北朝鮮「南北首脳会談、できない理由はない」 金正恩氏「新年の辞」で言及

北朝鮮の労働新聞は1月1日付で、金正恩第1書記の「新年の辞」を掲載した。全体の4分の1程度を割いて南北関係の改善を訴えている。
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北朝鮮の労働新聞は1月1日付で、恒例となる金正恩第1書記の「新年の辞」を掲載した。労働新聞のホームページに掲載されたほか、朝鮮中央通信でも配信された。

新年の辞は新聞2面にわたる長文だが、2015年が日本の敗戦による植民地支配からの解放と、南北分断から70年になる節目でもあり、後半で全体の4分の1程度を割いて南北関係の改善を訴えている。

特に、「南朝鮮(韓国)当局が真に対話を通じ、南北関係を改善しようという立場ならば、中断している閣僚級会談も再開でき、部門別会談もできます。雰囲気と環境が整うに従い」との前提つきながら「南北首脳会談もできない理由はありません」と述べているのが目を引く。

南北統一に関しても、北朝鮮の社会主義を「南朝鮮に強要しないし、強要したこともありません」「不信と葛藤をあおる『制度統一』を追求してはならない」などと述べた。対話と交流を強化して「南北関係に大転換、大変革をもたらさねばなりません」と述べた。

北朝鮮は2014年から、南北軍事接触に応じるなど、関係改善に積極的な動きを見せており、この流れを受けたものとみられる。

一方で、紛争が相次いだ世界情勢に触れ「力による強権が幅をきかせ、正義と真理が無残に踏みにじられる今日の現実は、我々が先軍(軍事優先)の勝ちを高く掲げ、核抑止力を柱とする自衛的国防力を固め、国の声明である国権を堅く守ることがどれほど正当だったのかを明白に実証しています」として、「我々は今後、国際情勢がどう変わり、周辺国の関係の構図がどう変わろうとも、我々の社会主義制度を圧殺する敵の策動が続く限り、先軍政治(軍事優先政治)との並進路線を堅持し、国の自主権と民族の尊厳を堅く守ることでしょう」と、核開発や軍事優先路線の継続を明言している。

例年同様、日本への直接的な言及はない。

「新年の辞」の前半は、国内の軍事や経済についての言及が中心となっている。兵力について具体的な言及はないが、人民生活の改善を訴える項目では農業、畜産、水産の強化を掲げ「水産業を決定的に飛躍させ、『魚台風』を起こし、人民の食卓に潮の香りが香るようにしなければなりません」と述べるなど、なかなか向上しない人民生活の一端がうかがえる。

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