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エボラ出血熱に関するあなたの疑問にお答えします

2014年10月25日 21時32分 JST
STEPHANE DE SAKUTIN via Getty Images
Medical staff wear protective clothes during an exercise to prepare the service in case of an Ebola virus outbreak on October 24, 2014 at the SAMU headquarters in Paris. European Union leaders agreed to boost aid to combat the deadly Ebola virus in west Africa to one billion euros ($1.26 billion), EU president Herman Van Rompuy said. So far, there have been some 10,000 cases but experts have warned that infections could soar to 10,000 per week by early December -- a terrifying prospect for a disease with a death rate running at 70 percent. AFP PHOTO / STEPHANE DE SAKUTIN (Photo credit should read STEPHANE DE SAKUTIN/AFP/Getty Images)

エボラ出血熱が流行し始めて以来、多くの疑問が随所に出回っている。この病気は具体的にどういうものか、どのように感染するのか、世界の反応はどうなのかといったことが訊かれるようだ。みなさんを安心させるために、エボラウィルスについてよく聞かれるいくつかの質問に答えることにした。

質問:

エボラ熱が最初に発生したのは1976年なのに、どうして未だに治療法がないの?

答え:

今回の流行以前にエボラ熱患者と確認されたのは、異なる型の2418人だけで、科学者が治験薬を研究し、治療するにはあまりにも少ない人数だった。また、比較的少人数しかエボラ熱の治療を受けることができなかったということは(以前の流行は数百人が病気になっただけで収束している)、大手製薬会社には高額な薬の研究を進める財政的なインセンティブが十分になかったということなのかもしれない。

また、アメリカ国立衛生研究所(NIH)の研究費はこの10年間減少している。アメリカ国内の研究に十分な資金が供給されていないのが現状だ。NIH所長のフランシス・コリンズ博士はハフポストUS版のサム・シュタイン記者の取材に対して、NIHは2001年からエボラ熱のワクチン研究をしていると述べており、資金が不足していなかったら、ワクチンが今回の流行が発生するまでに用意できていたかもしれない。

しかし、もっと根本的な問題は、ウイルス感染の治療は細菌感染治療よりもかなり難しいということだ。細菌感染に対してはさまざまな抗生物質があるが、ウイルスの治療法はほとんどがワクチンであり、しかもそれはただ感染を防ぐだけのものであって治療するものではない。今までもっとも成果を上げた抗ウイルス薬はHIV/AIDSの薬だろうし、おそらく風邪薬もそうだと言える。

エボラ熱の治療法としては、輸血のほか、治験薬が臨床試験中である。

ebola vaccine

Dr. Felicity Hartnell, who is a clinical research fellow at Oxford University, holds the vial of the Ebola vaccine called Chimp Adenovirus type 3 (ChAd3) before the first healthy UK volunteer receives an Ebola vaccine at the Oxford Vaccine Group Centre for Clinical Vaccinology and Tropical Medicine (CCVTM) on September 17, 2014 in Oxford, England. (Photo by Steve Parsons-WPA Pool/Getty Images)

質問:

フランス、日本、南アフリカ、イタリア、ナイジェリア、サウジアラビアなどはエボラ熱感染拡大国への渡航が禁止されているのに、アメリカはなぜ禁止していないの?

答え:

政治的に、感染拡大しているシエラレオネ、ギニア、リベリアなどの国からの旅行者のアメリカへの渡航禁止を求める声が強くなってきているが、アメリカ疾病対策予防センター長のトム・フリーデン博士と他の職員たちは、公衆衛生上の理由からその案に反対している

1. エボラ熱が流行している国への入国支援を妨げることは(例えばボランティアから戻ってきた医療従事者を受け入れないなど)、流行を悪化させ、アフリカの他の国に拡大するだけだ。

2. 渡航禁止はアメリカ人やアメリカの国家貿易にほとんど影響を与えないかもしれないが、発展途上国に計り知れない経済的な影響を与え、その国の政治を揺るがし、エボラ熱への対応がさらに悪化する恐れがある。

3. ギニア、シエラレオネ、リベリアからの旅行者が出生国を隠すことになりかねず、政府職員が新たに到着した人たちを追跡するのがもっと困難になる可能性がある。

質問:

エボラは「空気感染」する病気ではなく、脅威にならないというのなら、どうしてみんな保護マスクのついた防護服を着て走り回っているの?

答え:

「エボラは空気感染しない」というのは、いろいろな公衆衛生機関が示し合わせたひとつのメッセージだろう。1976年からこの病気を研究してきた医者や科学者たちによれば、エボラウィルスは空気や水、食べ物(感染した野生動物の肉を扱ったものを除く)を介しては広がらないとのことだ。

ただし、アメリカ当局によると、ウイルスは感染した人やその人の血や吐しゃ物、便などの体液に直接接触することで広がることが明らかになっている。だから一番病気にかかるリスクがある人たちは、飛行機でエボラ患者の隣に座った人ではなく、エボラ熱の患者の世話をしていた人やエボラ熱で亡くなった人間の遺体を埋葬した人間である。

しかし、科学者の間でも完全に見解が一致しているわけではない。ウイルス研究者のなかには、空気感染するエボラウィルスへの変異はあり得る(可能性は極めて低いが)という仮説を立てている人もいる。まだ正式に認められていない未知の感染形態があるという、物議を醸すような動物の研究論文もあるとニューヨーク・タイムズが報じている。

そのうちのひとつは1995年に発表された論文だ。エボラウィルスを保持していたサルの一群の中から2匹のサルがエボラ熱に感染したが、そのサルたちは互いに直接接触をしていなかった。2012年に発表されたもうひとつの論文では、豚の一群からサルの一群にエボラウィルスが感染したが、その2つの群れの間にも直接的な接触はなかったという。

ebola

質問:

WHOがエボラの死亡率が70パーセントに上昇って発表したけど... これはウイルスがさらに致命的なものに変異したということ?

