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2015年03月08日 21時52分 JST

「Apple Watch」で巻き起こるか、ウエアラブル旋風

Reuters

米アップルの腕時計型ウエアラブル端末「アップルウォッチ」の詳細が来週の発表会でついに明らかになる見通しだ。次世代を担う製品としてウエアラブルの分野に向けられた期待に沿う端末はまだ投入されておらず、「アップルマジック」が巻き起こす市場全体の新たな波に、競合他社でさえ期待を寄せる。

専門家は消費者をとりこにする製品がようやく投入されると指摘。調査会社CCSインサイトのベン・ウッド氏は「アップルが成功すれば、全体市場をけん引する上昇気流が生まれる」と話す。

同社によると、アップルが今年、スマートウォッチ(腕時計型端末)を2000万台販売し、ウエアラブル分野全体の販売台数は7500万台へと、150%増加する見通し。市場は2018年までに3億5000万台の規模に拡大すると予想している。

別の調査会社ストラテジー・アナリティクスは、アップルが今年、1500万台を販売するとの見通しを示している。

斬新な製品を開発するのと、それを人々が実際に身に着けるようになるのとは、まったく別のことだ。ナイキやグーグルの例はまさにそれを象徴している。

ナイキは1年前、業界に先駆けて投入していたリストバンド型端末の生産作業を停止。そして、これまでに最も注目されつつ失敗に終わったのは、眼鏡型端末「グーグル・グラス」だろう。グーグルは1月に個人向け販売を中止した。

このグーグル・グラスはセレブやファッションモデルなど、世界全体から注目を集め、英国のチャールズ皇太子でさえ試着したこともある。だが、日常生活で実際着用されることはあまりなかったようだ。

調査会社ジュ二パー・リサーチは最新のリポートで、売り手がまず、「技術優先」の姿勢をあらため、消費者に購入を決心させるようなウエアラブル端末特有の魅力が何かを考える必要があると指摘した。

リポートは「腕時計型や眼鏡型など多くのウエアラブル端末をどのような時に着用すればいいのか消費者はまだよく分からない状態」とし、スマートフォン(スマホ)と同じような機能を備えるウエアラブル端末を使うことに、特に躊躇(ちゅうちょ)しているとの見方を示した。

ここで登場するのが、音楽プレイヤーやタブレット端末といった分野で新たな旋風を巻き起こし、幅広い消費者を取り込んできたアップルだ。スペインの携帯見本市「MWC」では多くの企業が自社の端末を発表しているが、参加していないアップルが9日のイベントで注目を一気に奪うとみられる。このイベントでは、新たな腕時計型端末の詳細が公表されると幅広く見込まれている。

<スタイル>

スマートウォッチを製造するメーカーが特に気を付けているのはスタイルだ。各メーカーは、奇抜に見えないように、スタンダードな時計に近いデザインに仕上げ、それを宣伝しようとしている。

時計ブランドはこれまで、スマートウォッチに移行する流れに抵抗してきた。一方、ファッションブランドから市場への参入を試みる動きも出始めている。米国の「ゲス」は、アパレルブランドとしては初のスマートウォッチと銘打つ製品を投入した。

ナイキは本格参入は見送っているが、ライバルの米スポーツウェアメーカーの「アンダー・アーマー」は台湾のHTCと共同でフィットネス用の端末を開発している。

ネックとなるのは、ウエアラブル端末が現時点で、主にスマホと連動させることで機能するという点だ。どちらにしてもスマホを持ち歩かなければいけないため、高価なリモートコントロールとしてしか機能しないウエアラブル端末を、消費者があえて購入することはないかもしれない。

専門家は、ウエアラブル端末が本当の意味で離陸するのは、単独で使えるようになってから、との見方を示している。

フォレスターのアナリスト、トーマス・フッソン氏は少なくとも今後2─3年は「スマートウォッチは補完的な役割を果たし、スマホに取って代わることはない」と述べた。