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2015年01月11日 21時42分 JST | 更新 2015年01月11日 22時50分 JST

イクボス部長、「仕事」と「育児」どうしてる? リクルートに聞いてみた

「イクメン、イクメンとメディアで騒がれると、すごくプレッシャーを感じる」。そんな男性の声を最近耳にすることがある。家事や育児をやらなければと感じている男性は、増えているのかもしれないが、30〜40代で中間管理職的な立場では、なかなか自分のワークライフバランスをコントロールできないというケースも多いだろう。

では、そんな世代が、実際にどのようにして日々仕事と家庭に向き合っているのか。今回、約50人の部下を持つ部長職に就きながら「子供を持ったことをきっかけに働きかたを変えた」というリクルート住まいカンパニーの今井良樹さん(写真)に、働きかたと家事育児への関わり方について話を聞いた。

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■出席する会議を吟味し、労働時間を短縮

「子供が産まれる前は、早ければ朝8時から会議が入り、夜は22時、23時くらいまで会社にいることもよくありました。でも、上の子が産まれて、1歳になった頃に妻が仕事に復帰することになり、このままでは家庭が回らなくなると危機感を感じ、まず、子供を保育園に送ることからスタートしたんです」

「SUUMO」、「ゼクシィ」や「ホットペッパー」などで知られるリクルートグループだが、社員がモーレツに働くというイメージを持っている人も多いだろう。今井さんも、子供を持つ前は、そんなバリバリ働く社員の1人だった。「当時は時間を気にせずに働いていたような気がします(笑)」と当時を振り返る。そして、現在は、6歳と2歳の子供を持つ2児のパパ。仕事では、新規事業の開発や、スマートデバイスやビッグデータを中心とした企画開発に携わっている。

今井さんが「働きかたを変えよう」と決めてまず取り組んだのは、業務の棚卸し。特に、どの会議に出るかを、期初となる4月にかなり吟味して絞り込んだという。

「依頼のあった会議にすべて出ていると、それだけで1日がすべて埋まってしまう日もありました。そこで、まず毎週定期的に実施される会議について、かなりシビアに絞り込んだんです。『出た方が良い』くらいの会議には出ないことにしました。それだけで、昼間その他の業務をする時間を作ることができました。情報のキャッチアップなら、後で議事録で把握できたりもしますし」

ちょうど、妻が仕事復帰するタイミングが4月だったこともあり、期初のタイミングで会議を厳選できたことは大きかったという。そして、次に行ったのは、グループ内のスケジュール管理ソフト上で、午前10時前に予定が入らないようにブロックしたことだった。

「朝8時に保育園に送って行って出社すると、おおよそ9時半。子供がくずったり忘れ物をしたりした場合も、30分間の余裕があるので安心です。第2子が産まれて以降は、夜8時以降もスケジュールが入らないようにブロックしてあります。それでも、予定は日々入ってきますが(笑)、結果的に大事な会議だけに絞り込んで、参加することができています」

「20時退社というのは、ぜんぜん早くはないのですが(笑)、今のところ、どうしても18時に会社を出るというのは、今現在の自分の仕事内容や業務量から実現できるイメージが湧かないので、お迎えは妻に任せています。その代わり、できるだけ子供のお風呂に間に合う時間帯には家に着きたいと考えて調整していますね」

■アウトプットの質を上げていくことを常に意識

部下にとっては、今まで終日フル稼働していた上司が、突然働きかたを変えることに、反発や戸惑いを感じることもありそうだが、周囲との軋轢は無かったのだろうか。

「今のところ特に問題は起きてしていません。基本的に、何かあったら時間はいつでも調整しますというスタンスなので、特に支障は無いのではないでしょうか。それに、働きかたを変えたタイミングが4月で、ちょうど部署異動があったため、『この人はこういう人なんだ』と認識されたのかなと思いますね」

また今井さんは「労働時間を短縮してもアウトプットの質は下げず、むしろ上げていく」という点を、かなり意識しているという。それを実現させているのがスキマ時間の活用。「ITの力は大きいなと思っております。というのも、スマホやiPadを利用することで、移動時間中に対応できることも増えていますから」と語る。

「僕の場合、考えなければいけないことが日々多いんですよね。それは電車に乗っていても、歩いていてもできることなので、『これは!』と思ったら、すぐ自分にメールを送るようにしています。また、毎朝のメールチェックは、通勤時間に電車の中で行うようにしていて、会社に着いたときには、ほぼすべてのメールに返信し終わっていますね」

