「福島産をスケープゴートにすべきでない」美味しんぼ論争で「そばもん」最新話が無料公開

「福島産をスケープゴートにすべきでない」――。「美味しんぼ」問題を受けて、漫画「そばもん」の最新話が無料公開されている。
小学館

漫画「美味しんぼ」の表現をめぐって、福島の風評被害につながると議論を呼んだ問題に関連して、同じ小学館の雑誌で連載されている「そばもん」の最新回が無料で公開されている。期間限定で6月9日までダウンロードできる

「福島産をスケープゴートにするのでなく、データを調べた上で納得する行動を選ぶべき」と作中で主張されており、「美味しんぼ」とは大きく表現の方向性が異なっている。公開を決めたビッグコミック編集部は以下のようにブログで書いている。

震災以来、「食の安全」がいっそう叫ばれるなか、福島産の食べ物をめぐる議論はつきません。そして今、ビッグコミック連載作品『そばもん』で描かれている、会津編が話題になっています。

しかし、マンガを愛するみなさんには、一部分だけではなく、すべて読んだうえで語ってほしい......そう考えたコミスンでは、『そばもん』第134話を全文公開します。

(コミスン「【食の安全】話題のコミック全文掲載!! 福島産という名前だけで避けていませんか? 山本おさむ『そばもん ニッポン蕎麦行脚』」より 2014/05/24)

公開された作中では取材を元に、福島のそばの放射線量などを紹介しつつ、作中に登場するそば職人が同行する編集者の質問に答えながら、「福島産をその(放射能)恐怖のスケープゴートにすべきではない」などと語っている。主なセリフを引用した。

そば職人 あの原発事故では県境に関係なく放射性物質が広範囲に降ったんだ。それなら県境で区別するのは無意味だ。本当に放射能を避けたいなら県境などでなく、自分は◯◯ベクレル/kg以上は食べないと数値を挙げて言うべきだろう。

編集者 福島県産にかぎらず問題はそのごく僅かな放射性物質と健康の関係です!! それを体の中に入れても安全だと言い切れるんでしょーか!?

そば職人 残念だが絶対とは言い切れないな。と言うより、専門家の間でさえ諸説あって、ケリがついていない問題に俺達素人が一夜漬けの勉強であーだこーだと口を出しても不毛なだけだろう。

編集者 だあ〜!! それじゃ読者は納得しませんよォ〜〜〜〜

そば職人 だが「ゼロ」が計測できない以上、絶対安全を保証してくれる人はどこにもいないと思おうぜ。それは何も放射能に限った事じゃない。外に出て交通事故にあう可能性は「ゼロ」じゃないんだから、誰も「絶対安全」は保証してくれないのと同じ事だ。

そば職人 放射能と健康の問題だって、できるだけ勉強して、どの説に身を任せるか、自分で選択するしかないんだ。

(中略)

編集者 じ…じゃあ、稜さんはゼロとは言い切れないここのそばを食べるという事ですか?

そば職人 食べるよ。国の基準値の1/10以下のひとけた台の検出限界値でしかも「検出せず」だ。拒否する理由は何ひとつない。ただし、それは俺個人がそうするのであって、他人にそれを押しつけるつもりはない。他人からとやかく言われるものでもない。

そば職人 俺は国土を汚したあの事故を許すつもりも毛頭ない。そして、あいつが吐き出した放射能は怖い。だが福島産をその恐怖のスケープゴートにすべきではないと思っている。

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