答え:

10月19日時点でのエボラ感染者数は9936人で、死亡者数は4877人となっているが、当局がエボラ熱の死亡率は70%と言っているからといって、それは死亡率が「上昇した」ということにはならない。

現場で病気を治療、研究する人たちは、全てのエボラ患者とその病状について追跡することに苦労している。今回の流行では、現時点の死亡率は約50%(4493÷8997)となっているようだが、世界保健機構(WHO)は、感染から現在の経過まで監視できている患者の状況をもとに、死亡率はもっと高いと見ている。

医学専門誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」によると、9カ月間に及ぶ研究の結果、WHOが病気初期から末期まで追跡できている1737人の患者の病状からすると現在の流行は実際に70パーセントの死亡率となっているという。その率は3つの国で一致しており、これまでのエボラ熱の流行のなかでは最悪の記録となっている。医療従事者の死亡率は、ギニアで56.1%、シエラレオネで68.4%、リベリアで80%となっている。

これに関連して……当局はこの先のエボラ感染者数についてどう予測しているの?

答え:

WHOは懸命な救援活動が行われても形勢がすぐに変わらなければ、11月2日までには2万件のエボラ熱の感染が発生すると予測している。

WHOのエボラ対応チームメンバーと共同で論文を執筆したインペリアルカレッジ・ロンドンのクリストル・ドネリー教授によると、この予測方法は、8月からの過去の感染者数を例にとって、8月の感染率がそれまでのように上がり続けた場合の患者数を割り出したものだ。

質問:

エボラ患者の看護師マリア・テレサ・ロメロさんの犬♥のエクスカリバー♥を殺すなんて信じられない。隔離処分することはできなかったの?

答え:

患者からエボラが移ったスペイン人の看護師はエクスカリバーという名前の犬を飼っていた。その犬にはエボラ熱の症状は見られなかったが、スペインの公衆衛生当局は、犬から人へウイルスが移る可能性があるという理由で安楽死させた

一方で、アメリカの看護師ニーナ・ファムさんの犬のベントレーは隔離され、ダラス市の施設で世話されることになっており、ファムさんはNIHクリニカルセンターでエボラ熱の治療を受けた。2つの異なるアプローチは、エボラ熱が動物から人にどうやって移るのか、そして犬もエボラに感染するのかどうかがわかっていないことを表している。

2001年にガボンでエボラ熱が流行したとき、感染のあった町の25%の犬がエボラ抗体に対して陽性だった。犬たちがエボラウィルスに対して何らかの抗体を持っていたことを意味している、とAP通信が報じている。しかし、エボラに感染している犬が症状を見せないため、エボラウィルスに触れた可能性のある犬をどのように処置すればいいのかまだ決まっていない。人間と同じように21日間隔離するのか? 毎日熱を測るのか?ベントレーのケースで、経過をみてみればわかるだろう。

質問:

正直言って本当にエボラウィルスが怖いわ。ほぼ毎週飛行機に乗っているから。いつになったら解決するの?

答え:

WHOのエボラ対応チームメンバーと共同で論文を執筆したインペリアルカレッジ・ロンドンのクリストル・ドネリー教授はハフポストUS版の取材に対して、「感染者数が元の水準の半分以下まで減らないと、今の増加傾向が減少傾向になることはない」と述べている。「なぜなら、大体のケースで、初期段階のうちにエボラウィルスは一人の患者から他の2人に感染していることになるからだ」。ドネリー教授によると、この感染ペースで1人が2人になり、2人が4人になり、4人が8人にとエボラ患者が増えるという。

「その平均感染率を1人以下に減らさないといけない。すべての感染を止められないにしても」。エボラ熱の流行を食い止めるにはそうしなければならないと教授は結論づけている。

しかし、病気への不安ということになると、必要以上に心配しているアメリカ人もいる。1976年から2007年までで、インフルエンザによるアメリカ国内の死者は毎年3000人から4万9000人だ。エボラウィルスと同様に、これまで有効な治療法がなかったHIVウィルスに感染している人は5万人とみられる。一方、現在アメリカ国内でエボラウィルスに感染したのはまだ4人だけだ。なぜ45%のアメリカ人が、自分か自分の周辺でがエボラウィルスに感染するかもしれないと不安になるのか?

コーネル大学のヴァレリー・レイナ心理学教授によれば、その答えは未知に対する不安でしかない。それは通常の不安よりもさらなる恐怖心を生み出す。レイナ教授がハフポストUS版のキャロリン・グレゴアール記者に対し、その不安はもっともだが、ある社会的な状況が(メディアが)不安を増幅させ、不必要なヒステリーを招く場合があるという。レイナ教授によると、アメリカ当局が国民の不安を鎮めるためには、誠実に対応すること、そして特に真相のわからない事柄について正確に伝えることだという。

この記事は情報提供のみを目的としており、医師の助言に代わるものではありません。個別の医学的なアドバイスが必要な場合は、資格のあるヘルスケアの専門家にご相談ください。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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