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韓国の大学生にとって日本、そして慰安婦問題とは何なのか?【学生座談会】

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8月15日、韓国・ソウルで、日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」の様子を見て回った伊吹、庄司、小室、山下の日本人学生4人は、反日感情をむき出しにするようなデモが想像以上に少ないことに拍子抜けした。一方で休日のレジャーのような感覚で、日本の支配を記憶する施設への来場者が多いことにも驚いた

では同世代の韓国人にとって8月15日、歴史問題、中でも慰安婦問題、そして日本について、どう考えているのだろう? メモリアルデーから一夜明けた8月16日、夏休み中の韓国人学生3人に集まってもらい、この間の疑問をぶつけてみることにした。

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【韓国側参加者】
ファン・ジェホン(25、男) ソウル市立大学国際関係学科4年。日本人留学生との交流団体「日友会」のメンバー。日本留学経験あり。ただいま就職活動中。

イ・ソミョン(22、女)ソウル市立大学生命科学学科4年(大学院1年も掛け持ち)。

イ・ゴノ(19、男)ソウル市立大学国際関係学科1年。日本人留学生との交流団体「日友会」のメンバー。

【日本側参加者】
伊吹早織 国際基督教大学を2014年6月に卒業。東京都出身。学生時代はCNN日本支局やハフィントンポスト日本版などにインターンとして勤務。東京に暮らす人びとの素顔を伝えるストリートスナップサイト「TOKYO+MADE」を運営。

庄司智昭 東京学芸大学教育学部4年。秋田県出身。被災地にメディアを立ち上げる「大槌みらい新聞」などでインターン経験あり。

山下達也 神戸大学大学院国際協力研究科。兵庫県出身。専門は領土紛争、特に日韓間の竹島/独島問題に関心。将来ジャーナリストになることを志向している。

小室翔子 東京学芸大学からソウル市立大学に交換留学中。東京都出身。関心分野は在日朝鮮人問題、博物館学、ジェンダー・セクシュアリティなど。貧困問題、基地問題も関心あり。

(聞き手は主に伊吹、通訳は小室)


話し合う日韓の学生ら。左からジェホン、ソミョン、山下、小室

■反日デモ「直接行くほどではない」

――昨日の光復節は何をして過ごしていましたか?

ジェホン:光復節は基本的に休日として扱われているので、まずは両親と一緒に時間を過ごして、午後からは日韓関係についてのドキュメンタリーがMBCテレビ(3大地上波の一つ)で放映されていたので、それを見ていました。現代の韓国と日本は8月15日をどのような眼差しをもって見ているかという内容でした。学期中に住んでいる家にはテレビがないので、インターネットで見ることが多いんですが、昨日は実家に帰っていてテレビがあったので見ました。あと時々、日韓関係に関するテレビ番組を見ています。

ソミョン:理系の専攻なので、昨日は大学院の実験室で研究をしていました。いつも休日など関係なく、夜遅くまで土日も研究する日々です。

――では、昨日が光復節だってことは全然意識してなかった?

ソミョン:もちろん意識はしていて、韓国の国旗を家に立てました。韓国では、光復節とかの公休日には国旗を掲げる習慣があります。でも普通の公休日ではなくて、光復節を始めとする戦争に関する節目の日に、記念のために旗を立てることが多いです。

ゴノ:今、寮に住んでいるんですけど、2015年度から交換留学に行こうと考えているので、その計画書を作っていました。

――昨日はソウル市内のあちこちで、色々な趣旨のデモが行なわれていましたが、そういうのに参加しようとは?

ソミョン:直接参加したことはないけれど、慰安婦のおばあさんたちを支援するバッジとかブレスレットとかをつけて支援するような取り組みはやったことがあります。でも、実際にデモに参加したことはありません。

ジェホン:光復節にあわせて、セウォル号の事件とかについて政府に対して意見したり、反政府デモが行なわれたりすることはインターネットを通じて知っていましたが、反日とか、日本に対してデモをするというようなことは、インターネット上で時々見るにはみるけど、多くはないです。

ソミョン:(そういうデモは)なかなかないです。

ジェホン:「水曜デモ」と呼ばれる日本大使館前で定期的に行なわれているデモの存在は知っていましたが、8月15日だから日本に対して反対の意志を表明して集まろうみたいなデモは、そもそも最近はないと思います。たしかに保守の団体には(そういう活動をしている人が)いることはいるけれど、それもそんなに多くないです。

――私たちが朝日新聞のソウル支局長から聞いた話では、おととしの光復節は水曜日と重なったこともあって、すごく反日デモの規模が大きく、日本のメディアではそれなりに大きく取り上げられたと聞いたんですが、韓国メディアではあまり見なかったということですか?

