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ネオニコチノイド、ミツバチ大量死の原因とされる農薬がカナダ・オンタリオ州で規制

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カナダ中東部のオンタリオ州 は、北米の国および州の中では初めて、ミツバチの個体数の急激な減少に関係するとされるネオニコチノイド系農薬の使用を厳しく規制する方針を発表した。

オンタリオ州が11月25日(現地時間)に発表したプレスリリースによると、同州は、トウモロコシと大豆の生産時に使用するネオニコチノイド系殺虫剤の使用量を、2017年までに80%削減するという目標を設定した。

同州はさらに、農作物の受粉を助けるミツバチを保護するための行動計画の策定も行う。2020年までに、冬期におけるミツバチの死亡率を15%減少させる目標もあるという。

カナダ養蜂協会(Canadian Association of Professional Apiculturists)が公表した統計(英文PDF)によると、2012年から2013年までの期間における冬期のミツバチ死亡率は、カナダ全体では28.6%だが、オンタリオ州は37.9%だという。

計画が承認された場合、関連する法律は、2015年1月から施行される予定だ。

カナダ保健省が発表した報告書は、2012年のオンタリオ州とケベック州におけるミツバチ大量死の原因の大半が、ネオニコチノイド系農薬でコーティング処理された種子に関係しているとした。こうした種子を蒔く際に農薬成分が混入した粉塵がまきちらかされ、ミツバチが曝されると考えられている(欧米では、農薬でコーティングされた種子を大型機械で播種する作業が一般的で、その際に種子から剥がれ落ちたり、粒が壊れたりして粉塵状になった農薬が拡散して、蜜蜂に付着すると考えられている。日本ではこうした播種作業は一般的ではないが、ネオニコチノイド系農薬は稲、果樹、野菜、家庭用殺虫剤等で幅広く利用されており、ミツバチの被害も報告されている)。

ヨーロッパ連合(EU)は、ネオニコチノイド系農薬が昆虫に与える影響を検討するため、2013年末から同農薬の使用規制を実施しており、この規制は2年間継続する予定だという。

アメリカのオバマ大統領は2014年6月、受粉を支える昆虫の個体数減少を食い止める戦略を立てるための特別委員会を設立し、米環境保護庁(EPA)に調査を実施するよう命じた。しかし北米では、11月25日に至るまで、ネオニコチノイド系農薬の使用を規制するための継続的な対策を実施する国や州は現れなかった。

ただし、カナダ政府はこれまで、ネオニコチノイド系農薬の影響を軽減させるためにさまざまな政策を実施している。例えば、農薬でコーティングされた種子を蒔く際に発生する粉塵の量を減少させるために、専用の潤滑剤の使用を義務づけるなどといった政策だ。しかし、同農薬の使用規制はこれまで行っていない。

アメリカのオレゴン州政府は2013年、同州ウィルソンビル市内の物流センターの駐車場で数万匹のミツバチの死骸が発見されたのを受け、同年に、広範な種類の殺虫剤の使用を一時的に禁止する政策を実施した。

「Oregonlive.com」の記事によると、この殺虫剤の使用規制は、その後詳細な調査が行われ、ミツバチを保護するための別の対策が立てられたため、現在は解除されているという。ただし、オレゴン州のユージーン市は、ネオニコチノイド系農薬の使用禁止を継続している。

ミツバチのコロニー(群れ)の減少は、多くの植物の授粉に深刻な影響をもたらし、ひいては世界の食糧供給に影響が及ぶ危険性があると、多くの人が懸念している。ただし、穀物を生産する農家は、厳しい規制には反対している。

「こうした規模での規制は、オンタリオ州の農家を、ほかの国や地域との競争で不利にするものだ」と、同州の小麦、大豆、とうもろこし農家を代表する穀物農家連合のバリー・センフトCEOは述べている。同連合は一方で、ネオニコチノイド系農薬の影響を軽減させる研究を行っているという。

カナダの非営利調査団体「The Conference Board of Canada」の推計によると、ネオニコチノイド系農薬を禁止した場合、オンタリオ州のトウモロコシ農家および大豆農家の損失額は年間6億3000万ドルに及ぶとされている。

文末スライドショーは、頭の上に水滴を載せた昆虫たちの画像集。

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この記事はハフポストカナダ版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:丸山佳伸/ガリレオ]

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