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イスラム国との戦い、アメリカは月1600億円も費やす だが侵攻は衰えず、バグダッドに迫る

2014年10月05日 10時00分 JST | 更新 2014年10月05日 11時05分 JST

イスラム過激派組織「イスラム国」(IS、旧称ISIS)はイラクの首都バグダッド近郊のアンバール県の主要都市を制圧し、1週間にわたる攻撃でイラク最大の軍事基地を包囲し始めている。アメリカの政治ニュースサイト「McClatchyDC」によると、2013年12月からアンバール県への侵攻を強めていたイスラム国は、県の主要都市アブグレイブを掌握したという。このように、アメリカやイギリスの空爆が行われても侵攻の勢いは止まらない。

そして軍事作戦がシリアにも拡大する中、今後はその費用も一層膨らむことになる。ある専門家によると、アメリカの納税者は、イスラム国との戦争で、1カ月あたり最大15億ドルを負担する可能性があるという。

アメリカン大学でアメリカの外交政策を教えるゴードン・アダムズ教授はハフポストUS版に対し、「年間で見ると、この軍事作戦は150億~200億ドル(約1兆6000億〜2兆2000億円)ほどかかると私は見積もっている」と述べた。同教授はビル・クリントン政権時代に行政管理予算局において、国家安全保障や国際情勢に関わる予算をチェックしていた人物だ。

アダムズ教授は当初、イスラム国に対する軍事作戦の費用を年間100億~150億ドルと算出していた。しかし、アメリカが軍事作戦の範囲を拡大してシリアでの空爆を加えたことから、アダムズ教授は当初の見積もりに、さらに1カ月あたり4億1600万ドル(年間50億ドル近く)が上乗せされると計算した。

総額150億~200億ドルのうち、多くは空爆にかかる費用で、アダムズ教授は年間約80億ドルになると見積もっている。アメリカ時間9月22日の夜にシリアで行われた空爆の第一波には、アメリカの軍艦が発射した47発の巡航ミサイル「トマホーク」や、アメリカと同盟国の戦闘機による200回以上の空爆が含まれている。

アダムズ教授によると、イラク人やクルド人からなる地上部隊の訓練や装備には30億ドルかかり、サウジアラビアにいるシリア穏健派への軍事支援にはさらに10億ドルかかるという。残りの費用は、連合軍の構築に関わるものだ。

一方、アメリカ国防総省は9月25日、イラクとシリアにおける軍事作戦費は概算で1日あたり700万~1000万ドル(1カ月あたり2億1000万~3億ドル)とする試算を公表した。これより前の政府試算(この時点ではイラクでの作戦を対象としており、シリアでの作戦は含まれない)では、(6月中旬から8月26日までの平均として)1日あたり約750万ドルと試算していた

アダムズ教授は9月26日、国防総省の新たな試算について次のように述べた。「これは間違いなく過小評価だ。イラク人やシリア人による対抗勢力への支援が含まれていないし、連合パートナーへの支援も含まれていない」

いずれにしろアメリカはこれらの費用を、オバマ政権が議会に提示した2015年度の国防予算案(戦費を除く)4960億ドルに加えて負担することになる。

これまでオバマ政権は、対テロ軍事作戦の費用を、主に「Overseas Contingency Operations」(OCO:海外緊急オペレーション予算)の資金を通じて賄ってきた。OCOとは、海外での緊急事態に備えて別途用意されている防衛費だ。イラクとシリアにおける対イスラム国の軍事作戦については、9月に連邦議会を通過した継続予算決議案に基づき、2014年度から繰り越すOCO継続予算で資金が工面される。だが、この資金は(10月1日から12月11日までの暫定予算案に盛り込まれたものであるため)、12月11日までしか使えない。12月11日までに、連邦議会が新たな予算案で合意していることが必要だ。

一方、アメリカ政府は、アメリカが主導する対イスラム国の軍事作戦を支援することに同意した50カ国以上に対し、資金援助を求めている(リンク先には、どの国がどのような支援を約束・実行したかがまとめられている。なお、日本は空爆を支持し、人道支援を約束している)。

これらの国のうち、シリアでの空爆やミサイル攻撃に参加したのは数カ国だけだ(米軍は9月26日までに、イラクで仏軍とともに200回以上の空爆を実施。シリアでは、アラブ5カ国の軍とともに43回の攻撃を実施した。また、英軍も9月30日、イラク北西部で空爆を実施した)。これらの国がアメリカの軍事作戦に資金援助をする可能性は低い、とアダムズ教授は述べている。

[Shadee Ashtari(English) 日本語版:湯本牧子、合原弘子/ガリレオ]

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