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錦織圭を変えた、マイケル・チャンコーチの魔法の言葉とは【会見詳報】

投稿日: 更新:
NISHIKORI
Taichiro Yoshino
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テニス・ATPワールドツアーファイナルでベスト4に進出し、充実の1年を締めくくった錦織圭選手。11月18日、日本記者クラブでの会見では、自分自身を変えたマイケル・チャンコーチの言葉、けがに苦しんだ時期を乗り越えた感慨など、世界ランク5位にたどりついたトッププレーヤーの思いを語った。

前半から続く)

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錦織圭選手・記者会見(2014年11月18日)
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Q 今回、終わった後、錦織さんはジョコビッチと握手して、何て言われたんですか?

A あまり長い会話はないですけど、ジョコビッチに言われたのは「今年はいいシーズンだったね。おめでとう」と。コート際を離れればお互い尊敬しあって、トップの選手ですけど尊敬できる面もたくさんあるんで、うれしかったですね。

Q 錦織さんからはジョコビッチにどんな言葉を?

A 「おめでとう。次の決勝もがんばって」と。まあ(不戦勝になり)頑張る必要はなかったんですけど(笑)。

■支えてくれる特定の人は?

Q 世界ランク1~4位の選手、すべて結婚しているかいいパートナーがいる。錦織選手に関して、結婚観とかお相手の候補がいらっしゃるのか。

A 結婚はまだあまり考えていないですね。いつかはもちろんしたいと思いますし、ツアーでも奥さんやガールフレンドを連れて回ってる人は多いので、特にテニスは家にいる期間がほとんど少なく、ツアーに出っぱなしで、ストレスも多くかかるので、自分もいつかそうやって支えとなる人を見つけて、一緒に回れたらいいなと思います。

Q 今は支えて下さる方はいらっしゃらないのですか?

A まあ、たくさんいますね(笑)。チームのみんなだったり、コーチ、家族もそうですし、お姉ちゃんもツアーファイナルにかけつけてくれましたし。

Q いちばん印象に残った試合とその理由を教えて下さい。

A いくつかあるんですけど、いちばんは一番目標にしていたUSオープンで決勝に残れたのがいちばんの思い出ですかね。ベストマッチはジョコビッチに勝ったベスト4の試合。ナンバーワンの選手に勝てたのが思い出に残っている。あとはクレーコートのマドリードの決勝戦ですね。クレーでナダルにあれだけ追い詰めて、負けはしたけどあれだけ自分のいいテニスができるんだと。

Q これまで錦織選手は大きな勝利をしたあとも控えめすぎるくらい現実的な目標を掲げていたのに、全米オープンから「勝てない相手はいない」と発する言葉も変わって、それを繰り返すようになりました。その手応えとか背景は?

A そんなに大きく取り上げられると思っていなかったので、自分自身もびっくりしているんですけど。自分自身を追い込むというか、メンタル的に強くならないといけないと、多分感じ始めていたのが、その発言が出たきっかけだと思うんですけど。強い思いで戦っていかないと、特にUSオープンで勝ち上がってきた中で、もっと上に行くためには、もっとそういう思いで常にいないといけないと感じ始めていたと思うんで。そういった部分から出た言葉だと思います。

Q ということは、「勝てない相手はない」と、ご自身もちろん思っていた部分もあるけれども、自分に思いこませるのもあってそう言ったと。

A そうですね、それが一番だと思います。自分に刷り込ませるためにも、言ったことだと思います。

■チャンコーチの言葉とは

Q 今、チャンコーチとの時間を思い浮かべたときに、錦織選手の心にいちばん残っているワンフレーズがあれば教えて下さい。悔しかったこと、支えになったこと。

A さっきの質問と同じで、「自分を信じる」というところを、本当に何回も言われたので。特にトップの選手と対戦するときに、USオープンのときも、ジョコビッチと対戦する前の日から、「Believe yourself」(自分を信じろ)、絶対に勝てるというのを多分1日5回ぐらい言われて。それで自分自身「そう思わないといけない」と思ったと思いますし、彼にはメンタル面でもいろんな助け、アドバイスを頂いて、それで自分が強くなってきていると思うので、テニス以外でも支えになっています。

