キャロライン・ケネディ大使が福島を訪問 地元の米・野菜でランチ サッカー日本代表専属シェフが調理

キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使が福島県を訪れ、福島第一原子力発電所などを視察した。視察前には福島産のコメや野菜を使った昼食も食べた。昼食を調理したのはサッカー日本代表専属シェフだった。
東京電力

キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使は5月14日、就任後初めて福島県を訪れ、福島第一原子力発電所などを視察した。視察前にケネディ大使は、福島産の米や野菜を使った昼食も食べた。昼食を調理したのはサッカー日本代表専属シェフだった。

■福島第一原発を事故後、初視察

ケネディ大使は、来日している長男のジャック・シュロスバークさんらと共に、防護服やマスクを装着して4号機の使用済み核燃料プールから燃料を取り出す作業などを視察。NHKニュースによると、1、2号機の中央制御室では、津波によって電源を失ったときの状況などについて、東電の担当者から「暗闇の中で、計器類は見えなかった。それでも作業員は、自分たちだけで冷却を継続しなければならなかった」という説明を受けたという。ケネディ大使は、事故当時に作業員たちが制御室の壁に書きなぐった原子炉の水位の文字を、興味深そうに見たという。

ケネディ駐日大使は、福島第一原発で作業員らに「廃炉作業は日本のみならず、世界にとっても大きな教訓。米国は皆さんと共にあります」と激励。さらに視察後には、作業服姿に着替えて取材に応じ、作業員に対して感謝の意を示したという。

大使は視察後、記者団に「書かれたものを読むだけでは、この課題がいかに複雑なのか、理解するのが難しかった。日々このような状況で働いている職員の皆様に心から感謝したい」と語った。

(朝日新聞デジタル「ケネディ米大使、福島第一原発を初視察 長男も同行」より 2014/05/14 23:00)

福島原発/感想を話す米大使

キャロライン・ケネディ大使 東北訪問 画像集

■福島産の米・野菜でランチ

ケネディ大使は福島第一原発視察の前に、東京電力の福島復興本社がある広野町のJヴィレッジを訪問。広野町産のコメや野菜などを使った昼食を食べたという。広野町は福島第一原発から20km圏ラインのすぐ外に位置する。

広野町によると、ケネディ氏は同原発の視察前、Jヴィレッジ(楢葉、広野町)を訪問。同施設で広野町産の米などを使った昼食を食べた。同町のコメは今年、作付けを再開した昨年を上回る耕作を予定する。遠藤智町長は「国内外での風評を払拭(ふっしょく)する機会になった」と語った。

(福島民友ニュース「ケネディ大使、第1原発視察 廃炉、汚染水で協力継続」より 2014/05/05)

15日付の福島民報によると、ケネディ大使の食べた昼食は、サッカー日本代表専属シェフの、西芳照さんが調理したという。西さんは震災後も、福島でレストランを続けている。

西さんは「風評が続く中、地元の食材を食べてもらいうれしい」と話した。(編註:米や野菜などの食材を提供した)直販所組合長の新妻良平さん(55)は「農家の励みになる」と語った。(中略)新妻さんは広野町産のコシヒカリ1キロと、オリジナルの日本酒をプレゼントした。ケネディ大使は「サンキュー」と喜んでいたという。

(福島民報「来県のケネディ大使 サンキュー福島の味」より 2014/05/15)

漫画「美味しんぼ」で「福島に住んではいけない」などの描写があったことをうけ、風評被害などを懸念する声も出ていた。なお、西さんは日本代表の合宿先のアメリカにも、広野町産の米、いわき、会津産のみそを持参。ブラジルへは相馬市の市場からサバやホッケ、ウナギなどを仕入れて持ち込む予定だという。

広野町では2012年3月31日に避難指示が解除され、徐々にではあるが住民が人が戻り始めている。なかには、次世代のための産業づくりを目指して、地道に活動を続けている住民もいる。

「100年後に、町に住む人々の笑顔が思い浮かぶことを、今やらなくちゃ」

5月18日(日)には、日本財団(東京都港区)で、福島の住民らが、テレビや新聞で報道されない生の情報を届けるイベントを開催する。リアルの福島住民の声を聞きに参加してみてはいかがだろうか。

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