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ピース又吉『火花』が高評価も『三島由紀夫賞』逃す

2015年05月14日 22時12分 JST | 更新 2015年05月15日 19時51分 JST
時事通信社

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『三島由紀夫賞』逃すも... ピース又吉『火花』が高評価

新潮文芸振興会は14日、都内ホテルで新鋭作家の純文学作品に与えられる『第28回三島由紀夫賞』の選考会を行い、受賞作品に上田岳弘氏『私の恋人』を選出。お笑いコンビ・ピースの又吉直樹の『火花』が同賞候補となり、話題となったが受賞ならず。しかし、選考委員の辻原登氏は、「候補5作が非常に高いレベル」とした上で、「『火花』は落ちるはずのない作品が落ちたという感じ。私は、欠点は思いつかない」と述べた。

『火花』は又吉の文芸誌デビュー作として今年2月号の『文學界』に掲載。漫才師を題材にしており、辻原氏は「見事な職業小説であり、青春小説になっている。特に主人公と先輩の友情と葛藤、そこに絡んでくる女性。その描き方がリアルに描かれている。非常に高い評価を得た」「我々をグイグイ物語に引き込むような作品」と評した。

同賞の選考はまず、岡田利規氏の『現在地』と高橋弘希『指の骨』が受賞の対象から外れ、上田氏の『私の恋人』、又吉の『火花』、滝口悠生氏の『愛と人生』が残った。3作を5人の選考員が「5人が5様に分析」し、最終的に大賞は『私の恋人』と『火花』を多数決で決めることになり「3対2」で上田氏の受賞となった。

最初の選考で、辻原氏は『私の恋人』を推していたというが、「議論を進めていくうちに『火花』に変えた」と明かし、「『火花』の可能性というか、小説の豊かさ、面白さに強いシンパシーを感じた」という。

さらに辻原氏は「2作受賞でいいと思った」といい、「投票ではダメもとで2作に丸をした。2作受賞だったら、三島賞が面白くなったのではないかと今でも思っています」と笑顔で意見するも、結果は1作の受賞に。理由について「1つ選ぶことで、和やかに決まってしまうよりも、自分の文学観をぶつけ合うのが公正な選考に繋がると思う。2つあると、なんのために選考しているのか」と話した。

そして受賞作の『私の恋人』は「これからの文学のある一定の道を切り拓く作品であると考えていい」と評価し、「2作受賞は面白いとは思うが、『私の恋人』に決まってよかった」と語った。なお、『第28回山本周五郎賞』は、柚木麻子氏の『ナイルパーチの女子会』が受賞した。

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