ジェホン:おととしはアメリカにインターンシップに行っていたので分からない。2年前のことだからあんまり思い出せないです。

ソミョン:自分が直接的に参加するとかはないです。

――テレビや新聞で見たっていう印象も残ってない?

ソミョン:テレビとか新聞の写真とかで時々見ていたりはしていたので、そういうデモ(水曜集会)があることは知っていました。でも、特別おととしの光復節に印象が残っているというわけではないですね。

ゴノ:僕は、メディアを通してデモが行われたことは知っていたけど、直接行こうっていう所までではなかったです。ただ、(慰安婦問題などに関する)署名とかをしようとするっていう気持ちは生まれました。


韓国側の学生。左からゴノ、ジェホン、ソミョン

■光復節は「ただの休日という感覚の人が多い」

――光復節は、韓国人の若者にとって実際どういった意味を持った日なんでしょうか? ただの祝日の一つなのか、それともやっぱり母国を思う気持ちが強くなるのか、それとも戦争の犠牲者を悼んで家で静かにしようという日なのか、どういう印象ですか?

ジェホン:普通の20代の人たちは、たぶんただの休日だという感覚の人が多いと思います。公休日だから遊びに行こうという人の方が多いんじゃないかと思います。

ソミョン:私の周囲の友だちはそうではなくて、カカオトークのプロフィール写真を韓国の国旗にしたり、自己紹介欄のところに「今日は光復節だから記憶しよう」という趣旨の言葉を書いたりする人が結構います。あとFacebookでそういう文章を投稿したりする人もいます。高校の友だちにも、大学の友だちにもそういう人がいますね。

――Facebookにはどういう内容を投稿するんですか?

ソミョン:要約すると、「今日は光復節だから、戦争について考えよう、記憶しよう」というような内容です。日本から被害を受けた時に、日本に対して闘った人たちがいたじゃないですか。その人たちを記憶しようということです。

山下:1945年8月15日で韓国の人びとは日本の植民地支配から解放されましたが、1950年からは朝鮮戦争が始まり、また韓国の人びとは戦争に巻き込まれてしまいました。その影響で、1945年の8月15日よりも、1953年の朝鮮戦争の休戦の方が、「戦争が終わった」という感覚がありますか?

ジェホン:1945年の8月15日に植民地化から解放されて、韓国がまた一つになったのに対して、朝鮮戦争が始まったことによって、1つの国が二つに分断されてしまいました。だから、朝鮮戦争が始まったときには悲しさとか惜しさの方が強くて、そういう意味で8月15日は一旦解放された喜びを感じられる日として、重視されていると思います。

山下:だから光復節にあわせて南北統一を目指すような会が(タプコル公園でも)開かれていたんでしょうか?

ソミョン:南北統一っていう風に(タプコル公園の会の目的が)銘打たれていたのは特別なことではなくて、いつもそういうイベントのときはそう銘打っていることが多いです。現在もあるじゃないですか、南北の問題は。だから、それは(光復節とは)また別で、1945年は韓国が日本っていう国から韓国という国になった日であって、その後の朝鮮戦争は韓国という国が2つになった歴史。そういう意味で、悲しい感情が朝鮮戦争の方には強くて、1945年8月15日は大切な日です。

ジェホン:個人的な考えなんだけど、光復節っていう日によって韓国は解放されたんだけど、北朝鮮はもっと違う形での植民地になってしまいました。金一族(注:故・金日成主席、故・金正日総書記、金正恩第1書記らを指す)のために、また違った植民地の状態になってしまって、それがすごく悔しく感じられます。

ソミョン:1945年のことと朝鮮戦争のことは分けて考えていて、1910年から30数年植民地が続いていて、中間に第2次世界大戦が始まった。その点で1945年は第2次世界大戦という意味もあるけれど、日本が第2次世界大戦に負けたことで解放されたという、私たちが日本人ではなくて、韓国人になった日。終わらせたくて終わらせた日ではないけれど、そういう意味で、1945年8月15日は重要視されていて、その後に別にアメリカとソ連の対立の中での韓国が二つに分けられたということで、その二つは全然別物。(日本の敗戦で)韓国になって、その後戦争があって。その前は韓国人じゃなくて日本人だったから、(光復節は)日本人から韓国人になった日なんです。

――光復節がただの休日の一つというジェホンさんと、SNS上で祝ったりする大事な日であるというソミョンさん。ゴノさんの周りではどうですか?

