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【G20】黒田日銀総裁「経済状況反映した円安はプラス」、麻生財務相は為替に沈黙

2014年10月12日 01時00分 JST | 更新 2014年10月12日 01時04分 JST
Reuters

[ワシントン 10日 ロイター] - 麻生太郎財務相と黒田東彦日銀総裁は10日、ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の閉幕後に記者会見した。麻生財務相は為替についてはコメントを避け、沈黙した。一方、黒田日銀総裁はファンダメンタルズを反映した円安はプラスとの見解を示した上で、日銀と政府の間に円安の影響について温度差はないことを強調した。

<為替発言はもっぱら黒田総裁、「政府と温度差なし」>

麻生財務相は「為替については話さないことになっている」と述べたきり、円安に関して一切発言しなかった。

これに対し、黒田総裁は饒舌(じょうぜつ)だった。「為替の水準や見通しについて具体的に申し上げることは差し控えたい。一般論として言うと、円安は輸出の増加や、グローバルに展開している企業の収益を改善させる、あるいは株価を上昇させるというプラスの効果を持つ一方で、輸入コストの上昇や、価格転嫁を通じて非製造業の収益や家計の実質所得に対する押し下げ圧力として作用する。したがって、その影響は経済主体によって異なり得るもの」と説明。

その上で「経済・金融のファンダメンタルズを反映した円安であれば、全体として経済にはプラス」と述べた。金融市場では、日銀と政府の円安に対するメッセージの違いを懸念する声もあるが、「こうした見方について温度差があるとは思っていない」として、見解の相違を否定した。ただ、「為替相場の動きを含めて金融資本市場の動向についてはそれが実体経済、さらには物価などに与える影響を引き続き注意深くみていきたい」と慎重な姿勢も示した。

最近の原油価格や株価などの下落傾向について、黒田総裁は「ボラティリティーが低いところから若干上がったことについて、特に大きな問題とはみていない」、「中期的にみて、市場のボラティリティーは依然かなり低い」と述べるなど、問題視しない姿勢を示した。また「日本は巨額の石油輸入国であり、原油価格の下落は日本経済にとってプラス」との認識も示した。

<日本経済、緩やかに回復>

日本経済について、麻生財務相は「緩やかに回復しているとみている」との認識を示した。米財務長官が日本に構造改革を訴えていることもあり、「成長戦略の確実な実施や政労使の会議での議論を通じ、好調な企業収益を設備投資・賃上げ・配当・雇用環境のさらなる改善につなげることにより、経済の好循環につなげたいと思っている」と述べた。「そういう意味で、本年度の第3・四半期のQEをはじめ、いろいろな経済指標を見極めた上で、いろいろ決めていかないといけない」として、10%への消費税再引き上げが可能かどうか、経済環境を見極めたいとの考えを示した。

世界経済についてユーロ圏を中心に懸念が強まっている状況に関して、「世界経済については楽観も悲観もしていない」と特定の見方を明示しなかった。特に欧州のデフレ懸念に関連した質問には「デフレの下で不況をやった経験は欧州にはない」として、日本の経験に言及。「金融政策だけで(デフレを防ぐことは)できない、というのがわれわれの実験ではっきりした。財政と一緒にやらないとできない」と述べた。

黒田総裁は日本経済に関して「企業部門は極めて高い利益水準にあり、その下で設備投資や賃上げを通じ、次第に所得から支出へという循環が働いてきている」と前向きの動きを強調。「足元、消費増税に伴う駆け込みの反動で4─6月は消費もかなり落ち込んだが、7月、8月中旬までの天候不順の影響も脱しつつある。(消費増税前の駆け込みの)反動減の影響も和らぎつつある。雇用・所得環境が良好なので、消費も次第に戻ってくるだろう」と楽観的な見通しを示した。

麻生財務相はまた、しばらく開催されていない日韓財務相会談について「日韓の間で次回の財務相対話は事務レベルで詰めるとの話をした。首脳会談については、双方でこの話を検討するように詰める」と述べ、実現の見通しが立っていない首脳会談の開催についても検討を進めるとした。

(木原麗花 中川泉 編集:山川薫)