足立康史・衆院議員、元秘書から残業代700万円支払い求められ「ふざけるな」(発言要旨)

足立康史・衆院議員(維新の党)が3月25日の衆議院厚生労働委員会で、元私設秘書から残業代の支払いを求められ「ふざけるな」と発言したことが話題になっている。
時事通信社

足立康史・衆院議員(維新の党)が3月25日の衆議院厚生労働委員会で、元私設秘書から残業代の支払いを求められ「ふざけるな」と発言したことが話題になっている。

足立氏は、安倍政権が2015年通常国会で労働基準法を改正して導入をめざす、労働時間ではなく成果で賃金を決める「高度プロフェッショナル制度」(ホワイトカラー・エグゼンプション、残業代ゼロ法案)に賛成の立場から、塩崎恭久・厚生労働相に質問する中で、以下のように述べた。

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足立:年収要件の下限など法律にも文言が入ってくると思いますが、私は職種によってはもっと低くてもいいと思っている。党のコンセンサスはありませんよ。経団連が一時400万円と言っていたのはどうかと思うが、少なくとも今の議論(されている年収水準)は高すぎる。たとえば営業職、営業職というと一般的すぎますね。私たち、秘書がおりますね。公設秘書は基準法の適用除外だそうです。私設秘書は残業代払ってらっしゃいますか?

塩崎:必要に応じて払っております。

足立:これね、普通、模範答弁としては「必要に応じて払う」というのは当たり前ですね。ちょっと私ごとですが、今日は私、覚悟を持って来てましてね。

まず自分のことを申し上げると、私の事務所は私設秘書を抱えてます。残業代払ってません。あ、まずいですかね。払ってません。先日、辞めたかつての秘書から、辞任通知兼請求書が来ました。「残業代払え」と。最高裁まで争うつもりでありますが。何が言いたいかと言いますと、多分みなさんわかるでしょう。私たちの政治家の事務所、残業代をきっちりと、労働基準法に沿って払えるような態勢かということを今日、問題提起したいと思っていてね。

この通知書にはこう書いてあります。読んでいいのかなあ。まあ、いいですよね。「メールやFacebookを用いた連絡文などの客観的資料に基づき当方で計算したところ、時間外勤務は4500時間を優に超え、700万円のお支払い」と。ふざけるな、と、まあ、思うわけですが、それでぜひ、委員長、これから労働基準法の改正案出てきますね。政務三役がそれぞれ自分のところの労働時間管理をどのようにしていて、割増賃金を払っているのか、払っていないのか。正確に労働基準法を守れているのか。ご答弁できる方はしてください。できない方は後刻、資料で出していただくようお願いしたいと思います。まず三役みなさんにお聞きします。

塩崎:追ってご報告申し上げます。

山本香苗・厚労副大臣:残業が生じるような働き方をしていない人を施設で雇っています。

永岡桂子・厚労副大臣:のちほど調べてご報告いたします。

橋本岳・厚労政務官:追ってご報告とさせていただきたいと思います。

高階恵美子・厚労政務官:調べましてご報告いたします。

足立:おそらくこういう請求書が来るような事務所はうちだけだと思いますが、何人かの議員と一般論として議論したんです。「足立さん、大変やなあ」ということをみんな言ってくれます。実態は、たとえば、メール、電話、Facebook、様々な方法で秘書たちとは連絡を取り合ってます。正直、24時間365日仕事してます。夜中でも起きます。朝でも起きます。そういう中で、秘書だけが労働基準法に沿って残業代を支払うということは私はできません。だからこそ、労働基準法を直していただくために国会議員になりました。おかしい?

私が文句があるのは労働基準法だけじゃないんですよ。道路交通法。阪神高速走ってごらんなさい。一車残らず違反していますよ。もしそこに掲げられているスピードを守ったら交通事故が起こります。みんなと一緒に走ったら違反してるんですよ。これが道路交通法の一部です。公職選挙法も結局、うちわがどうなったか知りませんが、法文上どう解釈していいかわからない問題がいっぱいあるわけです。そういう中で苦労しながらみんなやってるんだけど、法治国家であれば、道路交通法、公職選挙法、そして何よりも労働基準法については、しっかりまじめにやってる人が守れるような制度、これをつくる必要があると思っていて、そういう意味では今日テーマになっている…何かシーンとしてますが、大丈夫ですか? 経済実態、社会の実態、働き方の実態に即して考えたときに、実現可能な立法をしていくのが国会の責務だと思っています。

(中略)労働者を守る事項だけがバーッと制度化されていってね、私は今、事務所の経営者です。経営者が法律を守るのが大変なものが、野党の「残業代ゼロ法案」なるレッテル張りでマスコミを引っ掻き回してやるようでは、ぜひこの国会では、ぜひ政務三役の事務所の実態を明らかにしていくことを通じて…そらそうですよ、提案者ですから、今国会の労働基準法の審議を有意義なものにしていきたい。

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足立氏は朝日新聞の取材に、「違法性は全く無い」と述べた。

足立氏は26日、朝日新聞の取材に対しと改めて述べた。理由として、秘書は同法が労働時間などの規定を「適用しない」と定める「機密の事務を取り扱う者」にあたると主張した。「ただ、発言が誤解を招き、お騒がせしたことは心からおわびする」とも述べた。

ただ、秘書が「機密の事務を取り扱う者」にあたるかは、専門家の間で「実態を見ないと分からない。議員がどのような仕事を秘書にさせているかが重要だ」(労働問題に詳しい弁護士)との意見もある。

維新・足立氏、残業代求めた元秘書を非難「ふざけるな」:朝日新聞デジタルより 2015/03/26 23:24)

足立氏は公式サイトで「誤解を招くような発言をし、お騒がせしたことについては、心よりお詫びいたします」と謝罪し、以下のように説明した。

1.元秘書の残業代不払いについては、そもそも違法ではないとの認識の下に、委員会で発言したものであります。

当該元秘書は、議員の政治活動と一体不可分であって厳格な労働時間管理になじまない職務に従事していたものであり、労働基準法41条2号に「管理監督者」と並んで規定されている「機密の事務を取り扱う者」に該当すると認識しているところです。

2.折しも国会では、政府が導入しようとしている「高度プロフェッショナル制度」が”残業代ゼロ法案”等といったレッテルの下に批判に晒されているところ、同僚議員諸氏に労働社会の実態を踏まえた冷静な議論をお願いする観点から、労働時間管理になじまない職種の例として自らの議員秘書に言及した次第です。

「秘書残業代不払い宣言」等との報道に係る補足とお詫び | コラム | 衆議院議員 足立やすし Official Websiteより 2015/03/26)

足立氏は経済産業省職員を経て、2012年12月の衆院選で大阪9区から維新公認で初当選。2014年12月の衆院選では選挙区では敗れたが、比例で復活していた。

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