ゴノ:個人的には記念するということよりは、休日っていう性格が強いです。でも自分の周りの友だちは、半々だと思います。プロフィール写真を変えたりする人もいれば、普通に休日として暮らしている人もいる。半分半分です。

ジェホン:先ほどの朝鮮戦争に関する質問を受けてですが、1945年8月15日と朝鮮戦争の間には、5年間あったわけじゃないですか。その間、当時の普通の人びとは、まさかその後朝鮮戦争があると思って過ごしていたわけではないですよね。今はもう起こったことだからこそ、(1945年8月15日が)休止だったのか終わりだったのかということを考えることができるけど、その当時生きていた人びとにとってはわからなかったことだと思います。


8月15日前、日本大使館前に造られた慰安婦像にお参りする韓国人家族。この日、大使館前でのデモはなく静かな一日だった

■慰安婦問題は「とても象徴的な問題になっている」

――14日にソウル駅前で開かれた慰安婦集会を見たときに、若い世代の参加者が多いことに驚きました。被害者の方の経験談を聞いて涙ぐむ人もいて、慰安婦問題を身近な問題として捉えている人が多いように見えましたが、皆さんはこの問題についてどう思いますか?

ソミョン:私は(慰安婦問題については)日本からの謝罪を受けたいと思っています。(慰安婦問題の被害者である)おばあさんたちの立場から見て、(慰安婦問題は)とても良くないことだった。だけどそれはもう起こってしまったことだから、どうこうすることはできないけど、謝罪をしないってことが一番やっぱり問題だと思う。だからこそ、ちゃんと謝って欲しい。

――起きたことはしょうがないけど、そこから前進するためには謝ってほしいってこと?

ソミョン:私は韓国と日本の関係がよくなる、よくならないってところから少し離れても、やっぱりおばあさんたちの立場から考えてみれば、謝罪は当然にあるべきだと思います。

――日韓関係っていうこと以上に、被害者の女性たちの心情のためにも謝罪が必要ってことですね。

ジェホン:僕は国際関係学科の学生としての目線で考えると、おばあさんたちはもう歳をとっているので、これからそんなに長くは生きていられないと思う。そうした中で日本政府は、おばあさんたちが亡くなるのを待っているんじゃないかという見方をしている人もいますが、私はむしろ亡くなる前までの時間が機会だと考えています。というのは、韓国人には、謝りさえすればそれを受け入れる準備はあると思う。なんで謝罪をしないんだろうという疑問を持っている人が多いです。謝れば日韓関係がよくなり、両国の未来への発展が進む。さらに、慰安婦問題を謝罪しないという姿勢は、慰安婦問題だけじゃなくて、そもそも過去に日本が戦争で行なったことを認めないということとして捉えられます。(慰安婦問題は)とても象徴的な問題になっていると思います。

ゴノ:もちろん謝罪は受けなければならないことだと思っていますが、いつも心のなかで謝ってほしいと願っているわけではなくて、メディアの中で少し話題に上れば、1回考えて、また日常に戻っていくような感じです。

ソミョン:人は日常があるから当然いつも考えている訳ではなくて、例えば例を出せば、私がいつもお母さんのことを考えているかと言われたら、そういうわけではないみたいな感じです。

――それぞれ意見を持っていることはすごく伝わってきたけど、実際、若い世代の関心度の高さはどれくらいだと思いますか?

ジェホン:慰安婦問題を知らない人はいないでしょう。程度の差はあるかもしれませんが、慰安婦のおばあさんたちがどういう人たちなのか、謝罪に対する過程がどうなっているのか、20代以上であればみんなが知っていることだと思います。

――日本の若者世代に同じ質問をしたら、恐らくこれほどはっきり答えられる人はほとんどいないように感じます。安倍政権が慰安婦問題の歴史を再検証しようとしていることもあって、多くの日本の若者にとって慰安婦問題は、ややこしい歴史問題として捉えられている印象がありますが、その現状についてはどう思いますか?

