松家卓弘さん、東大卒元プロ投手が高校教諭に「選手ではなれなかった一流になりたい」

東大卒の元プロ野球投手の松家卓弘さんが、4月からふるさと高松の高校で教鞭を執ることになった。世界史を中心に教えるという。
時事通信社

高松市出身で東大卒の元プロ野球投手の松家卓弘(まつか・たかひろ)さん(32)が、4月からふるさと高松の高校で教鞭を執ることになった。香川県教育委員会が3月23日、松家さんを教諭として新規採用、県立香川中央高(高松市)に赴任すると発表した。世界史を中心に教えるという。

毎日新聞によると、松家さんは日ハム時代に新人育成担当と話す中で、教育に関心を抱いたという。2013年4月から東洋大の通信課程で学び、地歴公民科の教員免許を取得。同郷の東大卒の知人が、収入を度外視して地域活性化のために汗を流す姿に感化されたことも、きっかけの一つだった。

サンスポによると、松家さんは取材に対し「野球をやめた後、一生懸命になれるのは人を育てる教員だと思い立ちました。地元を何とかしたいとの思いを生徒に伝えたい。選手ではなれなかった一流に、教員としてなりたい」と答え、意欲を示しているという。教員としての目標については「志を持って取り組める人間を育てたい」としており、勉強へのモチベーションに悩む生徒らに、自身の経験を伝える。

松家さんは、小学4年生のときから野球を始め、中学時代はエースとして県大会優勝を経験。高松高時代は甲子園出場こそ逃したものの、1999年には県大会準優勝、秋の四国大会で4強入りするなど「香川県内屈指の右腕」と呼ばれ活躍した。

プロからのドラフト打診もあったが、断って東大(経済学部)に現役合格。大学時代は故障に泣いたが、2004年にはドラフト9巡目で横浜(現DeNA)に指名され、東大史上5人目のプロ入りを果たした。最速は147キロ。指名当時、松家さんは「指名がなければ野球と決別するだけ。心の準備はできていた」と語っていた

プロ入団後も苦しい時期が続いたが、2009年に入団5年目にして1軍デビュー。同年11月にトレードで日本ハムに移籍したが振るわず、2012年に戦力外通知を受けた。1軍成績は、通算14試合で0勝1敗。

2013年にはロサンゼルスに渡り、自主トレを開始。同年4月にはアメリカ独立リーグのチームと契約を結んだが、5月に解雇となっていた。

プロ野球キャンプ・紅白戦に登板した日本ハムの松家卓弘(2011年02月19日、沖縄県国頭村)

松家さんは2014年11月から高松北高野球部のコーチに就任しており、同校から広島にドラフト3位で入団した塹江敦哉(ほりえ・あつや)投手(18)に、日ハム時代の同僚・ダルビッシュ有から教わったとされるスライダーを伝授している。県教育委員会担当者は松家さんに対して、「将来的には高校野球の指導者として活躍が期待される」と、期待を寄せている。

【関連記事】

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています