてみた。

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訪れたのはレストラン「ハンニバル」。オーナーシェフのジェリビ・モンデールさん(44)が迎えてくれた。

母国・北アフリカのチュニジアからパリの料理学校に留学していた1992年に日本人女性と知り合い、結婚。1998年に来日し、その後、都内に店を構えた。

モンデールさんはチュニジア料理について「地中海の食材と、オリーブやガーリックをふんだんに使います。コリアンダーなど様々なスパイスやハーブも加えます。辛くないです」と説明する。小麦粉の小さな粒「クスクス」やスープなどが運ばれてきた。ワインはチュニジア産だ。イスラム教では豚肉を食べることはご法度だが、チュニジアでは飲酒は許容されており、料理店やバーなどで飲むことができるという。この店、週末にはベリーダンスも披露されている。

チュニジアで2010年末、警察に抗議して焼身自殺した青年への同情を発端として、一連の民主化運動「アラブの春」が中東各国に波及した。エジプトなどで民主化運動が頓挫する一方、チュニジアは民主化プロセスが比較的進んでいるとされる。2014年1月、チュニジア制憲議会が、基本的人権の尊重、表現や信教の自由、男女平等を認める民主的な内容の新憲法案を承認した。

しかしモンデールさんは、「もっと早く、あと3年は早く起きるべきだった。国民はずっと我慢していた」と話す。

記者と一緒に店を訪れた宮田律さんは、「イスラムの人はなぜ日本を尊敬するのか」(新潮新書)を2013年9月に出版した。当初は日本経済新聞出版社から刊行する予定だったが、2013年1月に起きたアルジェリア人質事件の後で「読者の理解が得られない」とする同社の判断で、出版中止になった本だ。

osamu miyata

現代イスラム研究センター理事長の宮田律さん

宮田さんは、「日本では、まだまだイスラム教徒が等身大で理解されていない。怖がられてもいる。実際は心優しい人が多いのに」と嘆く。

最近は、イスラム教の戒律に沿った食べ物「ハラール」食材を出す料理店が増えてきた。だが宮田さんは「まだまだ少ない」と指摘。さらに、2020年の東京オリンピックに向けて日本を訪れるイスラム教徒が増えることは確実視されており、空港やホテルなど公共の場所でイスラム教徒が礼拝できるスペースをもっと増やすべきだと提案する。

「このレストランのように、身近なところでイスラム文化を体験することが簡単になっている。ぜひ、イスラム教徒と触れ合ってほしい」と話す。

イスラム教徒への本当の「おもてなし」が求められている。

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