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「湯川遥菜さん救うチャンス逃した」 常岡浩介さんが警察批判

2015年01月22日 17時01分 JST | 更新 2015年01月22日 17時31分 JST
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過激派組織「イスラム国」への取材経験があるジャーナリスト常岡浩介さんが1月22日、都内の日本外国特派員協会で会見を開いた。湯川遥菜さんと後藤健二さんの2人をイスラム国が殺害警告した件について、21日に「イスラム国と交渉ができる」と政府に協力する意向を示していた

2014年10月、常岡さんはイスラム国に北海道大の男子学生が戦闘員として加わろうとしたとされる事件に関係した疑いで、警視庁の家宅捜索を受けていた。常岡さんによると、この家宅捜索でパスポートなどを押収されたためイスラム国への渡航が困難になったと指摘。「警察の妨害でイスラム国へ行けなくなったことで、湯川さんを救い出すチャンスを逃した」と主張した。

常岡さんは、長崎放送の報道部記者を経てフリーに転身。ロシアのチェチェン共和国などの紛争地帯での取材活動で知られている。2010年にはアフガニスタンで武装勢力に5カ月間にわたって誘拐されたほか、2011年にはパキスタンで取材中に、ベナジル・ブット国際空港にてパキスタン当局に身柄を拘束された後に、日本に強制送還された。

常岡さんが会見で話した主な内容は以下の通り。

■「警察の捜査が湯川さんと後藤さんの危機的状況を引き起こした」

常岡浩介と申します。イスラム国に参加しているチェチェン人の取材をしていたところ、偶然、イスラム国のオマル司令官を紹介されて知り合った。オマル司令官からは、2014年8月にイスラム国の司令官からメッセージが届きました。すぐにイスラム国に来て欲しい。私たちが日本人ジャーナリスト(湯川さん)を拘束しているが、彼は英語もアラビア語もできないので、通訳が必要だ。イスラム教の裁判をするための立ち会い人が必要だとのことでした。

9月にイスラム国が首都としているラッカでオマル司令官と面会した。オマル司令官とはそれまでにも何回か取材で会っていました。私と中田先生を司令官が招待したことで、会うことができた。

湯川さんについては「身代金を取らない、命を取ることもしないというのがイスラム国の方針。イスラム法に沿った公正な裁判をする」ということが彼の説明でした。湯川さんに会うのが目的でしたが、待てど暮らせど返事がなかった。

そのときにラッカに対してアサド政権の過去最大の空爆があった。そのあとも、司令官は上官への連絡を試みていたんですが、空爆による指揮命令系統の混乱があった模様です。結果的には9月5日の3日後の8日に連絡が入りました。1週間待って欲しいとのことでした。

中田先生は「1週間も待てない。帰る」ということでしたので、私も帰ることにしました。中田先生は来れないが、一カ月後に私が再訪することにしました。アラビア語に堪能な中田先生がいないと裁判は難しいが、私だけでも日本語から英語への通訳はできるので裁判は可能と思えた。それで、10月にまた訪れる、との約束のもとで私たちは日本に帰りました。

10月9日にまたイスラム国に向かう予定でしたが、10月6日に日本の警察が我が家を訪れて、(北海道大学の学生がイスラム国に渡航しようとした)事件の関係先として我が家を捜索して、取材に必要なカメラやノートパソコン、パスポートなどを押収されてしまった。そのために10月の出発が不可能になってしまった。

3カ月前の司令官の発言もあって、今まで楽観視していましたが、今回のビデオを見て状況が完全にひっくり返ってることを見て驚きました。日本のテレビでイスラム国を取材したときの模様は放映しています。私がイスラム国への再出発の準備をしていたのに警察を妨害して行けなくなったことで、湯川さんを救い出すチャンスだったのを逃したといえます。

警察が「お前も容疑者である」と言ってきましたが、未だに起訴もされていません。もし警察が私の取材を妨害しなかったら、裁判に私も出席して彼を無罪にできる可能性もありました。湯川さんはイスラム教に改宗していましたから、それを証明できれば彼の無罪を勝ち取れる可能性がありました。ただし日本語ができる通訳がいないと、それを証明するのが難しい状況でした。湯川さんが無罪となり解放されれば、危険を冒して後藤さんがイスラム国に入ることもなかったんです。

そのため、警察の捜査が湯川さんと後藤さんの危機的状況を引き起こしたとも言えます。

私が容疑者扱いになっているせいなのか、警察も外務省も私にチャンネルを求めてこない。家宅捜索された事件に関しては、これまで警察の捜査に協力できないといってきたが、ネットでも昨日書いたように人命を救うためであれば協力をする用意はあります。

−−−イスラム国とどのように交渉するのか?また北大生の件は実際にはどうだったのか?

どのようにイスラム国側と交渉するかということですが、私も中田先生を湯川さんから身代金を取らない、殺さないと聞いていたわけです。それがなぜ変わったのかを問いただす方針です。安倍首相が2億ドルを供出すると発言した、それが動画中では十字軍であり、女子供を殺すのに使われるのであると動画中で主張している。誤解であれば人道支援であると説得する、誤解でなくて分かってて言ってるのであれば、人を騙すことを禁じたイスラム法に反するのでそこを追及したい。

イスラム国の司令官への直接のコンタクトは現在は取っていません。エジプトにいる関係者から連絡はあるが、「警察の監視下にある」とだけ返事している状態です。

北大生をイスラム国の戦闘員として送り込もうとしていたと警察が主張している件ですが、僕自身は彼はイスラム国に行く意志がなかったと思っています。一種の放言であって、現在ではツイッター上でそうした発言をしていない。

−−−警視庁の公安部はどうしてそのような行動を取ったのか?

私の捜査をしている公安部外事3課は、できあがってからまるで成果を挙げてないだけでなく、捜査情報を外部に流出した事件を引き起こしたことがあります。世界で最も無能な捜査機関と言っても間違いないと思います。だからそのような行動を取ったのだと思います。

−−−72時間のタイムリミットをどう考えるか?

状況は絶望的だと思います。ビデオで予告されて助かったケースはないと思います。これまでに助かったケースは、ビデオが出る前です。相当絶望的な状況に陥ってると思います。それでも助けられる方法があるとすれば、直接対話するしかない。直接対話するチャンネルが私と中田先生にはあるのに、政府は活用としていない。もし、日本人の人質が殺害された場合に、一義的にはイスラム国が責任がありますが、それに対策できるのに対策できなかったのは、(私と中田先生の捜査をしてきた)警視庁外事3課であり彼らが第二の責任者として責められるべきだと思います。

−−−こういう状況にありますと、身代金を支払うべきか否かはどうか?日本が代案を出すなど、状況を改善することはできないのか?

身代金については、私は払うべきでないと思っています。イスラム国は身代金でこれまでも活動してきたので、犯行が繰り返されるだけだと思います。彼らが最初に言っていたようにイスラム法廷を開いてくれればいい。死刑ではなくても、むち打ち刑で済むのならば、それの方がマシです。懲役刑はないかもしれないが、もしやるのならそれでもいいと思います。イスラム国は彼らの本音と建て前があるのですが、イスラム法を重視するという姿勢なので、イスラム法に沿った主張をすれば彼らが考える余地はあると思います。

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