ジェホン:慰安婦問題を扱ったドキュメンタリーの中で、日本の教授が慰安婦問題は韓国だけでなくて、フィリピン、中国とか東アジアでもあったことで、全ての慰安婦問題の共通点として強制性があったと述べていました。だから日本政府が強制性はなかったと否定するのはちょっとおかしいのではないかと、その教授は述べていました。


日本側の学生。左から小室、伊吹、庄司

■韓国のベトナム戦争のことも「やっぱり教科書に書かれていない」

――日本の若者の間で慰安婦問題に対する関心度が低く、知識量も少ないということについてはどう思いますか?

ジェホン:国家の政策を見ていれば、(関心が低いのは)当然のことだと思います。慰安婦問題はしてしまった方にとっては恥ずかしいことだから、それをちゃんと国民に伝えようとできるのはいい国だと思うけど、今の日本政府の動きを見る限りでは、若干プライドが高いために、過去に起こったことを隠したがって、国民に伝え理解を得ようという努力がされているとは思えない。ということで、若い人が知らないのは当然だろう。

ゴノ:僕もジェホンさんと似たような意見で、韓国でもベトナム戦争の時に現地で良くないことを行なったんだけど、それがやっぱり歴史教科書に書かれていなかったり、話題に上ることもめったにないです。それは(恥ずかしい過去は隠すことは)世界のどの国も似たような傾向なんじゃないかと思います。

山下:ベトナム戦争の話は韓国の人にとってはタブーだと思っていたんですが……

ソミョン:私はただ全て教育の問題だと考えています。韓国が国家として行った恥ずかしいことを隠したいのは当然で、教育をするときにも行った加害を隠したいのは当然だから教育しない。日本人の関心が低いのも同じように当然だと思います。

――独島(竹島)についてはどう思っていますか?どれくらい関心があり、どのような意見ですか?

ジェホン:僕は独島は韓国の領土だと思っていますし、今実際に(独島を巡って)日韓の間で戦争が起こらない限り、(独島が)日本の領土になることはないと思う。今は実際に韓国が実効支配しているからです。でも、竹島の問題もそうだし、集団的自衛権も慰安婦問題もすべて含めて、日本が過去におこなった間違いを認めないという印象をすごく強く受けます。でも国民と政府は分けて考えた方がよくて、国民のレベルで見れば、(過ちを)認めたり、謝ったりする人も多いですが、政府が主張する政策を見る限りだとそうじゃないですね。

――じゃあ慰安婦問題や領土問題は、日本人に対する悪い感情につながっていないということですか?

ソミョン:やっぱり国民と政府は分けて考えるべきで、私は日本人に対しては全然そういう悪い感情は持ってないです。でも政府が(慰安婦問題などを)認めないというイメージがあり、それについては嫌な気分になったりもしますが、日本人とか日本自体に対してはそういう風には全然思わない。

ゴノ:個々人に対しては悪く思っていないけれど、安倍首相がいるじゃないですか、その姿勢とか政策とか外交とかには問題があるんじゃないかと思っています。

ジェホン:日本の若い人たちは政治に関心が薄いじゃないですか。でも政府を選ぶのは国民だから、国民にも一部責任はある。政治家がどういう方向性を持っているのかとか、どういうことをしてきたのかということを含めて政治にちゃんと関心を持って選べば、日本政府の態度などが変わり、よくなっていくんじゃないかと思う。

――日本人に対する反日感情はないということだったが、国民が安倍政権を選んだり、政治に関心が少ないことに関してはよくないと思うということでしょうか?

ジェホン:そういう面もあると思います。今回の集団的自衛権の解釈改憲も、軍隊を持てるような国に変えようとしているけど、政治家たちが決定したことに、日本の国民が強く反対したり、デモをしたりすればできなかったことではないのかなと思いました。

――日本の若者が政治関心が低いということは、韓国ではよく知られていることなのでしょうか?

ジェホン:私は友人と話したり、実際(語学留学で)宮崎に行っていたときに、実際に友達と関わって、彼らの関心がない姿を見て、日本の若い世代は関心が低いんだなということに気がつきました。

ソミョン:普通の(韓国の)人たちは知らないと思う。私も日本人のルームメイトから聞きました。


8月15日、ソウル市庁前広場からデモ行進。セウォル号事故で大統領の責任追及と特別法制定を求めている

■対日政策より就職、経済…

――日韓関係は、韓国政治においてどれくらい重要な問題だと思いますか?また、韓国政治のなかで一番関心を持っている政治問題はなんですか?

