消費税、自民党議員らも増税時期の延期を求める考え

自民党内部からも、消費税率のさらなる引き上げに慎重な意見が出ているが、安倍政権は増税推進派の宮沢氏を経産相として登用した。
時事通信社

消費税率のさらなる引き上げについて、自民党内部からも慎重な意見が出ている。

自民党の国会議員42人が参加する「アベノミクスを成功させる会」は10月22日午前、2015年10月に消費税率を現在の8%から10%に引き上げるかの判断に向けた勉強会を開いた。会議では、消費税率を引き上げれば日本経済を失速させるおそれがあるとして、11月中にも提言をまとめて安倍首相に提出することを決めた。NHKニュースなどが報じた。

会合では、安倍総理大臣に経済政策を助言している本田内閣官房参与が講演し、「アベノミクスは効果を持続しているが、ことし4月の消費増税のマイナスの影響が非常に強く表れている。アベノミクスの効果と消費増税の悪影響がきっ抗しているなかで、再び増税に踏み切ることは危険が大きく、2017年4月まで1年半、引き上げを延期すべきだ」と述べました。

また出席者からは、「円安でも輸出が期待されたほど伸びず、消費も増税の反動減だけでは説明できない低迷が続いており、さらなる増税は日本経済を失速させるおそれがある」などとして、引き上げの先送りを求める意見が出されました。

自民議員ら「増税は経済失速」首相に提言へ NHKニュースより 2014/10/22 15:08)

本田氏は勉強会のあと記者団に対し、消費税再増税を延期した場合の日本の国際的な信認などに与える影響については「まったくない」と断言。延期を決断した場合でも「景気を考慮してベストなタイミングを選んだと市場に理解され、株価は下がらない。むしろ上がる」と述べ、海外投資家も理解を示すとの見通しを示した。

アベノミクスを成功させる会の会長を務める山本幸三元経産副大臣は、6月に行われたウォール・ストリート・ジャーナルのインタビューで「4月の消費増税が景気回復の大きな障害にはならず、2回目の増税が予定通り実施される可能性はある」と話していたが、10月1日には考えを一転。増税は2017年4月まで延期される可能性があるとの見方を示した。山本氏は「そのぐらいになると給料も上がってくるだろう」と述べたという。

山本氏は22日の会合の後、増税で消費マインドが悪化している景気情勢を「冷や水を浴びせかけられた」状況だと表現。「次の消費税増税については、慎重にタイミングを計るべきだ。総理には、国民生活のために何が一番大事かということをふまえて、決断をしていただければ」と述べ、次の消費増税に向けて、あらゆる角度から客観的に検討し、「総理判断が誤らないよう提言したい」と語った。

菅義偉官房長官は午後の記者会見で、この会合に42人の議員が出席したことについて、「真摯(しんし)な議論を行うということは、いいことだ。消費税は、国民に極めて影響力のある問題だ。自民党は国民のみなさんから生の声を聞いて、党内で大激論する政党だ」と述べた。

なお、22日夕方には自民党の税制調査会も開催。税制調査会幹部から経済産業相となった宮沢洋一氏は15日、消費増税の先送りは法改正も必要となるため、マイナスの影響の方が「政治的にも経済的にも極めて大きい」と指摘。「淡々と引き上げていくのが筋だ」と述べていた。

この状況について朝日新聞の記者の一人は次のように分析している。

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