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「親の家を片づける」核家族化が生んだ新しい問題とは

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核家族化が進んで、老人の一人暮らしが増えている。体を壊して生活が難しくなり、介護施設に入居したり子供の家に引っ越すケースも多いが、その際に問題になるのは、押し入れや引き出しの中に親がためこんだ山のような荷物だ。思い出の品を処分していいのか、途方に暮れる人も多い。

そうした悩みに答える解説本「親の家を片づける」シリーズも売れ行きが好調だという。解説本を担当した編集者に「親の家を片づける」際に気をつけるべきことと、この本が誕生した経緯を聞いた。

■「自分の体験がきっかけだった」

「親の家を片づける」は、50代からの女性雑誌「ゆうゆう」2012年2月号の特集記事がきっかけになって生まれた。「悩んでいたのは自分だけではなかった」と、大きな反響が寄せられて「ゆうゆう」では定期的に掲載される人気コーナーとなった。

2013年5月には単行本化、2014年8月現在で計3冊が出版される人気シリーズとなった。累計部数は約12万部。「ゆうゆう」の元編集長で、単行本の編集を手がけた古戸郷子(ふると・きょうこ)さんは「もともと自分の親の家を片づけたことがきっかけだったんです」と話す。

「両親を一旦自宅の近くに呼び寄せて、さらにそのあとグループホームに入れることになり、2回にわたって、親の家の荷物を片づけていたんですが、どれを捨てていいか分からずに途方に暮れてしまったことがあったんです。そのときに、たまたま身近に同じことをやっている人がいて、実家が遠くて一人で通って片づけたりとか、親と同居するために家を片づけた人がいたんです。それで『あ、自分だけじゃないんだ』ということが分かって、誰もが抱えている問題なんじゃないかと思ったんです」

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「親の家を片づける」の特集記事(「ゆうゆう」2012年2月号より)

■「苦労をしているのは私だけじゃなかった」という反響が続々

「親の家の片づけ」は、古戸さんが特集を組むまでメディアが取り上げないテーマだったという。古戸さんはその理由について、以下のように振り返る。

「『私はこんなに大変だ』って人に対してなかなか言えないんですよ。それぞれの家の問題として、粛々として片づけている人がたくさんいて、本当はいるんだけど、お互い知らないまま。それが、雑誌で特集を組むなかで『実は私も』という声がどんどん寄せられて、そういう問題があるってことが大きく知られるようになったんです。

一人一人は体験していても、子供の受験とかと一緒で、一過性の問題と見られがちなんです。ただ、大変なのは確かで、『異常に疲れた』ということで親への恨みや、自分に押しつけたきょうだいへの恨みなどで、心に残ってしまう。でも、個人的な問題なので他人には言いづらい。家族の中でも奥さん一人で頑張ってしまうケースが多くて、家族が関わってないことがあるんですよね。一人で暗い家を黙々と片づけるという体験だけが残ります。

そこに本が出たことで、読者の肩をポンポンと叩いてあげて『あなた、実はやってない?』『実はそうなのよ』といった感じになったんです。『こんなに苦労をしているのは私だけじゃなかった』という反響が、一冊目では一番大きかったですね」

■ライフスタイルの変化が生んだ「新しい問題」

古戸さんは親の家の片づけは、核家族化が進んだことにより誰もが直面しうる問題だと話す。

「今の『団塊の世代』より上の世代って親と代々同居してたり、長男が家が継いでいたんです。それがライフスタイルの変化で、親と同居する人が減って、『一人暮らしの老人』が急増しました。人口も都市に集中したことで、親と子の住む家も離れて、親子の交流があまりできない間に、親の家にはどんどん物がたまっていってしまう。これまでになかった新しい問題なんですね。

単なる片づけのノウハウで何とかなるんじゃないか……と思われる方も多いかもしれませんが、実際にはそう簡単にはいきません。親の物を子供が片づけるということは、親子関係をもう一度見つめ直すことなんです。離れていた親と、モノを通して向き合うことになるからです。それがすごい大変なんです。でも、それはやってみるまで自覚できないし、やってから悩んでしまう人も多いんです。

■「心の負担を減らすことが大事」

古戸さんによると、シリーズ2作目はモノの処分のアイデアを詰め込んだハウツー本にするつもりだったが、実際に編集を始めてみると、それだけの話ではなくなってしまったという。

「体験者のアンケートは、とても重い内容が多かったのです。そこで家を片づけるときに、頑張りすぎない、疲れないためのコツを載せた、心の問題がとても大事だということを伝える本になりました。心の問題を自分で重くしない、ある程度軽くしていくために、いくつかのコツとか進め方を、スタートするときに親やきょうだいにきちんと話そうとか、心理面での負担をどう減らしていくかということに触れています」

親の家を片づけるには、一人で抱えこんで深刻になりすぎることなく、まずは身近な人と相談しながら進めていくことが最も大事なことのようだ。

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