マララさんへの抗議デモがパキスタンで開催「西側の工作員だ」

「わたしはマララではない」と銘打った「反マララ・デー」がパキスタンで開催された。主催者はマララさんが「悪魔の詩」著者のサルマン・ラシュディ氏の「イデオロギーを支持」していることを問題視している。

「わたしはマララではない」と銘打った「反マララ・デー」が、11月10日、パキスタンで開催された。

主催したのは、同国内の私立学校の連盟である全パキスタン私学同盟だ。主催者側はこの日、行進やセミナー、記者会見を実施し、2014年10月にパキスタンにノーベル平和賞受賞者(日本語版記事)をもたらした17歳のマララ・ユスフザイさんに対する抗議の意を示した、とAFPは報じている

マララ・ユスフザイさん

詳細は未確認だが、Twitterに投稿された写真には、「わたしはマララではない。私はムスリム。わたしはパキスタン人」と書かれた垂れ幕と、その前に座る人々が写っている。

マララさんは自身の教育的活動で世界的な影響をもたらしているが、パキスタン国内には、彼女のことを「西側の工作員」であり、イスラムの価値観を支持していない人物と見なす人たちもいる。

全パキスタン私学同盟は、マララさんが、サルマン・ラシュディ氏の「イデオロギーを支持」していることを問題視している。ラシュディ氏は、インド出身・現在イギリス国籍の作家で、著作『悪魔の詩』によって、イスラム教を冒とくしたとして論争を巻き起こした人物だ。イランの故ホメイニ師による宗教令(ファトワー)で1989年に死刑を宣告され、20年近く命を狙われている(1991年7月11日には、日本語訳を出版した五十嵐一氏が勤務先の筑波大学にて殺害され、翌日に発見される事件が起こったほか、イタリアやノルウェー、トルコなどでも訳者が襲撃され死亡・重傷を負う事件が起こった

全パキスタン私学同盟は、マララさんの自伝『わたしはマララ』が、「表現の自由」を主張してラシュディ氏を支持しているとして非難している。

同団体はすでに、加入する学校が『わたしはマララ』を購入することを禁止している。「反パキスタン、反イスラムの内容が」含まれているというのがその理由だ(なお、2012年に15歳のマララさんを銃撃したタリバンは、マララさんの自伝を販売する書店を攻撃するとの脅迫声明を出している)。

同団体のミルザ・カシフ・アリ会長は、声明でこう述べている。「マララさんが、サルマン・ラシュディ、ならびにバングラデシュ人作家のタスリマ・ナスリン(バングラデシュで迫害されるヒンズー教家族を描いた著作『ラッジャ(恥)』が、イスラム教を冒とくしているとしてイスラム過激派から死刑宣告を受け、現在亡命生活を送っている)との結びつきを感じていること、さらに、サルマン・ラシュディのイデオロギーに共感していることは明らかだ」

この記事はハフポストUK版に掲載された記事を翻訳しました。

[日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]

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