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ソフトバンクのTモバイル買収断念がもたらす影響とは

2014年08月07日 18時24分 JST | 更新 2014年08月07日 18時29分 JST
Reuters

[ワシントン 6日 ロイター] - ソフトバンク<9984.T>傘下の米携帯電話3位スプリントが同4位TモバイルUS買収を断念したことで、業界内での生き残りをかけたし烈な料金引き下げ競争が勃発する可能性がある、と一部のアナリストはみている。

ムーディーズ・インベスターズ・サービスのアナリスト、マーク・ストッデン氏は「規模の面で競争できなければ、価格で競わなければならなくなる。大手4社のうちの下位2社は、市場シェア維持にますます必死となって非合理的な料金提供に踏み切り、業界の料金体系を大混乱させかねない」と述べた。

Tモバイルは、業界に対する顧客の不満を汲み取るような積極的な料金引き下げキャンペーンを展開し、今年第1・四半期に他の3社よりも多くの新規顧客を獲得したが、スプリントはこれに追随するかもしれない。

ITGインベストメント・リサーチのアナリスト、マシュー・グッドマン氏は「スプリントも同じ路線を歩み、価格面でより激しい競争を挑もうとする可能性がある。それが同社の新規顧客の伸びを再び高める効果を及ぼすこともあり得る」と話す。

ところがスプリントは同時に、ネットワーク設備更新に膨大な投資を行わなければならない。

モフェットネーサンソンのアナリスト、クレイグ・モフェット氏は、スプリントは料金を下げて他の大手と渡り合う必要がある一方で、ネットワーク設備の完備に向けた数十億ドルの投資が取りざたされていると指摘。「残念ながら、設備投資の拡大と料金引き下げの組み合わせがもたらすのは、非常に厳しい財務状況だ」と語った。

こうした中で問われるのが、スプリントの次期最高経営責任者(CEO)に就任するマルセロ・クラウレ氏の手腕だ。

クラウレ氏は、創業した携帯端末卸売会社ブライトスターをソフトバンクに売却した時点で22億ドルの価値をもつまでに大きく成長させるという経営能力を示してきた。だがスプリントの顧客流出を食い止めながら設備投資を完了させるという任務は、同氏にとってもこれまでにない試練といえる。

スプリントは来年までに顧客が利用できるような新規ネットワークの構築に向けて既に50億ドルを投じてきた。このネットワークは「スプリント・スパーク」という名称で、いくつかの周波数帯を束ねる形で超高速通信を実現、アナリストによると業界最高水準になるはずだという。

それでもスプリントのネットワークが他の大手と互角になるためにはさらなる投資が必要になる。スプリント・スパークの利用はまだ24都市に限られ、2016年までに全米100都市への普及を目指しているからだ。

クラウレ氏には、料金が割高でサービスの質が低いというスプリントのイメージを払しょくするという課題もある。

ただ、特に新ネットワーク導入に伴う市場シェア拡大のための料金引き下げは、利益率を低下させることにもなる可能性が大きい。

AT&Tとベライゾン・コミュニケーションズという上位2社は評価を確立しており、Tモバイルもこの1年でブランド力をこつこつと高めてきた。これに対してスプリントは自らの立ち位置をなかなか決められないでいる、というのがジャックドー・リサーチのジャン・ドーソン氏の見方だ。

ドーソン氏は「企業イメージが実態を反映するまでの時差は、ゆうに数年はある。もしもスプリントがパフォーマンスを改善させたとしても、人々がそれを実感するまでにはしばらく時間がかかる」としている。

(Marina Lopes記者)

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