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2014年12月18日 20時11分 JST | 更新 2014年12月18日 20時12分 JST

【ルーブル暴落】ロシア飲み込む原油安、混乱は世界に連鎖するのか

Reuters

[ロンドン 17日 ロイター] - 原油安と欧米のインフレ低下を震源とする市場の混乱は、今やロシアを飲み込もうとしている。近年の金融危機においては、世界市場の相互依存が高まった結果、ある場所で「地震活動」が発生すると他の場所にも瞬時に影響が広がることが多い。

その意味で、今回のケースでも、世界的な負の連鎖につながるリスクがあるといっても過言ではない。

連鎖反応が起こる理由の一つには、ファンドマネジャーの行動がある。危機に見舞われた市場で被った損失をカバーするために、ポートフォリオの中で収益性の高い資産の売却に迫られることがあるからだ。

今週見られたロシアの通貨と株式、債券の急落は、地球の裏側のクレジット市場にも波及。米ハイイールド債からノルウェークローネ、スロベニアの製薬会社の株式まで、幅広い資産の価格にも影響が及んだ。

多くの資産クラスで市況が悪化、ビッドとオファーのスプレッドも拡大し、流動性が逼迫した。トレーダーは、米国債や主要国の株価指数など流動性が最も高い市場でも影響が感じられたと報告している。

年末を控えたポジション巻き戻しやドル高、予想される米金融政策の変更を背景に、市場はもともと神経質な状態だったという面もある。

ただマネーストラテジストは、こうした要因を考慮に入れたとしても、原油価格が安定するまでは現在の混乱は収まらない、と見る。

JPモルガン(ロンドン)のグローバルマーケットストラテジスト、ニコラオス・パニガーゾグロー氏は「原油価格の下落が最大の要因だ。インフレ率低下につながるため、政策当局者にとって問題であり、世界にとっても問題だ」と指摘。「影響を受けない市場はない。原油価格が落ち着くまでは、値動きの荒さを覚悟したほうがよい」と述べた。

■すべては原油から始まった

北海ブレント原油先物は1バレル=60ドルを割り込み、2009年以来の安値をつけた。供給増と需要減、石油輸出国機構(OPEC)の減産見送りなどを背景に、6月末以来50%下落している。

財政を原油やエネルギー輸出に依存する国の通貨が即座に反応。たとえば、ノルウェークローネは9月末以来、ユーロに対して12%下落しており、1四半期の下落率としては6年ぶりの大きさになる見通し。四半世紀超の期間では2番目に大幅な下落となる公算だ。

財政均衡には1バレル=100ドルの原油価格が必要とされるロシアでは、影響は特に甚大だった。ルーブルは過去最安値に下落、対ドルでは今週1週間で20%急落した。ロシア中銀は今週、政策金利を650ベーシスポイント(bp)引き上げ、17%としている。

一方、原油価格が急落したこの6カ月は、先進国市場でストレスが高まった時期と重なる。主要国通貨のほか、最も安全性が高いとされる米国債市場<.MERMOVE1M>でもボラティリティーの急上昇が観測された。

また、世界3大中銀の金融政策の方向性をめぐる市場の予想が、大幅に変化した時期と重なっていることも、偶然とは言えないだろう。

投資家は、欧州中央銀行(ECB)と日銀の金融政策について、2014年上半期に織り込んでいたよりもさらに積極的な緩和を実施すると予想し始めている。一方、原油価格の下落を受けて、米連邦準備理事会(FRB)の利上げ時期をめぐる市場の不透明感が増している。

つまり現在のボラティリティーの高さは、原油に依存しドルとの連動制が高い新興市場だけが原因なのではなく、先進国の問題でもある。

ソシエテ・ジェネラルの新興市場戦略責任者、ベノイト・アン氏は「新興市場の危機であると同時にG10の危機でもある」と語った。

(Jamie McGeever記者 翻訳:吉川彩 編集:橋本俊樹)