津波を侮るなかれ 50cmなら成人男性8割が流される【動画】

津波が数十センチと聞くとたいしたことがないように思われがちだが、津波が50cmになると成人男性の8割が流されるという。

チリ沿岸で起きた地震の影響で、4月3日の早朝から日本各地では津波を観測しており、気象庁は海岸や川の河口付近に近づかないよう呼びかけている。

3日午後2時49分時点では、岩手県久慈市で観測された60cmの津波が最も高い。「津波が数十センチと聞くとたいしたことがないように思われがちだが、実は命に関わる危険性が高い」と港湾空港技術研究所の有川太郎・上席研究官は指摘している。実験で調べたところ、浸水の高さが約30cmでも、女性の6割が転倒したりよろけたりするというのだ。

港湾空港技術研究所は、成人男女20人に大型水槽に入ってもらい、津波と同じように水を流して立っていられるかなどを調べた。すると、約30センチで女性の6割が転倒したりよろけたりした。40センチでは女性の9割、70センチになると全員が普通に立っていられなかった。

(朝日新聞デジタル「津波の教訓-災害大国あすへの備え」より)

有川氏は2010年の日本地震学会の広報紙で、50cmの津波で成人男性の80%が流される実験結果を紹介。港湾空港技術研究所で実施された同様の実験結果が、2010年9月公開の映画『TSUNAMI』の番宣動画に収められている。

また有川氏は、2010年に発生したチリ大地震でロビンソンクルーソー島を襲った津波の事例も紹介。浸水範囲と死者が住んでいた場所をマッピングしたところ、浸水範囲ぎりぎりのところでも、死者が発生していると強調している。

四国地方整備局那賀川河川事務所によると、内閣府が東日本大震災の被害実態などをもとに分析したデータでは、津波に巻き込まれた場合、浸水深0.3m以上で死者が発生、津波浸水深1mでは死者率100%に達するという。以下に、港湾空港技術研究所で実施された、1mの津波実験の様子を紹介する(音量に注意)。

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