Q これまでも錦織選手は必ず約束して、それを有言実行してきました。もう早くも来年の話です。今ここで何か我々に約束できること、必ずランキング1位とか、4大大会必ず1つ取るとか、ぜひお願いします。

A グランドスラムで優勝したいと言いたいところですが、これは何年かかかるかもしれないですし、いろんなタイミング、自分の調子だったり体力面のことだったり、ピークをしっかり合わせられないといけない難しさもグランドスラムにはいっぱいあるので。でもやっぱり決勝まで行けたので、目標になってくるのはグランドスラム優勝。今後1位になることも確実に見据えて、これからトレーニングも強い気持ちを持っていかないといけないと思っているので。でも最初のゴールはグランドスラム優勝になると思います。

Q ちなみに、1位には何年以内に?

A えー、まあ、いつかはなれたらいいなという感じですね。やっぱり同世代にジョコビッチ、ナダルは年上ですけど、強い選手がたくさんいるので。この調子でしっかり自分のテニスを磨いていけはチャンスは出てくると思うので、そうですね、5年、圏内には入りたいと思います。

Q 過去のスポーツ番組のインタビューでは「25歳までにナンバーワンになる」とおっしゃっていましたが、もう24歳。

A そりゃ無理ですね(笑)。それはいったんあきらめます(笑)。でも、今、本当にいいテニスができているので、不可能なことじゃないと思うので、これからもっとじっくり強くなっていきたいと思います。

Q ほとんど海外ですが、差別的なヤジが問題になったりします。ワールドツアーファイナルでも、いちばん背が低かったし、アジアからただ一人。いろんな世界各地のツアーでやじられたり馬鹿にされたりしたことはありますか?

A 僕はほとんど思い浮かばないですねえ。うーん、あんまりないと思います。テニスのお客さんはほとんど紳士な方なので。チームスポーツではないので、そこまでどっちかの選手に肩入れすることは、サッカーのようにはないと思います。デビスカップとか国の試合は盛り上がってヤジが飛んだりしますけど。

Q 昔、ウインブルドンでグラフがプレー中に「結婚してくれ」と観客席から叫ばれて、すごくうまく切り返したことがあるが、そういう声援は?

A あー、僕それ1回言われたことあるかもしれないですけど、それどころではないので、完全にスルーしました。余裕が出てくればいいですけど、まだまだその位置にいないので、うまく返せるようになりたいですね。

■錦織選手が選ぶ今年の漢字

Q 日本だと年末が近づいてくると物事を漢字一つで例えたがるのですが、この1年を漢字一つで例えると?

A いやー、ちょっと難しいなあ。パッと思い浮かんだのは「躍」かな。あまり面白くなくて悪いですけど。その名の通りですね。いちばん飛躍した年だったので。去年は「変」の字で、今年はそれを目標に今年はやってて、それが本当に良い形でテニスも変われましたし、いろんな意味で生まれ変われた年になったので。あっ、じゃあ、それにします。「変」にします(笑)。もう一度「変」の方で。

Q せっかく良い方向に変わられたのに、さらにどんな方向に変わるんですか?

A そうですね、もう変わっちゃいけないですね(笑)。このままでいいかもしれない。

Q 来年は少し構えてるとおっしゃいましたけど、たぶん飛躍の年になると同時に、今までの中でいちばん試練になると思いますが、いまどうそれに向き合っていこうかなと思っていますか。

A その部分でメンタル的にプレッシャーかかることは多いと思うので、なるべく考えないようにするしかないと思うので。特に後半、USオープンが待ち構えていたり、そういうのが乗り越えられるとまた1段階強くなれると思うので。あんまり考えずに自分のテニスをしっかりすることだけを考えて、来年いろんな意味で大変な年になると思いますけど、それを超えるように頑張りたいと思います。

Q 未来の錦織選手の肉声のことを伺いたい。13歳でアメリカに行っていろんなものを犠牲にして、いろんな苦労をしてきた。子供たちに対して、「できるだけ外に出ろ」と言いますか?日本で頑張れと言いますか?

