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翁長雄志・沖縄知事「基地がなくなれば沖縄は大きく発展する」【会見詳報】

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普天間基地の県内移設(新辺野古基地建設)に反対を掲げ、安倍政権と対立している沖縄県の翁長雄志知事が5月20日、東京の日本外国特派員協会で会見した。4月17日に開かれた安倍首相との会談を踏まえ、5月27日から予定しているアメリカ訪問を前に「辺野古が唯一の解決策」とする日本政府を「日本国の政治の堕落ではないか」と批判した。

また、基地があるために、海外からの投資などが呼び込みにくくなっているとして「基地が沖縄発展の最大の阻害要因」と、沖縄に在日米軍基地の7割以上が集中する現状の是正を重ねて求めた。

主な内容は以下のとおり。

■「海上での銃剣とブルドーザーで基地建設」

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【冒頭発言】

まず沖縄の簡単な歴史から。約500年に及ぶ琉球王朝の全盛期の時代がありました。日本、中国、東南アジアの貿易の中心になるんだとやってきました。大交易時代、ベトナムの博物館には600年前に琉球人が来たという年表もありましたし、中国では福州市に、琉球人の墓を今も地域の人が管理している。北京には「琉球学館」がありまして、琉球のエリートたちがオブザーバーで勉強させてもらっていた。

ペリーは1853年に初めて浦賀に来航します。ペリーはその前後、5回沖縄に立ち寄っています。85日間滞在して、1854年には独立国としての琉球と、琉米修好条約を結んでいます。その25年後の1879年、日本国に併合されました。私たちは琉球処分と呼んでいます。沖縄の言葉、ウチナーグチを禁止されました。「一人前の日本人になりなさい」と皇民化教育を受け、ある意味で日本国に尽くしてまいりました。

その先にあったのが70年前の沖縄の戦争です。唯一の地上戦で10万人を超える人が亡くなりました。日米軍人を合わせて、20万人を超える人々が沖縄で亡くなっています。戦前、戦中、戦後と、ある意味で日本国に操を尽くしてまいりました。その結果が、戦後すぐのサンフランシスコ講和条約で、日本の独立と引き換えに、約27年間、米軍の施政権下に差し出されたわけです。

米軍との過酷な自治権獲得闘争は想像を絶するものでした。当時は治外法権みたいなものでした。高等弁務官というものがいて、アメリカの民政府があって、そのもとに沖縄の立法院議会というものがあった。日本国憲法も児童福祉法の適用もありません。27年間、国会議員を出したこともありません。沖縄はその間、日本国民でもアメリカ国民でもありませんでした。インドネシア沖で沖縄の漁船が拿捕されたときには、三角の琉球旗を掲げましたが、何の役にも立ちませんでした。

ベトナム戦争には沖縄から毎日、B-52をはじめ、爆撃機が飛び立ちました。その間、日本は自分の力で平和を維持したかのごとく、経済成長を謳歌したわけです。


沖縄戦では民間人の犠牲者だけで10万人を数えた。(C)Getty Images

今回の普天間基地のあり方ですが、日本政府は「普天間基地の危険性除去が原点」と言っております。新辺野古基地が「唯一の解決策」と言っています。しかし沖縄から言わせますと、普天間基地の原点は戦後、住民が収容所に入れられているときに、米軍に強制拠出させられてできています。何も貸したわけではないんです。沖縄は今日まで自ら基地を提供したことは一度もございません。普天間もそれ以外の飛行場も基地も、戦後、沖縄県民が収容所に入れられているときに取られたか、住民が住んでいるときはブルドーザーと銃剣でどかして家も壊して、今の基地はすべてできている。

だから、自ら土地を奪っておいて、県民に大変な苦しみを今日まで与えておいて、「普天間基地が老朽化したから、世界一危険になったから、お前たちが負担しろ。辺野古が唯一の解決策だ。それが嫌なら代替案があるのか。日本の安全保障をどう考えているのか。沖縄県のことを考えているのか」という話がされている。私は、日本の安全保障や日米同盟を考える上で、日本国の政治の堕落ではないかと申し上げている。

