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瀬谷ルミ子さん「グローバル人材は、肩書きがなくても活躍できる人」武装解除の専門家

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RUMIKO SEYA
基調講演をする瀬谷ルミ子さん=16日、東京・六本木 | The Huffington Post
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ハフポスト日本版は5月16日、開設2周年を記念したイベント「未来のつくりかた――ダイバーシティの先へ」を都内で開催、働きかたや子育てなど多様な生きかたをテーマに、活発な議論を繰り広げた。NPO法人日本紛争予防センター理事長の瀬谷ルミ子さんで、「多様性のある社会へ、私たちができること――グローバルに活躍する人材とは」をテーマに基調講演。瀬谷さんは「グローバル人材とは、役職や所属などのしがらみを取っ払っても、どこででもボーダレスに活躍できる人材」と述べた。以下に講演の様子をレポートする。

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■紛争地で女性であることが有利だと思うことが多かった

私は20代前半からアフリカやアジア、中東の紛争地で、壊れた社会やコミュニティを再生すること、平和構築を専門に仕事をしてきました。紛争地では、異なる人種や宗教、そして男女など様々なカテゴリーが乱立しています。ただ、それは必ずしも多様性というポジティブなものではなくて、カテゴリーが分断され、互いが対立したり緊張状態を抱えたりしているネガティブな状態です。私の仕事は、そのように分断された社会で多様性を再構築することです。それぞれポジティブな関係性を築ける仕組みを作り、人を育てるということを現場で行っています。

多様性を再構築する上で大事なのは、性別や人種等の違いが存在するということを踏まえたうえで、違いが有効に活用できる方法をまず見つけることです。

紛争地で女性として働くことは危なくないかと聞かれることがあるんですが、逆に私は女性であることが有利に働いてきたと思うことが多かったです。

紛争の一番の被害者は女性と子供です。物理的な力がなかったり、社会背景によって、例えば特定の宗教では女性が表立てに声を上げることをよしとしなかったりする。長老たちや政治家たちが男性なので、女性の被害の声を表に出す仕組みがそもそもない社会もあります。一方、加害者の多くは男性です。被害を受けた女性や子供は大きな物理的・心理的な傷を負っており、そこに男性の人間が援助関係者として行くと、とても警戒してしまったり怯えてしまったりするんです。そこに私が行くと、同じ女性だったら自分たちのことを聞いてくれるんじゃないかと心を開いてくれるんです。

私自身は、多様性を身近に感じる機会が限られていた生い立ちです。田舎出身で、外国人も周りにおらず、世界の出来事を知る機会もあまりありませんでした。かつて私には取りえもなく、他人と同じことをやっていたら自分は生きていけなのでは、というプレッシャーがありました。外の世界で自分しかできないことを見つけようと思い、紛争地で働くことを仕事に選びました。

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基調講演をする瀬谷ルミ子さん=16日、東京・六本木

■学歴よりも「何がやりたかったのかが見える」キャリアを

紛争現場では、様々な人種やバックグラウンドの人がいます。そこで飛び抜けて優秀な人たちに数多く会いました。例えば今は国連で働いているけれども、そこ以外でもやっていけると感じさせる人たちでした。よく、「グローバル人材」とは何かと聞かれます。世の中には、様々な垣根が存在しますが、私は国境だけでなく役職や所属、肩書などのしがらみを取っ払っても、どこででもボーダレスに活躍できる人材がグローバルに活躍する人材だと思っています。日本で取り沙汰される学歴や出身は、実際の現場では全く関係ないんです。歩んできたキャリアから、その人が大事にしてきた強みや、何にこだわって一歩一歩を積み重ねてきたのかということを一番重視します。

逆に、日本でしか働いたことがないけれど、海外の現場で活躍できるはずだと思える人も日本に多くいると、経験から分かってきました。日本にいると、国際貢献って自分たちは関係ないとか、国際的な仕事にはあまりなじみがないという人も少なくないといと思います。しかし、ちょっと一歩足を踏み出してその仕事について調べてみるとか、その分野で働いている人に話を聞いてみるだけでも、自分の頭の中で化学反応が起きて、見える世界が変わってくると思います。

日本でシステムエンジニアとしてIT分野で働いていた知り合いが、国際協力に関心があるからキャリアチェンジを考えていると聞き、アフリカに連れて行きました。ソマリアの治安分析のためのデータベースを国連と一緒に作ってもらいました。

その人は、自分が国際的な現場で役立つスキルを持っているとそれほど思っていませんでした。しかし、一歩垣根を越えるだけで国連職員や現地政府などから専門家として重宝されるのです。

人生で自分がこれだけはやらないと後悔するのではないかというものを選ぶ。人生を選ぶ選択肢って、世界の全ての人が持っているものではないんです。紛争地では、自分でこういう仕事に就きたいと思っても、そもそも学校にも行けなかったりします。

■自分の「これだけ」選んでもらえれば

私たちが支援していた南スーダンの子供たちは、親がいなくて路上生活をしていました。絶望感いっぱいで、シンナーを吸ってそれを忘れていました。そんな子供たちに何が欲しいか聞くと、「学校に行きたい」って言うんです。私たちは自分の人生でいろんな希望を選べるという選択肢をどれだけ意識しているのかと改めて感じますし、自分の手の中にある「人生を選ぶ権利」を生かしていきたいと思います。

日本でも、自分の頭の中で作ってしまったカテゴリーはいっぱいあると思うんです。独身か既婚か、男性か女性かとか。けれども、それを踏み越えるための垣根はどこにあるのか、それは越えられるのか。そして、それを越えるために自分は何を身につけるのか、どういう視点を持つべきかまず意識して、その中から自分の生き方や選択肢というものを生かしていくためのきっかけを持ってもらえればいいと思います。

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