A うーん、アジアのテニスの現状はすごい難しい問題がたくさんあって、ツアーのほとんどの大会はアメリカやヨーロッパ、日本からはトラベルの部分がいちばん大変。あと、めざせる選手がいないというのは今いちばんの問題だと思うんで。自分が前に出てきて、みんなが自分自身を信じるきっかけになればいいなと思いますけど。どこでやらないといけないというのはないと思いますが、日本にもたくさんいい指導者はいるし、施設も整っている場所があるので、日本でも可能だと思うんですけど。僕の場合は早い段階でアメリカに行って、英語を学べて、いろんなライバルと切磋琢磨することができたので、それがきっかけだと思います。。今できることをするだけですけど、引退して修造さんのように子供達を教えたりテニスで日本人がもっと世界で活躍するように手助けしたいと思っているので、いまあまり偉そうなことは言えないので、自分自身がしっかり結果を出して強くなってから、また今後のことは考えたいと思います。

Q ダンテコーチ、チャンコーチ、中川トレーナーの「チーム錦織」は来年も続いていくのか。デビスカップに対する思いを。

A 今年、いちばんいい年で終えたので、替える必要もないし同じチームでいきたいと思います。デビスカップも今、日本はかなり強くなってるし、もちろんスケジュールが合えば出る気でいますし、デビスカップで活躍して日本チームの底上げをすることも自分自身がレベルアップすることだし、これからもっと日本の選手が強くなってくることをめざしていきたいです。

Q 試合の前で必ずしていたり、験担ぎのようなものがあれば。

A あまりしないタイプで、面倒くさがり屋で2日も続かなかったので。基本同じルーティンをするように心がけてます。試合の1時間半から2時間前にしっかり食事をとって、グリップテープをまき直して音楽を聴いて試合に集中したり、試合の前は一人になるように、自分の時間を設けて試合に対する考えや作戦を整理しています。

Q ちなみに2日と持たなかった験担ぎってどんなことを?

A ラケットに番号をつけて「このラケットから行こう」と考えたり、ラインを踏まないようにしたりしてたんですけど、まったく続かなかったです。

■準優勝のUSオープン、出場を迷う錦織選手にチャンコーチは…

Q 全米オープンの開幕直前に、出場を迷っていることにチャンコーチから怒られたといっていたが、どんなことを言われたのか。自分も将来、トップ選手を教えたいか。

A 怒られたわけではないんですけど、僕自身はあんまり出たくなかったですね。手術して1週間後にニューヨークに行くことを決断しないといけなかったので、そんなにリスク犯したくなかった。痛みも結構あったので「行かない方がいいんじゃないか」と相談したけど、彼自身もそういう経験あったみたいで、試合直前まで肩が痛くて、本当に当日まで待ってたらグランドスラムのベスト4まで行ったという経験談を聞かされ、「とりあえずニューヨークに行くだけ行こう」と言われて、しぶしぶ行ったんですけど、そのおかげで決勝まで残れたので、本当に感謝してます。

コーチに関しては、自分がこのキャリアを終えてみないとわからないので、コーチしてみたいというのはありますけど、自分が選手としてわがまま、マイペースでやっているので、コーチとしてできるのかという思いもあるので、終わってから考えたいと思います。

Q あのとき、あきらめないでよかったと思う瞬間は?

A うーん、今年は怪我が例年以下に減っていたので、あまり怪我と戦うこともなくなってましたし、体力面で心配することもなくなってきたので。USオープンは初めての経験で、7試合5セット戦う試合もあって、その中で気持ちを強く持って、体が痛いながらも自分にムチを打ってモチベーションを上げて、いちばん追い込んだ2週間だったと思います。

Q 今年に限らず、あのとき諦めなくてよかったという時は?

A いちばん人生の中で山だったのは、2009年に肘の手術をして1年間試合に出なかったとき。テニスをやめたいとまでは思わなかったけど、リハビリに苦労して、なかなか治らなくて嫌になった時期もありましたし。目標がまったく見えなかったときもあったので、そういう時期を乗り越えて、今こうやって来ているのはうれしいですね。

Q そのとき諦めないでくださってよかったと思います。さきほど日本記者クラブ恒例のサインを頂きましたのでご紹介します。「一言書いてください」とお願いしたら「5位」と。どういう思いで?

A そうですね、5位で終われたうれしさを率直に。

Q また次回、いらっしゃるときは順位がさらに上がることを期待します。ありがとうございました。

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ATPツアーファイナル準決勝 錦織圭×ジョコビッチ
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