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小中学生向けに「福島第一原発」副読本 東電が作成へ

2014年04月15日 15時57分 JST | 更新 2014年04月15日 16時10分 JST
Bloomberg via Getty Images
A Tokyo Electric Power Co. (Tepco) employee, left, wearing a protective suit and mask measures radiation as members of the media also in protective suits and masks stand in front of storage tanks for radioactive water at the Fukushima Dai-ichi nuclear power plant in Okuma, Fukushima Prefecture, Japan, on Thursday, Nov. 7, 2013. Tepco, which returned to profitability in its first-half earnings report on Oct. 31, is handling an estimated 11 trillion yen ($112 billion) cleanup of the nuclear plant wrecked by an earthquake and tsunami in 2011. Photographer: Kimimasa Mayama/Pool via Bloomberg

東京電力は4月14日、福島第一原発の廃炉や汚染水対策に関する副読本を作成する方針を明らかにした。「女性や子供にとって、分かりやすい情報提供を行うべき」という指摘にこたえたもの。2014年度内にも福島県内の小中学生を対象に配布されるというが、「東電が作ったものでは誰も信用しない」と地元首長からも疑問の声が出ているという。朝日新聞デジタルなどが報じている。

福島県いわき市であった廃炉・汚染水対策福島評議会で、東電福島復興本社の石崎芳行代表が発表した。福島県内の小中学校の教員の意見を聞き、研究者らでつくる「日本エネルギー環境教育学会」の協力で副読本をつくりたいという。東電広報によると、具体的な内容や配布の時期、規模は決まっていない。

 

会合後、松本幸英・楢葉町長は「事故を起こした本人が教育の場に入るのはどうなのか」、清水敏男・いわき市長は「東電が作ったものでは誰も信用しない」と取材に話した。

 

(朝日新聞デジタル『東電が子ども向け副読本 地元首長「誰も信用しない」』より 2014/04/14 20:54)

■日本エネルギー環境教育学会とは

東電が協力を仰ぐとする日本エネルギー環境教育学会は、国内外に向けてエネルギーや環境について、どのように教えるのかを研究している組織で、朝日新聞デジタルによると、原発の是非については「基本的に中立」(事務局)だとされている。

しかし、同学会の役員には電気事業連合会の広報部長も名を連ねており、同学会が2011年に開催した全国大会では、原発メーカーの特別顧問らが「脱原発の流れは世界でごく一部」「年間100ミリシーベルト以下の放射線は喫煙よりリスクが低い」と説明がなされる面もある。

■過去には「事実と反した記載がある」原子力の副読本も

文部科学省と資源エネルギー庁が2010年に作成した原子力発電に関する小中学生向けの副読本、「わくわく原子力ランド」と中学生用の「チャレンジ!原子力ワールド」には、「地震が起きたとしても、放射性物質がもれないよう、がんじょうに作り、守られています」、「大きな地震や津波にも耐えられる」などの表記が見られたため、2011年4月、当時の文部科学相だった髙木義明氏が、「事実と反した記載がある」として、見直す考えを明らかにしていた。

なお、「わくわく原子力ランド」や「チャレンジ!原子力ワールド」の作成には、編集委員長を務めた京都教育大学の山下宏文教授のほか、日本エネルギー環境教育学会の複数人の理事が委員として参加していた。同学会の理事で、これらの副読本の編集にも携わった小学校教諭の石川直彦先生は、原発事故の後、次のように悩んだという。

(2011年2月、石川直彦先生は)▽プルサーマルで燃料リサイクルができる▽二酸化炭素はあまり排出されない▽放射性物質が出ないよう、原子炉圧力容器や格納容器、建屋など「五重の壁」でしっかり閉じこめている、と教えた。3月に入って単元を終える際、改めて「原発で思い浮かぶ言葉」を尋ねると、「プルサーマル」や「五重の壁」など、仕組みについて理解した言葉がたくさん出るようになった。授業の前と後で出た「言葉カード」を理科室の廊下に貼っていた日に、地震が起きた。

 

「五重の壁」の安全神話が崩れたいま、先生は悩む。「原発の危険性は十分に響き渡った。問題は日本のエネルギー供給量と、電力需要のバランスをどうするのか。節電方法とともに、子どもと考え、教えていかなければ。難しい」

 
(朝日新聞デジタル「学びと震災〉節電・買い占め、教材に - 東日本大震災」より 2011/04/11 11:16)

2013年度から、中学理科には「放射線」の授業が始まった。山下宏文教授は文部科学省の新学習指導要領のページにコラムを寄せ、原子力発電所の事故が、教育でも放射線や原発をしっかり扱う契機になったとする海外での事例を紹介し、次のように述べている。

(放射線や原子力発電の)学習は原子力発電を擁護するための学習ではない。しかし、否定するための学習でもない。将来のエネルギー選択に対して、必要な知識や情報を提供するというスタンスである。エネルギーを選択するのは教育ではなく、将来の市民でなければならない。



(放射線教育支援サイト"らでぃ"「 コラム:エネルギー環境教育において「原子力」や「放射線」の扱いは避けて通れない!」より )

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