新辺野古基地のボーリング調査が始まっていますが、海上での銃剣とブルドーザーで基地建設が始まったという様相です。私は、自国の自由、平等、人権、民主主義を守れない国が、どうして世界にその価値観を共有できるのか不思議であります。私は自由民主党の出身ですから、日米安保体制は大変理解をしております。日米同盟はもっと品格のある誇りのあるものでなければ、アジアのリーダーとして価値観を共有できないのではないか。

安倍総理と会談しました。安倍総理がおっしゃったのが「普天間、新辺野古をつくるが、そのかわり嘉手納以南は着々と返す。オスプレイも何機かは本土で訓練している。負担軽減を着々とやっているから理解していただけませんか」という話でした。

私からすると「総理、普天間が辺野古に移り、嘉手納以南が返還された場合、一体全体沖縄全体の基地はどれだけ減るのかご存知ですか。一昨年、小野寺五典防衛相(当時)と確認したところ、今の米軍専用施設の73.8%から73.1%になる。0.7%しか減らないんです。みんな県内移設だから。那覇軍港は2025年など、年限を決めて返還すると言っているが『またはその後』と書いてある。これまでも散々、そういったことに付き合わされてきたから、いつ返還するかわからないとよくわかる。返還に着々と進んでいるようには見えませんよ」ということです。

オスプレイも、実は2012年に配備される半年前から、沖縄に配備されるという話があった。当時の森本敏防衛相にも話をしに行きましたが「一切分かりません、聞いていません」と言う。しかし森本さんが学者時代の2010年に出した本に「2012年に12機、2013年に12機、配備される」と書いてある。一学者が書いた通りになっている。日本の防衛省はよっぽど能力がないか、県民や国民を欺いているか。本の中では「もともと辺野古はオスプレイを置くために設計しているので、100機以上配備される」とある。そうすると24機来て、何機か県外で訓練していますが、みんな沖縄に戻ってくる。それが見えるだけに、私は総理に「それはちょっと信用できませんよ」と話をさせてもらいました。

13年前、アメリカのラムズフェルド元国防長官が、普天間基地を見においでになりました。「これはダメだ、世界一危険だから早く移転しなさい」と言いました。菅義偉官房長官も再三再四、「普天間は危険だから辺野古に移す」と言っているんですが、ならば新辺野古基地が造れない場合、本当に普天間は固定化しますか。アメリカも日本もこれだけ危険だと言っている普天間を固定化出来るんですか。「そうしないと固定化するよ」と私たちを脅かしているもんですからね。安倍さんは返事がありませんでした。

■「また日本から切り離される恐怖心」


1972年5月15日、東京で開催された沖縄本土復帰の記念式典。(C)Getty Images

【質疑応答】

Q 沖縄は米軍基地が多い。つまり、沖縄は再び敵の標的になるのではないか。また犠牲者になるのではないか。なぜそういう議論にならないのか。

新辺野古基地が候補に上がったときは、アメリカのジョセフ・ナイさんやマイク・モチヅキさんといった人の「海兵隊を置かないほうがいい。中国のミサイルが発達しているので、あまりに中国に近すぎて、ミサイルが撃ち込まれたときには沖縄人の生命もさることながら、米軍の軍人、軍属も危ない。だからハワイやグアムに下がってもう1回抑止力を考えてください」という議論が、2、3年前まであった。残念ながら沖縄の前知事が新辺野古基地を承認してしまったので免罪符になった。

しかしまさしく、70年前に10万人も沖縄県民が亡くなった。講和条約で、あれだけ日本国に尽くした沖縄をさっさと切り離して独立してしまった。残された沖縄は27年間、無国籍人で過ごしてまいりました。万が一の時は、沖縄はまた切り離されるのではないかという恐怖心を持つのは当たり前でして、日本政府は「日本の防衛」という視点からしか発信しない。そういった中で、中央では一切無視されていますので、本土の方々にご理解を得るすべがない悔しさはあります。安倍さん、菅さん、中谷元防衛相とお話をしましたが、各種本土メディアの世論調査で「新辺野古基地は造ってはいけない」という意見が10%近いという数字が出ています。本土の方もやっと理解してくれたなあと、たいへんありがたい。

