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武装組織「イラク・シリア・イスラム国」とは何か? イラク北部を制圧

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ISIL
FILE - This undated file image posted on a militant website on Tuesday, Jan. 14, 2014 shows fighters from the al-Qaida-linked Islamic State of Iraq and the Levant (ISIL) marching in Raqqa, Syria. The Islamic State was originally al-Qaida's branch in Iraq, but it used Syria's civil war to vault into something more powerful. It defied orders from al-Qaida's central command and expanded its operations into Syria, ostensibly to fight to topple Assad. But it has turned mainly to conquering territory | ASSOCIATED PRESS
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風雲急を告げるイラク。「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」という名前のイスラム教過激派の武装組織が、6月10日には北部の都市モスル、11日にはティクリートを相次いで制圧して首都バグダッドに迫っている。アメリカのオバマ大統領は13日、軍事行動を含む支援策を数日以内に決める方針を示したが、イラク軍は15日になって一部拠点を奪還したが、今後の展開は未知数だ。

このISISという組織。日本での知名度は低く、これまで名前を知らなかった人も多いと思う。その内情を追ってみよう。

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■香田証生さんを拉致殺害した組織が前身

ISISの呼び名は一定でなく、報じるメディアによって「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」、もしくは「イラク・レバントのイスラム国(ISIL)」と異なっているが、この記事では前者のISISに表記を統一する。2003年のイラク戦争後、イラクで凶悪な無差別攻撃を繰り返してきた国際テロ組織「アルカイダ」の流れを汲む過激派だ。

時事ドットコムによると、ISISは2004年にイラク旅行中の香田証生さんを拉致殺害した「イラクの聖戦アルカイダ組織」出身者らで構成される。かつて「イラク・イスラム国」を名乗ったが、シリア情勢が混乱に陥った2011年以降、シリアでの影響力を行使を画策して「イラク・シリア・イスラム国」と名称変更したという。シリア内戦の泥沼化に伴って、急速に勢力を拡大してきた。国際ジャーナリストの木村正人さんは、次のように指摘する。

イラクとシリアにカリフ(イスラム社会の最高指導者に率いられた)国家を建設しようという目標もわかりやすい。ISILは北アフリカや湾岸諸国など中東や欧米諸国からシリアに流れ込んだ戦士をどんどん吸収していく。

(木村正人のロンドンでつぶやいたろう『ビンラディンの後継者 「イラク・レバントのイスラム国」の人・武器・資金集め』2014/06/13 )

■第2のビンラディンか?リーダーのバグダディ容疑者とは

ISISを率いるアブ・バクル・アル・バグダディ容疑者は、絶大な力を持つにもかかわらず、その人物像はほとんど明らかではない。アメリカ政府は、同容疑者の拘束につながる情報提供に対して、約10億2000万円の懸賞金をかけているにも関わらず情報が出てこないのだ。

ロイターによると、バグダディ容疑者は1971年、イラクのサマラ出身。バグダッド大学でイスラム学を学び、学位を取得。アルカイダ系組織の構成員として戦闘に加わった後、2010年にアルカイダ系組織「イラク・イスラム国」の指導者に就いた。彼の目的はビンラディン氏と同じくイスラム国家の樹立にあるという。

支持者らにとって、バグダディ容疑者は、ビンラディン容疑者が夢見たイスラム国家樹立を実現しようとする新世代の過激派を代表する人物だと映るようだ。「バグダディ師とオサマ師は似ていると思う。2人とも常に先を見ていて、イスラム国家の樹立を求めている」と、あるシリア人のISIL構成員は話す。

(ロイター『イラクの過激派組織、指導者は第2のビンラディンか 「邪魔者は殺せ」』2014/06/12)

■イラク政府軍の弱体化の背景に宗派対立か

しかし、政府軍が過激派に総崩れになったのはなぜか。背景には、シーア派のマリキ政権が抱える宗派・民族対立があるようだ。イラク人の信じるイスラム教はシーア派が人口の60%、スンニ派が20%を占める。かつてのフセイン政権時代はスンニ派が優遇されてきた経緯がある。

その反動として、イラク戦争後にマリキ首相が政権樹立後、出身母体のシーア派を優遇したことが宗派対立を深めて、国軍が弱体化する結果になったようだ。毎日新聞は、こう報じている。

マリキ氏は06年の首相就任直後はスンニ派との融和を目指し、ISILの前身組織の弱体化にも成功した。だが11年の米軍撤退後、軍や主要官庁の高官をシーア派で独占するなど独善的な政権運営が目立った。政権は12年末以降に起きたスンニ派住民の抗議デモを強制排除するなど強硬に対応。不満を抱いた一部スンニ派は過激化し、ISILに協力する部族勢力も出てきた。一方、政権はキルクークなど油田地帯の石油利権を巡る配分でクルド人とも対立し、緊張関係が続いている。

(毎日新聞「イラク:宗派・民族間の分断加速 国家分裂の恐れも」2014/06/14 21:49)

イラクから米軍が完全撤退してから3年半を経た今、隣国のシリア同様に内戦の泥沼へと突入するのか。中東情勢はしばらく目が離せない状態となっている。

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