朴槿恵大統領、守りの統一地方選 沈没事故で支持率上向かず

朴槿恵(パククネ)・韓国大統領の就任後初の全国的な選挙となる統一地方選が、6月4日に投開票される。比較的安定した支持を国民から得ていた朴大統領だが、4月16日に起きたセウォル号沈没事故で批判の矢面に立たされ、防戦に回る選挙が目立つ。
EPA時事, Getty Images

朴槿恵(パククネ)・韓国大統領の就任後初の全国的な選挙となる統一地方選が、6月4日に投開票される。比較的安定した支持を国民から得ていた朴大統領だが、4月16日に起きたセウォル号沈没事故で批判の矢面に立たされ、防戦に回る選挙が目立つ。結果次第では今後約4年の政権運営に大きな影響を与える可能性もある。

■荒波もろにかぶったソウル市長選

最大の焦点は、有権者数約844万人が参加する首都ソウルの市長選。セウォル号沈没事故が、選挙戦に直接影響を及ぼしたことでも注目される選挙だ。

朴槿恵大統領の与党・セヌリ党が、2002年日韓サッカー・ワールドカップ時に韓国サッカー協会の会長を務めていた鄭夢準(チョンモンジュン)氏を擁立し、野党・新政治民主連合公認の現職、朴元淳(パクウォンスン)市長に挑む構図だ。

聯合ニュースのまとめでは、鄭氏が立候補表明後に順調に支持を伸ばし、4月上旬まで各社世論調査では、両者の支持率はほぼ拮抗または鄭氏が数ポイント差でリードしていた。それが4月16日のセウォル号沈没事故で一変した。鄭氏の10代の息子が、政府に非難が集中したことを「国民が未開(野蛮)だから国家も未開」とFacebookに書き込んだことが報じられ、鄭氏が謝罪会見に追い込まれた

その後も鄭氏の妻が息子の書き込みについて「時期が悪かった」と発言したことがこれまた非難され、騒動はおさまらずに鄭氏の支持は急落。調査機関が異なるため単純な比較はできないが、直近の調査では朴氏が10ポイント以上の差で鄭氏をリードしている。まさに鄭氏はセウォル号の荒波をもろにかぶった形だ。

セウォル号事故で修学旅行中の生徒が大勢犠牲になった壇園高校は、ソウル郊外の京畿道安山市にある。京畿道の知事選も、序盤はセヌリ党候補が大差をつけてリードしていたが、セウォル号事故を境に与野党候補の支持率が拮抗している。15の道知事・主要市長選挙のうち、6つの選挙で対立候補の支持率がほぼ並んでおり、予断を許さない情勢になっている。

■首相候補も辞退で混迷続きそう

セウォル号事故で朴槿恵政権には、海洋警察の救助の遅れや、船の違法改造を黙認してきた造船業界との癒着など、遺族や国民からの批判が集中した。朴大統領は5月19日に国民向け談話を発表して海洋警察庁の解体や天下りの根絶などの方針を表明し、涙を流しながら国民に謝罪した。

混乱の責任を取って辞意を表明していた鄭烘原(チョン・ホンウォン)首相の後任に、朴大統領は安大熙・最高裁判事を指名した。しかし、弁護士時代に巨額の報酬を得ていたことが批判され、安氏は首相指名を辞退した

民間の世論調査会社「韓国ギャラップ」の調査によると、国民向け談話を「満足できる」と回答した人は44%で、「満足できない」の38%を上回った。しかし事故で急落した支持率の大幅アップにはつながっていない。朴大統領は統一地方選後にも新たな首相を指名しなければならず、選挙の結果が政局の混乱にどう影響するのか注目される。

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