「セラピードッグ」が子供の読む力を向上させる

セラピードッグは子供たちが本を読むための手助けもする。ノースカロライナ州のフレッチャー図書館では、本をうまく読めない子供や、学習障害や不安障害を抱える子供がセラピードッグを相手に安心して読む練習ができる。

人間に安らぎや癒しを与えるように訓練された犬、セラピードッグは、子供たちが本を読むための手助けもする。

たとえば、ノースカロライナ州ヘンダーソンビルにあるフレッチャー図書館では、本をうまく読めない子供や、学習障害や不安障害を抱える子供が安心して読む練習ができるよう、セラピードッグに読み聞かせをするプログラムがある、とAP通信が紹介している。プログラムに参加する子供たちは、図書館で予約をとって「セラピードッグ・インターナショナル」が派遣する犬に読み聞かせをする。

エイドリアーナちゃんと、セラピードッグのスプリンガーとソランジュ。

このプログラムに参加している8歳のエイドリアーナちゃんの母親、ミシェル・シェパードさんは「子供たちが犬から安らぎを得られるとても素晴らしいプログラムです。たとえ短い時間でも、犬と一緒に時間を過ごすことは子供たちにとても大きな影響を与えます」と話す。

2014年、慢性の頭痛に悩まされていたエイドリアーナちゃんは学校を欠席する日が多くなり、母親が自宅学習で教えるようになった。そんな彼女は現在、辛抱強い聞き手であるセラピードッグのスプリンガーを相手に、読み聞かせを楽しんでいる。

「スプリンガーと一緒にいると、友だちに読み聞かせているような気分になります」と、エイドリアーナちゃんは話す。

このフレッチャー図書館のプログラムが始まったきっかけは、2014年10月にセラピードッグのオーナーだったレイチェル・シャーさんが、図書館でセラピードッグによるサービスの提供を申し出たことだ。申し出を受けた図書館のアシスタントのエリザベス・クロンツさんは、字を読むことに苦労している子供たちが自信を持てるかもしれないと思い、このプログラムをスタートさせた。

セラピードッグ・インターナショナルによると、読むことに問題を抱える子供たちの多くは、読む練習をしている時に、周りから評価されることを怖がっているという。しかし、犬が聞き手であれば、評価されることを心配しなくてもいい。

同団体のウェブサイトには、次のように書かれている。「読むことに問題を抱える子供たちは、クラスメートの前で音読する際に、人目を気にしてしまうことが珍しくありません。しかし優しいセラピードッグの隣に座って本を読み聞かせる時には、子供たちは評価されるという恐怖を感じることなく、犬を撫でながらリラックスして読むことに集中できます」

フレッチャー図書館でこの読み聞かせプログラムに参加した多くの子供たちが、「読書友達」と一緒にいると落ち着き、さらにやる気も出ると語っている。

同様のプログラムはほかの場所でも行われており、効果があることも証明されている。たとえば、「READing Paws」というプログラムは、小学生の子供たちにセラピードッグを紹介し、読み書き能力の向上を支援している。

「本を読むことは、世界一難しいことだと思っていました」とREADing Pawsに参加したジョーダン・パイパーくんは、ハフポストUS版で2012年に紹介した記事でそう語っている。「セラピードッグは、難しい単語を声に出して読むのを助けてくれるし、やる気を出させてくれます。全然吠えたりしません。いつも聞いてくれるし、間違っても責めたりしません」

もう一つ、バージニア州アレクサンドリアの「Paws to Read」プログラムでも、学習障害を抱える子供や、読み書きを学んでいる子供が、評価されない環境でセラピードッグを相手に読む練習をすることができる。2012年のワシントン・ポスト紙の記事では、プログラムに参加した子供たちがセラピードッグと一緒にいると人目が気にならないと語っている。

「学校でクラス全員に読み聞かせをすると緊張してしまうことがあります。でも犬たちは、私が読んでいる間じっと聞いてくれるんです」そう、8歳のショーン・サリバンちゃんは話している。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:梅田智世、合原弘子/ガリレオ]

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