加藤智大被告の死刑確定へ 秋葉原事件 「責任能力の欠如」認められず

秋葉原通り魔事件の加藤智大被告の死刑判決が、確定することになった。
時事通信社

秋葉原通り魔事件の加藤智大(かとう・ともひろ)被告の死刑判決が、確定することになった。

加藤被告は2008年6月、東京・秋葉原の繁華街にトラックで突っ込み、通行人をはねたりナイフで刺したりして7人を殺害、10人に重軽傷を負わせたとして殺人などの罪に問われてた。最高裁は2月2日、1審と2審で死刑が言い渡された加藤智大被告について、上告を退ける判決を言い渡した。

■「強いストレスで心神喪失か心神耗弱」と弁護側

加藤被告は、2012年に出版した手記の中で「ネット掲示板で自分になりすました人に、罪悪感を与えるために犯行に及んだ」などと主張していた。

手記で被告は、派遣で働いていた当時、社会と接点を保ち、孤立感を埋めるために使っていたネット掲示板に自分の「なりすまし」が現れたことで「存在が殺された」と感じたと記述。なりすました人に罪悪感などを与えるため、事件を起こしたと説明した。

(朝日新聞 2012年7月18日朝刊/秋葉原殺傷事件、被告が手記で謝罪 被害者「自分を正当化」 )

これを受けて2014年12月にあった最高裁の弁論で、弁護側は「インターネットの掲示板で受けた嫌がらせが強いストレスになり、犯行時は心神喪失か心神耗弱の状態だった疑いがある」と主張。加藤被告は犯行時に責任能力が欠けていたとして、「死刑は重すぎる」と減刑を求めていた

これに対して、検察側は「トラックやナイフを着々と準備して犯行に及んでおり、完全な責任能力があった」とし、上告棄却を求めた。

■「周到な準備のもと残虐な方法で実行」と裁判長

しかし、NHKニュースによると、最高裁の櫻井龍子裁判長は「被告は秋葉原の歩行者天国における無差別殺人を企て、周到な準備のもと残虐な方法で実行した。事件が社会に与えた衝撃は大きく、遺族の処罰感情もしゅん烈だ」と指摘。

「派遣社員として職を転々とするなか、社会への不満を募らせ、孤独感を深めていたときに、没頭していたインターネットの掲示板で嫌がらせを受けた。その相手に対し、嫌がらせが重大な結果をもたらすことを知らしめようとして犯行に及んだという動機や経緯に酌量の余地は見いだせず、死刑を認めざるをない」と述べて、上告を退けたという。

【関連記事】
ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています

注目記事