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男性2人が東京・青山で「自分たちらしい」ウェディング 進化する同性カップルの結婚式 【LGBT】

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自分たちらしい結婚式を挙げた西田卓矢さん(右)と菱沼聖哉さん | Packychong Song
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白い邸宅にグリーンが鮮やかなガーデン。東京・青山にある瀟洒な結婚式場「青山迎賓館」で6月、あるカップルが結婚式を挙げた。バージンロードに登場したのは、2人の男性。西田卓矢さんと菱沼聖哉さんだ。家族や親しい友人たちが見守る中、一歩一歩バージンロードを進んで向かい合い、お互いのタイを結びあって、永遠の愛を誓った。

日本ではまだ法的に認められていない同性婚だが、近年、自分たちらしい結婚式を挙げるLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の人たちが目立つようになってきた。西田さんと菱沼さんの、もうひとつの「ジューン・ブライド」の物語。そこに秘められた思いとは?

■パートナーの病名を教えてもらえない日本の同性カップル

西田さんは、アロマキャンドルのブランドなどを展開する「DEICA JAPAN」の代表を務めるビジネスパーソン。菱沼さんは青山学院大学の3年生だ。親子のように年が離れている上、男性同士の彼らがなぜ、「結婚」まで至ったのだろうか?

きっかけは、西田さんの友人で、オリジナルウェディングなど結婚式にこだわりのある人に向けた結婚情報誌「ゼクシィPremier」(リクルートマーケティングパートナーズ)の小林隆子編集長と話したことだった。「ゼクシィPremier」は、前身の「ゼクシィAnhelo」時代から、同性カップルの結婚式の取材も続けていた。「結婚」に対してまったく関心のなかった菱沼さんと西田さんだったが、気軽に「自分たちも結婚しちゃおうか?」と決定、結婚式と披露宴の準備をスタートした。

「でも、そんな軽い気持ちでうまくいくはずがなく、ちょっとした口論が増えてけんかになったり、時には何日か別居して距離をおいたり。結婚どころか、2人の関係が壊れる寸前までいきました」とふりかえる菱沼さん。しかし、そうした危機を乗り越えるごとに、「結婚」や「パートナー」について、真剣に考えるようになり、「お互いが人生最良にして最後のパートナーである」との答えにたどりついたという。

そして、菱沼さんの背中を押したのが、日本でまだ「同性婚」が法的に整備されていないことだった。西田さんは以前のパートナーを病気で亡くしていた。パートナーの入退院に付き添っていた西田さんだったが、法的な関係は「他人」であるため、医師から病名を告げられることもなかった。パートナーの家族にも自分たちの関係やその最期の言葉を伝えることができなかったのだ。

「僕も万が一、卓矢さんに何かあった時、『家族』ではないので面会したくても集中治療室に入れません。LGBT当事者でも、パートナー名義のマンションに一緒に住んでいて、パートナーが亡くなったら住み続けることはできなかったり、財産として残してもらったりすることが難しいことを知らない人が少なくない」

現在、世界各国で同性婚の法制化が進んでいるが、「先進国であるにも関わらず日本ではまだ、同性愛者に対して、異性愛者と同等の権利を保障するという議論すら始まっていないです」と菱沼さんは指摘する。

「でも、昨年は東京ディズニーランドで女性同士のカップルが初めて挙式したことが話題になりました。日本における同性婚の法制化につなげようという革新的で勇気あるものだったと思います。私たちの結婚も、互いに永遠の愛を誓い、余生を共に過ごす決意表明として、異性愛者のカップルと同じように経験したいと純粋に思うからこその決断です。私たちの結婚は、LGBTであっても人として同じ愛の形を表すことができることを示す、先駆的な役割になるものと信じています」

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結婚式では、お互いのタイを結びあった。 撮影:PACKYCHONG SONG

■「ゼクシィPremier」が同性カップルの結婚式を取材する理由

西田さんと菱沼さんの「結婚」のきっかけを作った「ゼクシィPremier」の小林編集長は、こう語る。

「西田さんから『男性同士の結婚式は日本でできないの?』と疑問をぶつけられて、ホテルや結婚式会場に聞いてみると、同性同士の結婚式でもウエルカムな会場が多いことに気が付きました。同性カップルの方たちはそれを知らないし、お互い相思相愛なのにつながっていないことがわかりました」

前身の「ゼクシィAnhelo」の2012年8月号でゼクシィシリーズとしては初めて、男性同士の結婚式を紹介した。「結婚式を挙げたい同性カップルと結婚式場をつなげるには、実際に事例を紹介するのが良いと思いました。でも、こわだりを持って、オリジナルのウェディングをしたいカップルの実例の中で、当たり前のこととして載せたかった」

その理由を小林編集長はこう説明する。「話題になりたいという目的で、媒体が同性カップルを取り上げるのではなく、『みんなの前で一緒に生きていくことを誓いたいという気持ちは、同性同士でも当たり前のこと』ですので、その一例としてご紹介しました」

しかし、その反響は大きかった。会社のカスタマーセンターには、読者から「同性婚を取り上げてくださってありがとうございます。結婚式場も会場名を出してくださってありがとうございます」と感謝のメールが届いたという。「Twitterでも『当たり前の一例として、載っているのがうれしい』とコメントされました」

以来、「継続することが大事」と、毎号必ず同性カップルの結婚式の記事を掲載。2013年8月に「ゼクシィAnhelo」から「ゼクシィPremier」へ新装刊した後も、その編集方針は続いている。取材を重ねる中、同性婚に対する風向きは変わってきたのだろうか?

「いつも掲載させていただけるカップルを探しているのですが、苦労していました。でも、ここ2カ月ぐらいで情報が入るようになってきました。徐々に同性カップルの結婚式が増えているという感覚はありましたが、全国に流通する一般情報誌に載るということに対して、ポジティブに考えていただけるようになってきた気がします」と小林編集長。

「ゲイ・パレードに参加したり、人権活動をしたりするわけではないけれど、結婚式をしてみたいLGBTのカップルはいらっしゃいます。西田さんと菱沼さんは、たとえばお互いのタイを結び合うなど、従来の結婚式のパターンではなく、今後ゲイのカップルに真似してできるような演出を作られました。西田さんと菱沼さんの2人が愛する世界観にこだわった結婚式は、大きなポイントになると思います」

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「ゼクシィPremier」の小林隆子編集長

■「同性カップルの結婚式が当たり前」だと多くの人たちに思ってもらえるように

2人の結婚式に参列した小林編集長は、「招待された人たちは半分以上がストレートでしたが、みんな号泣していました。親しい人たちに祝福されながら愛を誓い合い、幸せになりたいということが純粋に伝わってきました。日本でも、こういう結婚式ができるということを一緒に伝えたいです。」

西田さんと菱沼さんの結婚式の様子は、8月23日発売の「ゼクシィPremier」に掲載される。

「同性カップルの結婚式は、同性カップルの方向けと思われがちですが、ストレートの方も含めて、多くの方に見て頂きたいです。ストレートの方が多数を占めている中で、『同性カップルの結婚式も当たり前だよね』と思っていただけることが大事なのではないでしょうか」

菱沼さんは結婚式直後に、Twitterにこう記した。

今回挙式に至るまで色々悩んで本当にやるか躊躇して、最後の最後に揺れたりもしていつの間にか当日を迎えた時、式場のドアが開いた瞬間号泣してしまいました笑
これを機に同性同士で「結婚」したいという人が増えたら素敵だなぁと思います。

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