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「潜水艦弾道ミサイルは大惨事を引き起こす」イギリス海軍兵がウィキリークスに告発

2015年05月20日 16時43分 JST

「潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の『トライデント』は、いつ大惨事を起こしてもおかしくない」

そう「ウィキリークス」で告発し、5月中旬から無断でイギリス海軍を離隊している上等水兵のウィリアム・マクナイリー上等水兵(25歳)が、「出頭の意思がある」とBBCに対して語った。

イギリス海軍は、現在「トライデント」を搭載したバンガード級原子力潜水艦4隻保有しているが、告発の中でマクナイリー上等水兵は、その一隻の「ヴィクトリアス」の火災のリスクや、放射能漏れ、セキュリティチェックの欠如などを暴露。またその他にも、4隻の原子力潜水艦の問題を多く指摘している。

mcneilly wikileaks

マクナイリー氏は、トライデントの危険性について書いた18ページにわたる報告書を「ウィキリークス」に投稿した。

告発の公開後マクナイリー氏は行方がわからなくなっており、イギリス海軍もマクナイリー氏の「居場所と無事について憂慮している」と述べていたが、マクナイリー氏はBBCの取材に応じ「逮捕されないよう身を隠しているわけではありません。2、3日以内にイギリスに戻り、警察に出頭するつもりです」と語っている

マクナイリー氏は「イギリスの市民と政府にトライデントの危険を警告するためにすべてを犠牲にしましたが、その報いが刑務所だというのは皮肉なことです。残念ですが、これが現実です。告発をすることには多くの犠牲が伴いますし、実行するのは簡単なことではありませんが、もっと多くの人が声をあげるようにならなければいけません」と述べる。

一方で、マクナイリー氏を訴追しないよう、イギリス国防省と刑事法院に求める嘆願も開始されており、「トライデントの内部告発者を支援しよう」というフェイスブックページも立ち上げられている。

マクナイリー氏が海軍に在籍していることを示すIDカード

トライデントを搭載する4隻の原子力潜水艦は、スコットランドにあるクライド海軍基地を拠点として活動している。マクナイリー氏は潜水艦で技術者として勤務しており、1年以上をかけて情報を集めてきたと述べている。彼は、最初に自分の懸念を上官に話したが、無視されたためレポートの公開を決断したという。

告発では、30項目にもわたって潜水艦のセキュリティ上の欠陥が指摘されており、「核によって大惨事が引き起こされる可能性が、これほど身近にあるということは衝撃的な事実だ。しかしこの危険なリスクを誰もが受け入れている」と書かれている。

マクナイリー氏の内部告発を受けて核の安全性についての調査が始まっているが、その一方でイギリス海軍は、マクナイリー氏の告発の多くは「まだ若い下級水兵の裏付けのない個人的見解であり、海軍はその内容にはまったく同意できない」と述べている。

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ウィリアム・マクナイリー氏は、HMSヴィクトリアスの哨戒任務にあたっていた。

告発の中でマクナイリー氏が強調する懸念の1つは、セキュリティチェックの甘さによって、潜水艦が「テロリストに攻撃され、未だかつてないような大惨事が起こること」だ。

たとえば、クライド海軍基地では、潜水艦の乗組員や作業を行う請負業者に対するセキュリティチェックがほとんど行われなかったという。また海軍のIDが毎年大量になくなっており、悪意のある者が「簡単にアクセス」できる状態だとも、マクナイリー氏は述べている。

さらに告発文書は、原子力潜水艦がフランス海軍の潜水艦に追突した事件についても触れている。そのときマクナイリー氏の上官は「全員死ぬと思った」と語ったという。

こういったマクナイリー氏の告発に対し、イギリス海軍の広報官は「イギリス海軍は、潜水艦のセキュリティと核の安全に真剣に取り組んでいます。我々は告発文書が許可なく公開されたこと、また文書の内容を徹底的に調査します」と反論する。

核に関する情報を提供する非営利団体、「ニュークリア・インフォメーション・サービス」のピーター・バート氏は次のように述べる。

「ウィリアム・マクナイリー氏は勇気ある若者です。彼は、コスト削減や人員不足、緩い管理体制によって引き起こされるリスクを暴露し、潜水艦の乗組員だけでなく、イギリス全体に貢献しました。

国防省の核プログラムは、民間の原子力エネルギー業界よりもはるかに緩い安全基準のもとに運営されています。なぜなら、国防省の核プログラムの大部分は、国防機密を口実に秘密にされていて、独立した監査官による検査が行われていないからです。

こうした状況にいますぐ歯止めをかけなければなりません。首相は、軍が保有している核の安全性の改革にただちに着手すべきです」


この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:水書健司、合原弘子/ガリレオ]

ウィリアム・マクナイリーレポート

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William McNeilly Trident Report