会社で仕事をする時間は圧縮しながらも、労働時間内の生産性は上げていく。その時間その時間をどう過ごすか、無駄の無い時間の使いかたを意識するようになったという。また、自身がやるべきことを選択し、メンバーを育成して裁量を渡していくようになったことで、組織力が強くなったという別のメリットも感じているとか。

「自分が限られた時間ですべきことは何か、そこをしっかりと選択し、メンバーに渡せるものはまかせていくことによって、組織力が強くなったと感じています。また、メンバーの中には、僕と同じように子育てをしている人もいるので、急にお迎えに行かなければならなくなった場合に、心から共感してフォローすることができるようになったことも大きいですね。ただ一方で、僕と同じようにアウトプットの総量は減らしてほしくないなとも思っていて、メンバーにも常に働きかたの改善は求めています」

「仕事と家庭の良いバランスがあって、初めて仕事が成り立つ」という今井さん。しかし、もし自身がこれほど子育てに参加していなかったら、様々な事情で労働時間を短縮せざるを得ないメンバーに対して、「仕事の質が下がらないかと心配する自分がいたような気がします」と、その心の内を語ってくれた。

■家事育児の分担は常に変化させ、夫婦間のバランスを取る

ところで、家庭における、家事育児の分担については、どうしているのか。今井さんは「日々チューニングです」と話す。つまり、子供が成長したり、2人目が産まれたことで、家庭の中でやらなければならないことは変わっていく。それに合わせて、夫婦で常に調整していっているのだという。

「平日は、ゴミ出しと夕食後の片付け、間に合えば子供をお風呂に入れるくらいですが、休日は洗濯物を干す、部屋の掃除、長女の外遊びに付き合う、お米を研いで炊飯器に入れるなどが僕の役割です。家事って習慣だと思うんですよね。以前はゴミ出しすら、やっていなかったのですが、慣れると苦にならずにできます。うちの妻は、はっきりと要求を伝えてくれるので、僕も学ばざるを得ないという部分もありますが(笑)。それでもまだ、家事は妻に依存している部分が多いので、できることはやっていかなければと感じています」

今井さんによれば「家庭内でのワークとライフのバランスが悪いと、中長期的に見て、家庭は上手くいかなくなる」とか。つまり、どちらか一方に、家事の負担が重くのしかかれば、その不満がいつか爆発する可能性がある。家庭円満を保つなら、家事育児、そしてそれぞれの仕事も含めて、バランスを取ることが大事と考えているそう。

ちなみに、妻から家事について「もっとこうして欲しい」と要求されることに、男性は「せっかくやったのに」と、あまり良い気はしないと聞くが、「それで(妻と)もめたりはしないのですか?」という質問したところ、今井さんは「そこは闘うところではないかなと思って、素直に受け止めています」と笑った。今井さんの、家族に対する愛情を感じられるひと言だ。

「彼女がやっていることに比べると、僕の家庭での貢献度はまだまだ低いですし、いわれて『確かにそうだな』と思うことも多いので、そこではもめないですね。それによって、僕の家事の質も進化してきていますしね」

育児中は、日々状況が変わり、大変さも変わって行く。そんな中でうまく回して行くコツは「きっちり決めすぎないこと」と「家族で話すこと」だと今井さんはいう。

「例えば、子供が習い事をひとつ始めただけでも状況は変わりますから、その時々に合わせて日々チューニングしていくことが必要なのかなと……。『こうあるべきだ』と決めてしまうと、うまく行かないこともありますし、もし、これからもう少し家事育児に貢献して行きたいと考えている人がいるなら、『小さなこと』『すぐにできること』から始めてみるのが良いのではないでしょうか。家族、特に夫婦でよく話し合って、不満を溜め込まないほうが良いのかなと思いますね」

決して「スーパーイクボス」というわけではないが、仕事のしかたも家事のクオリティも、毎日少しずつ工夫しながら前に進んでいるという印象を受ける。男性でも育休を取ったり、時短勤務ができたりするのが理想かもしれないが、「ワーク」と「ライフ」の両方を試行錯誤をしながら進化し続ける今井さんのような働きかたも、ひとつの「イクメン」「イクボス」の姿なのではないだろうか。

(相馬由子)

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