Huffpost Japan

ワールドカップ、会場建設で増加するホームレス【画像】

投稿日: 更新:
ARENA CORINTHIANS
5月14日、ブラジル・サンパウロで最も人気のあるサッカークラブ「コリンチャンス」は、来月開幕するW杯の開催によって、新たな本拠地を手に入れた。その一方で、近隣住民は住む家を追われたと不満をあらわにしている。写真は7日、イタケラ地区で撮影(2014年 ロイター/Nacho Doce) | Reuters
印刷

ブラジル・サンパウロで最も人気のあるサッカークラブ「コリンチャンス」は、来月開幕するワールドカップ(W杯)の開催によって、新たな本拠地を手に入れた。その一方で、スタジアムの近隣住民はW杯の影響で住む家を追われたと不満をあらわにしている。

約10億レアル(約460億円)をかけて建設された新スタジアム「アレーナ・コリンチャンス」は、開幕戦を含む6試合を開催。そのスタジアムから南に数キロ離れた地点にテント暮らしをするホームレスの住民がいる。

その数は10日間で10倍に増え、4000世帯がビニール製のテントで寝泊まりしている。彼らは、労働者階級が住む区域から追い出されたとして、公費で建設されたスタジアムに抗議の声を上げている。

Close
ブラジル ワールドカップとホームレス 画像集
/
シェア
ツイート
AD
この記事をシェア:
閉じる
現在のスライド

ブラジルのルセフ大統領は先週、同スタジアムを訪れ支援を約束。ただ、それでもテント生活者の増加には歯止めがかからず、W杯の長期的な効果に疑問を呈する住民の抗議活動は収まっていない。

ホームレス労働者を支援する団体のリーダー、ギリェルミ・ボウロスさんは、「スタジアムに何十億レアルも使うなんて馬鹿げている。ここにはシートの下で暮らす家族がいるのに」と苦言を呈し、今後さらなる抗議活動が予定されていると明らかにした。

「数年前の2倍の家賃を求められた。そして今では、3カ月前倒しでの支払いを要求されている。これでは死んでしまう」。テント暮らしの年配の女性は手を震わせながら不平を口にした。

新スタジアムの建設は、長い間見放されていたサンパウロ市東部の整備につながるはずだった。2012年のロンドン五輪では、ロンドン東部が活気を取り戻した。

しかし、ブラジルW杯の開催都市は出費を惜しむことなくスタジアム整備を急いだものの、交通整備など市民に約束した公共サービスの改善は進まず、事業の中止・延期が相次いだ。

先月の世論調査では、ブラジルのW杯開催を支持すると答えた人の割合は48%に落ち込んだ。2008年には79%が支持していた。

<整備約束>

サンパウロには市西部に6万5000人収容のスタジアムがすでにあるが、当局は新スタジアムの建設を選択。その上で、新スタジアム周辺のイタケラ地区の開発を進め、新たな商業地区やカルチャーセンターなどを含む公共サービスの整備を約束した。

ただ、そうした計画は依然として約束のままだ。唯一整備されたのは、国際サッカー連盟(FIFA)のベース地として使われる専門学校のみ。

サンパウロのナディア・カンペオン副市長はインタビューで、「少なくとも2、3年で他の施設の大半が完成すると考えている」と述べている。

それでも、当初の計画は縮小されており、病院や裁判所、警察本部、消防署などの建設地も変更された。試合当日は交通渋滞に加え、乱暴な集団として知られるコリンチャンスファンの行動も懸念されている。

<家賃高騰>

公共事業の進捗は遅れているかもしれないが、住宅市場はそうではない。

シンクタンクのFIPEによると、新スタジアム建設の影響で、新たな道路が次々に敷かれるなどしており、建設発表から1年間でイタケラ地区の住宅家賃が約2倍になった。

10年前に同地区近郊に引っ越してきたマリア・イベッチ・ドスサントス・ディアスさん(49)は、「スラム街に住む余裕もなくなった」と家賃高騰にため息を漏らす。昨年、200レアルだった家賃が350レアルに値上がりしたという。結局、娘と4人の孫らと暮らしていたディアスさんの家族もテント生活を始めた。

ディアスさんら住民は、長年にわたって空き地となっていた土地を占拠。テント生活は数百世帯から始まったが、近隣の住民が次々と流入し、丘や木の茂みにもテントが設置された。

イタケラ地区の急速な開発で、サンパウロ市全体の家賃も高騰。同市内の不動産の資産価値は2008年から3倍に膨れ上がった。

サンパウロは住宅20万戸以上が不足しているとされるが、当局者によると、イタケラ地区に建設される予定はないという。同市東部は、市の人口の3分の1が住んでいるものの、仕事は市全体の6分の1しかない。

フェルナンド・ハダジ市長は、市中心部に手ごろな家賃の住宅建設を進め、イタケラ地区などの郊外に仕事を増やそうと計画している。これは、同地区などの家賃が高騰することを意味する。

国連特別報告者で、サンパウロ大学教授のラケル・ロルニク氏は、「W杯はスポンサーや開催都市にとっては、世界にアピールするショーケースとなる。それと同時に、ブラジルが抱える社会問題に目を向けてほしいと訴える人にも絶好の機会となる」とエッセーに綴った。[サンパウロ 14日 ロイター]

(Brad Haynes記者、翻訳:野村宏之、編集:橋本俊樹)

ハフィントンポストの人気記事

Close
2014ブラジルワールドカップ開催会場
/
シェア
ツイート
AD
この記事をシェア:
閉じる
現在のスライド

訂正箇所を連絡

他のサイトの関連記事

ワールドカップ本大会、組み合わせが決定 - UEFA.com

The Official Website of the FIFA World Cup™ - FIFA.com

SAMURAI BLUE | JFA|公益財団法人日本サッカー協会

ワールドカップ観戦、高知・桂浜で 坂本龍馬さんが誘致

ブラジルW杯、開催地で反対デモ 日本戦の会場では略奪