デング熱、温暖化で世界的に感染拡大の恐れ ウイルス運ぶ蚊の生息域が日本列島を北上

70年ぶりに国内感染が確認されたデング熱の感染者数が8月以降、続々と増えている。
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70年ぶりに国内感染が確認されたデング熱の感染者数が8月以降、続々と増えている。9月10日現在で国内感染者が確認された総数は15都道府県で計96人に上っている。9日には、初めて東京都以外で感染したとみられるケースが発表された

デング熱は熱帯地方で流行する感染症だが、日本でも戦時中の1942年から45年にかけて、長崎、佐世保、呉、神戸、大阪などの都市で20万人規模の感染者が出ている。南方からの帰還兵が感染源になったと見られている。今回も熱帯地方の旅行者がデング熱に感染し、その血を吸った蚊を媒介にして日本国内でも感染が拡大したようだ。

実は温暖化に伴って、日本でもデング熱の感染リスクが増えるという指摘は以前からあった。国立感染症研究所の研究では、温暖化にともなって、デング熱の人への感染を媒介するヒトスジシマカ(通称:ヤブ蚊)の分布が東北地方を年々北上していることが判明している

環境省が温暖化の影響をまとめた報告書では「2035 年には本州の北端まで、2100 年には北海道まで拡大する」という予測を紹介している。

デング熱を媒介するヒトスジシマカの分布は年平均気温11℃以上の地域とほぼ一致しており、1950 年以降、分布域が東北地方を徐々に北上していく傾向がみられます。ヒトスジシマカの将来の分布を予測した研究例では、赤で示された分布域が 2035 年には本州の北端まで、2100 年には北海道まで拡大すると予測されています。

(環境省「気候変動の観測・予測及び影響評価統合レポート 日本の気候変動とその影響 2012年度版」)

ヒトスジシマカの分布拡大が直ちにデング熱感染に結びつくものでないが、今後デング熱流行のリスクを持つ地域が拡大する可能性があり、注意が必要だ。

さらに、世界保健機関(WHO)の幹部は、温暖化にともなってデング熱の感染拡大が「アジアでは警戒レベルに達している」と警告した。47NEWSが報じた。

「アジアでは、デング熱の広がりが警戒レベルに達している」。世界保健機関(WHO)のネイラ公衆衛生環境局長は27日のジュネーブでの記者会見で、温暖化に伴い感染症が世界的に広がっていると強調、デング熱を代表例に挙げた。

近年はフランスなど欧州諸国でも感染例を確認。同じく蚊が媒介するウイルスの中でも、デング熱は日本脳炎やマラリアに比べはるかに急速に広がっているのが特徴だ。

WHOによると、感染例が確認されている国は100以上に拡大。世界で毎年5千万~1億人が感染していると推定されている。

(47NEWS「【デング熱感染】世界人口4割に感染危機 温暖化、蚊の生息地が北上」より 2014/08/30 12:49)

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