【ハイスコアガール裁判】著作権侵害の証拠、提出せず SNKプレイモア側「1000件の不法行為で時間かかる」

大阪地裁で12月2日、人気漫画「ハイスコアガール」をめぐる民事訴訟の第1回口頭弁論が開かれた。「この漫画が著作権侵害をしている」と主張している大阪府のゲーム会社「SNKプレイモア」側は、「166カ所の著作権侵害」という当初の主張を変更し、「1000件近くの不法行為がある」と新たな主張をした。問題の箇所が7倍近くに増えた計算だ。
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大阪地裁で12月2日、人気漫画「ハイスコアガール」をめぐる民事訴訟の第1回口頭弁論が開かれた。大阪府のゲーム会社「SNKプレイモア(以下、プレイモア)」側は、「この漫画の166カ所で著作権侵害している」という当初の主張を変更し、「1000件近くの不法行為がある」と新たな主張をした。問題の箇所が6倍に増えた計算だ。

証拠提出をめぐって、プレイモア側は「あまりに問題点が多いので、整理するのに時間が掛かる」と述べ、裁判官が窮する一幕もあった。

■「引用か否か」めぐって緊迫したやり取りになるはずが…

今回の事件は、4月ごろにプレイモアが東京都のスクウェア・エニックス社(以下、スクエニ)を刑事告訴したことに端を発する。

スクエニが計110万部を発行していた漫画「ハイスコアガール」が、「餓狼伝説」や「サムライスピリッツ」など、プレイモアが著作権を管理するゲームを無断で作中で使用しているという内容だった。これを受けて8月に大阪府警がスクエニ本社などを家宅捜索、11月にはスクエニの担当者や作者の押切蓮介氏ら計16人が書類送検されている

12月2日に行われたのは、スクエニ側が「著作権侵害というプレイモアの主張は事実ではない」として、逆にプレイモアを訴えた民事裁判だ。大阪地裁の法廷の円卓に、スクエニ側の弁護士と、プレイモア側の弁護士、それに裁判官ら計12人ほどが椅子を並べた。

漫画の作中で、他社のゲームキャラを出した場合に「引用にあたるのか否か」をめぐって、緊迫した議論になるはずだった。しかし、肝心のプレイモア側は、スクエニ側が求めていた「著作権侵害の証拠」の提出を拒んだことで、「いつ証拠を提出するのか」の議論だけで、この日の審理は終了した。

■「我々も議論しようがない」と裁判官

プレイモア側の弁護士は「『ハイスコアガール』に絡んでプロモーション・ビデオなどの不正行為が、全部で1000カ所近くはあるので、証拠提出に時間がかかる」「こちらも反訴を予定しているので、今の時点で証拠を出すのは難しい。全体像を明らかにするまで待ってほしい」として、証拠の提出に時間がかかると話した。

これに対して、裁判官は「そもそもプレイモアが、何を問題にしたかが分からないと我々も議論のしようがない」と述べた。「刑事告訴したという歴史的な事実はあり、それが端緒なのだから、刑事告訴の内容を示してほしい」と、プレイモア側に何度も強く要請すると、最終的にプレイモア側も応じた。「前向きに検討するが、2カ月はかかる」として、まずは2015年1月末までに刑事告訴の際に問題視した166カ所の描写を提出することになった。

スクエニ側は「なぜ2カ月もかかるのか」と質問したが、プレイモア側は「内容を分かりやすくする必要があるため」という説明だった。予定を上回る40分近くにわたって議論がなされたが、証拠を提出する時期をめぐってのせめぎ合いに終始した。

「ハイスコアガール」に関して書類送検されたスクエニ側の16人は、もし大阪地検が起訴すれば刑事裁判が開始される。プレイモア側としては刑事手続きが進む前に、スクエニ側に手の内を明かすのを避けたような印象を受けた。

第2回目の審理は2月10日午後1時半から、非公開の「弁論準備」でなされる。また、それと平行して、来年初頭にプレイモアがスクエニを民事訴訟で反訴する構えだ。人気漫画をめぐる裁判は、今のところ和解の糸口は見えず、泥沼の様相を呈してきた。

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