ジェホン:選挙をするときに日本に対してこうだから絶対入れる、絶対入れないっていう訳ではなくて、判断の一つ。日本の政策に対してこうだからこの人は選ぶ、この人は選ばないっていうわけではないです。

――じゃあ、そういう決め手になってくる問題はなんでしょうか?

ジェホン:今私は就職活動をしているので、一番重要なのは経済政策。企業において、就職の雇用の枠を広げるっていう方向に動いてほしいと思っています。

――理系学生の就職事情はどうですか?

ソミョン:韓国も理系は大学院に行ってから就職っていうコースを踏むんですが、工業大じゃない限りは、理系も就職は難しいです。なので、就職と経済問題については関心を持っています。

ゴノ:改憲問題が大事だと思います。韓国では大統領に権力が集中しているので、大統領と総理に権力を分散させる憲法改正にはとても関心があります。課外活動として国会にインターンシップをしている中で関心を持ちました。

――どうしてそんなに皆さんは政治に関心が高いんでしょうか?

ジェホン:若い人たちはFacebook、カカオトーク、LINE、メッセンジャー、TwitterなどのSNSをたくさん使っています。だからスマートフォンが普及した影響で、テレビや新聞だけではなく、SNSを通して意見交換をしたり、意見を発信したりすることで、そういうものを見ることで関心が高くなっているんじゃないか。

――では、友だちの間で政治の話はよくしますか?

ジェホン:本当に仲のいい友だちとはそういう話もしたりしますけど、あんまり親しくなかったり、考え方が違う人とは話すのが難しいというか、話しづらいですね。親しければ、性格が違っても話せるんだけど、やっぱり親しくないと性格が違ったときに話しづらいから、親しければ親しいほど話しやすいです。

ソミョン:同感です。

ゴノ:僕はあまりしないです。こういう言い回しがあって、「政治と教育はいくら話しても結論が出ない」。例えば(こういう話題に関しては)人によって考えが違ったり、持っている感情も違ったりするので、だからあんまり(そういう話は)しないです。でも公式的な場とかそういう場があればします。

ジェホン:SNSが政治関心を高めるという話をしましたが、注意しなければいけないことがあって、(ネット上には)根拠がない情報とか意見とか、ひどくなると噂まであるじゃないですか。そこはやっぱり留意しなくちゃいけないですよね。また、若い人は進歩的な考えの人が多くて、保守的な考えを持っている人が全体的には少ないです。そうしたときに、ネットにあがっている言葉は、進歩的な意見が多いので、万が一例えばゴノさんが保守的だとして、そこに自分はそういう風に考えませんとコメントをすると、変な人だと思われてしまいます。だからこそ親しい人同士とか、方向性が近い人同士で議論することになるんじゃないかと思います。

――ゴノさんが「政治と教育は結論が出ない」という言葉を引いていましたが、日韓関係はまさにそのような状況にあると思います。実際二国間の間で、どういう風に前進していけばいいか、何を目指したらいいかというビジョンが明確にされていないように思います。日韓関係を良くしていくために、私たちは何から始め、どこを目指していけばいいのでしょうか?

ジェホン:まず村山談話とか河野談話の方向性を継続して目指していった方がいいと思います。安倍首相とか小泉首相とかは、それとは反対側の意見や方向性をもっているから、それが日韓関係の悪化に影響してしまっていると思います。村山談話や河野談話のときのような方向性が続いていたら、もしかしたら慰安婦などの問題は解決していたかもしれないと思います。

――日韓関係のためには、日本が態度や方針を変えていかなければならないということでしょうか?

ジェホン:日本から変わらなければいけない側面もあるけど、慰安婦問題にしても独島問題にしても、自衛権の問題にしても、そういう日本の政府の姿勢や言葉を見ることによって、韓国の人々は痛い記憶を思い出させられています。そういうときに、(日本)国民はわからないですが、政府は国の代表だから、政府が姿勢を変えなければいけない。

ゴノ:日韓関係は、歴史問題に集中しているせいで、すごくごちゃごちゃしていると思います。だから日韓で合同で本を出したりする取り組みも役立つんじゃないかと思います。

ソミョン:こういう(今回みたいな)集まりが多ければいいと思います。これが解決策です。

■韓国人から聞きたいこともたくさんある

ジェホン:これまで慰安婦問題の話をしてきましたが、慰安婦問題の賠償請求権に関して、日韓条約で賠償権はもう終わったと考えるのか、そうは考えないのかということをみなさんはどう思いますか?

