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石油・天然ガス採掘、多くが中止の可能性 価格下落で採算悪化

2014年12月06日 00時12分 JST | 更新 2014年12月06日 00時12分 JST
Reuters

[ロンドン 4日 ロイター] - 来年、総額1500億ドルを超える規模の石油・天然ガス探鉱プロジェクトが中止される可能性が出てきた。価格が下げ止まらないなか、採算がとれるか不透明感が増しているためだ。

数十年前に発見された大規模油田が枯渇し始めるなか、石油会社は深海など、より開発の難しい場所に進出することを余儀なくされている。ただ同時に、そうした場所を掘るための最新技術にはコストがかかる上、昨今の原材料価格の上昇で、全体の生産コストは急上昇している。

ノルウェーのコンサルタント会社ライスタッド・エナジーが公表した最新のデータによると、来年は合わせて800件の新規の石油・天然ガスプロジェクトに最終投資決定(FID)が下される。これは金額にして5000億ドル、埋蔵量で見ると石油換算で600億バレルに近い。

しかしライスタッド・エナジーの分析責任者、ペア・マグナス・ニスビーン氏によると、原油価格が来年、平均1バレル=82.50ドルと予想されるなか、これらのプロジェクトは金額ベースでおよそ3分の1、埋蔵量ベースで5分の1については、承認されない公算が大きい。つまり、総額1500億ドルを超える規模の石油・天然ガス探鉱プロジェクトが中止される可能性がある。

さらに、原油価格が1バレル=70ドル程度ならば、半分のプロジェクト(埋蔵量ベース)は、実施されない可能性が高くなるという。

2015年にFIDを控えるプロジェクトのうち3分の1程度は、フラッキング(水圧破砕)とよばれる非従来型の手法を用いるものだ。

■原油価格120ドルで採算割れも

実施が危ぶまれているプロジェクトはあらゆる地域に及ぶ。

その一例が米シェブロンのローズバンク油田開発プロジェクト(北海)だ。シェブロンは現在、採算性調査を行っており、実施するかどうかの決定は2015年後半にずれ込む可能性があるという。

レイモンド・ジェームズのリサーチアナリスト、バートランド・ホデー氏は「1バレル=100ドルでも採算はとれない。よって、現在の価格水準では、計画が撤回されるのはほぼ確実と見られる」と述べた。

開発コストが近年高騰していることを背景に、たとえ原油価格が1バレル=120ドルであったとしても、世界の一部のプロジェクトは採算割れになるとされる。ローズバンク計画はすでに数年、遅れている。

ノルウェーのスタトイルは今週、収益性が悪化していることを理由に、スノーレ油田(ノルウェー領北海)への57億4000万ドルの投資について、決定を来年10月まで延期したと明らかにした。

<最も厳しいのはカナダのオイルサンド>

最も厳しいのは、高額かつ高度な掘削技術を要するカナダのオイルサンドだ。投資額の割にリターンが低いため、数あるプロジェクトのなかでも実施の見込みが最も小さいと見られている。仏トタルは最近、アルバータ州のジョスリンプロジェクトのFIDを延期した。

シェルのブリティッシュコロンビア州の液化天然ガス(LNG)プロジェクトもその1つ。シェルのヘンリー・サイモン最高財務責任者(CFO)は10月、原油価格が1バレル=80ドルを割り込めば、プロジェクトを実施する可能性は「非常に低くなる」と述べた。

世界で最も魅力的な石油生産地の1つとされるメキシコ湾も例外ではない。英BPは昨年、開発コストの高騰を受けて、メキシコ湾の「マッド・ドッグ・フェイズ2」深海プロジェクトについて決定を保留とした。ここにきてBPは投資をさらに遅らせると見られている。

(Ron Bousso記者 翻訳:吉川彩 編集:加藤京子)

■石油価格、数年で100ドル近くに反発 国際機関見通し

[ストックホルム 5日 ロイター] - 国際エネルギー機関(IEA)のチーフエコノミスト、ファティ・ビロル氏は5日、今後数年間で石油価格は1バレル当たり100ドル近くまで反発するとの見通しを示した。

ビロル氏は当地で開催の会議で長期的な石油価格の見通しについて聞かれ、「石油価格は今後数年で需給バランスが均衡することから、100ドル近くに達するだろう」と述べた。

「現在起きていることで判断力を失ってはならない。地質学および石油市場の経済学から判断すれば、数年後に価格が上昇に転じても驚くべきことではない」とした。

北海ブレント原油先物は今週初めに68ドルを下回り、5年ぶりの安値をつけた。

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