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携帯各社、光サービスで火花 KDDI「そうやすやすとは追いつかれない」

2015年03月07日 02時58分 JST | 更新 2015年03月07日 02時58分 JST
Reuters

[東京 6日 ロイター] - 携帯電話会社の新たな収益源として期待される光サービスをめぐり、NTTドコモ<9437.T>とソフトバンク<9984.T>が本格的な拡販に乗り出した。

両社は今月1日からサービスを開始、特にソフトバンクは販売代理店向けの目標数字を引き上げるなど強気の姿勢をみせている。光サービスは携帯電話顧客を囲い込み、将来の市場シェアを固定化する可能性もあり、各社にとっては「絶対に落とせない戦い」(ソフトバンク関係者)となっている。

<顧客つなぎとめの強力な手段>

総務省によると、昨年9月末現在の光サービスの契約数は2600万件。光ファイバー網の整備率は100%近いにもかかわらず、利用率は全世帯の50%程度にとどまっており、普及率が100%を超える携帯電話市場と比べて、なお「伸びしろ」のある市場だ。

足元で利用が伸び悩んでいる背景には、予想以上のペースで進んだモバイルブロードバンドの普及があるが、光回線を活用した魅力的なサービスを生み出せなかったことも大きい。「動画をストレスなく見ることができる」などというPRだけでは、長いデフレの中で固く閉じてしまった消費者の財布のひもを緩めることはできなかった。

そこでNTT<9432.T>東西地域会社が2月から始めたのが企業などに光ファイバー回線を貸し出し、相手先ブランドでの販売拡大を目指す「光コラボレーション」モデルだ。「フレッツ光」のブランドで提供してきた直接サービスから転換、今後は光コラボ先の企業を支援する「黒子役」に軸足を移す。

これを受け、ドコモとソフトバンクは1日、光サービスと携帯電話をセットで契約すれば毎月の通信料金を割り引く、いわゆる「セット割」のサービスを始めた。光サービスと携帯電話を同じ会社に揃えれば、加入者は毎月の通信料を節約できる。

一方、両社にとって、光コラボサービスは顧客をつなぎとめる強力なツールともなる。このサービスでは、フレッツ光から他社に乗り換えても電話番号などが変わらない「転用」は1回に限られるため、乗り換えた加入者はそこで固定される可能性が高い。携帯電話サービスが光サービスにひも付されれば、他社に乗り換えるスイッチングコストが大きくなり、携帯電話の解約率低下も期待できる。

<セット割で加入者獲得>

光コラボの最終的な目的は、光を使った多様なサービスを生み出すとともに、2600万件にとどまっている光サービスの契約数を増やすことだが、まず2社のターゲットとなるのは、フレッツ光に加入している1875万人(3月末見込み)の取り込みだ。光コラボサービスはNTTの回線を借りて提供するため、フレッツ光の加入者は簡単な手続きで光コラボサービスに乗り換えることができる。

NTTは2015年度にフレッツ光契約者の3割弱、およそ510万件が光コラボに乗り換えると試算している。510万件は光サービスで業界2位のKDDI<9433.T>と同3位のケイ・オプティコム(関西電力<9503.T>系)を合わせた加入者数を上回る規模だ。裏にある回線はNTTで変わらないとはいえ、表面上は初年度からいきなりフレッツ光に次ぐ業界2位の光サービスが誕生する可能性がある。

<ドコモ、好調維持になお課題>

「光」市場の覇権を狙って、ソフトバンクは3月のサービス実施前から強力な販売攻勢を展開。最大の商圏である関東で、各ショップに対して新規・機種変更の総販売台数の10%に「光」をつける獲得ノルマを課した。

関係者によると、2月はノルマを達成、3月に入って目標数字を20%に引き上げた。特定の大型ショップにはソフトバンクBBから光専任の社員を派遣するなどの力の入れようだ。ある販売代理店の社長は、ソフトバンクからは1000万件とると発破をかけられていることを打ち明ける。

一方のドコモもコールセンターを1000人規模に拡充して対応、「上々のスタート」(ロイターのインタビューで加藤薫社長)を切ったとアピールする。しかし、ソフトバンクに比べると、不安要素もちらつく。ドコモのセット割はデータ量に応じて細かく割引額が設定されており、携帯電話1回線ごとに一定額を割り引くKDDI(au)<9433.T>やソフトバンクに比べ「わかりにくい」と厳しい評価が多い。

また、ドコモはNTTとの一体営業が禁止されているため、フレッツ光の加入者名簿を持っておらず、営業は手探りだ。これに対し、ソフトバンクは自社ですでにフレッツ光などを使ったブロードバンドサービス「ヤフーBB」を展開しており、有力な見込み客を抱えている。ドコモが「上々のスタート」をこれから先も持続できるかどうかは不透明だ。

セット割引で先行するKDDIは「そうやすやすとは追いつかれないだろう」(田中孝司社長、1月30日の決算会見)と余裕の構えだが、急きょ割引額の拡大を決めるなど、流出阻止に余念がない。

セット割引による顧客の移動が一巡すれば、携帯電話市場の顧客流動性は大きく低下する可能性が高い。「転用」の行方は業界地図の今後を占う試金石となりそうだ。

*見出しを修正、配信先カテゴリーを変更しました。

(志田義寧  編集:北松克朗)