伊吹:日本の中でも慰安婦問題に対して厳しい態度を持っている人は、韓国は慰安婦問題を政治利用していると考える人も多く、「どれだけ謝ればいいんだ」と考えている日本人は少なくないと思います。「お金を払ったじゃん」とか「じゃあ実際どうやって謝れば誠意ある謝罪として受け取ってもらえるんだよ」と思っている人もいると思います。

ジェホン:日本の立場も理解できますが、その上で、河野談話や村山談話を通して「謝罪をした」と言いますが、その後に小泉首相、安倍首相がそれらの談話を覆すようなことをした。問題はそこで、否定をしたってことは、謝罪をしたってことにならないんじゃないかというのが一つの論点です。もう一つが、慰安婦問題が初めて問題となったのが91年ですが、日本と韓国の間で過去の清算が浮上したのは89年のこと。91年はその後のことになるので、謝罪と言うことにならないのではないかというのが僕の考えです。

山下:この問題は難しくて、91年までは主に強制労働者(注:軍人や軍属、徴用、官斡旋による)の問題なんですよね。女性の問題じゃなくて、途中で女性の人権という概念が入ってきたんで、慰安婦問題が浮上してきた。だから、韓国政府もどう扱っていいのかわからないという状況だったので、「誠意ある謝罪を」という形で丸投げしたんです、日本政府に。だから結局の所、誰がなにをしたらいいのか分からないというのが、今の客観的な見方になるんですね。ちょっと難しいですよね。

ジェホン:セウォル号の事件に対してどう思いますか?外国人の立場から見て、政府の対応とかデモの様子についてどう思いますか?

伊吹:沈没事件については、日本のニュースでもすぐに速報が出て、Twitterを通じて今どういう状況にあるかということをほとんどライブで見てたから、すごく悲惨な事件だなと思ったし、周りを見てもすごく同情的な人が多かったと思います。

ジェホン:デモに対してはどう思いましたか? 8月15日は光復節でありながら、すごくセウォル号のデモが活発だったと思うんですが、日本で同じような事件が起こった時に政府に対してどういう風に示していくんでしょうか?

伊吹:セウォル号のデモについては、その後首相が辞意表明したり社長が変死体で見つかったりとか、日本的にはセウォル号の事件はもう収束したという感覚だと思います。だから昨日あれだけ大規模にデモが行なわれていたことにはびっくりしました。あの事件がどれだけ韓国の人たちにとって重い事件であって、デモに人々を動員させられる力があるほど、終わっていないものなのだという実感はありませんでした。

で、日本でそういう事件があったときにはどうなるか、デモをやるっていう文化が韓国ほど日本は強くないです。2011年の福島原発事故以降は、2013年には特定秘密保護法、今年は集団的自衛権の問題があったりとして、だんだんと若い人もおじさんおばさんもデモをやってもいいんだっていう社会的な空気は出てきているように思います。それでも、あれだけ大きなデモが日本でもできるかっていうと、あの規模は多分難しいと思います。

デモに参加しないような普通の人が、デモに対して抱くイメージっていうのは、あんまりいいものではないような気がします。すごい過激なデモでもないし、平和的なものばかりなんだけど、デモをやっている人ってちょっと違うよねっていう、デモをやっている人とやっていない人の距離感っていうのは結構あると思います。

ジェホン:デモが社会全体の意見を反映するものなのか、それとも個々人の考えをもって行うものなのかと言うことには疑問を持っている。デモをする人はそれを考えなければならないと思います。

伊吹:日本だけじゃなくて、世界でどこでもそうだと思うんですが、デモが起きた=世論が高まったと考えるのは安直すぎるというか、デモが起きた、じゃあその後世論はどう動いていくのかという動きの方が重要のような気がしています。

――最後に、日韓関係は良くなった方がいいと思いますか?

ゴノ:改善されれば当然いいでしょう。

ソミョン:いいですね。

ジェホン:今世界の中心が、日本・韓国・中国・アメリカがいる東太平洋・アジア地域に移ってきていると思います。そうした中で、相互が協力できたらいいなと思います。例えばお互い譲歩したりする中で、関係を気づいていけば、世界の経済的・文化的中心になれると思っています。

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2014/08/15 ソウル日本大使館前
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