Q 仲井真前知事は2010年の選挙で新辺野古基地に反対した。その後、賛成に転じたが、どういうプレッシャーが彼にあったのか。

4年前、私は仲井真さんの選対部長で、県外移設ということで選挙をして当選した。2年半はまったく同じ考え方を発信していましたが、最後の1カ月であのように考え方を変えた。私にもまったく相談もないままでしたので、私からすると、そのいきさつはわかりません。

■「今のままでは辺野古はできない」


1995年10月21日、米兵による少女暴行事件の抗議集会。(C)TORU YAMANAKA/AFP/Getty Images

Q 日本政府が方針を転換しない場合、沖縄はどのような選択肢があると考えているのか。最後は沖縄独立論までいくのか。では本土の人間はどのようなことができるのか。本土の人にどのようなことを期待するか。

日米両国という大きな権力を相手に、小さな島が戦うのは大変なことです。しかし27年間の米軍の施政権下で、銃剣とブルドーザーで奪われた土地を、プライス勧告で1956年に強制買い上げするということになったんです。そのとき沖縄は裸足で芋を食べながら暮らすような貧しい生活ですから、のどから手が出るほどお金が欲しかったんでしょうけれど、保守も革新も関係なく、心を合わせ、その土地を売らなかったんです。だから沖縄の基地は民有地と行政が持っているわけです。だから反対という話ができるわけなんです。

辺野古は今のやり方でいくと、必ずできないようになるだろう。しかしどういう理不尽なやり方で建設をするか見えないので、予測は僭越ですから申し上げません。

独立というのは、議論としてはありますが、実際はなかなか簡単ではないというのはわかりますが、そういう決意のないところに沖縄はほっとけ、もっと基地を置いておけということになれば、それはわかりません。私たちも生きる権利がある。尊厳もある。なんで本土の皆さんは自分たちで基地を預からないで、沖縄に74%も基地を押し付けるか。日本の安全保障は日本国民全体で負担してください。仮想敵国からも沖縄だけに押し付ける安全保障は見透かされていると思いますよ。だから、沖縄が独立するというより、サンフランシスコ講和条約のように、日本が切り離すんじゃないかという心配の方がむしろある。

「辺野古基金」というものができましたが、7割が本土からの支援です。3億円に手が届くのが間近です。今まで無関心、無理解だった本土の方々も、沖縄県民と一緒に支援をしています。「これは変だよね、小さな沖縄県に、戦後70年間も、日本国に尽くして日本国を思ってる人々を、このような形で処遇するのは、日本国の品格としてどうかなあ。世界のリーダー、国連でももっとしっかりした地位を占めたいという日本が、自国民の人権も平等も民主主義も守ることができなくて、世界の共有の価値観を持ってリーダーになれるのか」。そうはなれないと思います。

今の新辺野古基地ができなくなった場合の日米同盟の危うさは見えてまいります。新辺野古基地を認めることとはまったく違います。私は沖縄の自由民主党ですから、何より沖縄の将来のために、沖縄がどうあるべきかをいちばん考えるのが私の仕事です。その中で日本全体との調和も考えていきたいと思います。

■「普天間は日本の国内問題ではない」

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Q おそらくアメリカでは多くの人が、訪米の目的が何なのかと不思議がっていると思う。何を達成したいのか。

私が行く前に日米首脳会談があって、オバマさんと安倍さんが共同宣言を出しました。「辺野古が唯一(の移転先)」という下院決議もありました。そういう最中に行くわけで、大変厳しいものを感じている。

それでも、辺野古に基地をつくるのは簡単ではないんです。ジュゴンが棲んで、美しいサンゴ礁があって、たくさんの魚が棲んでいて、そこを埋め立ててつくる作業は大変です。知事の権限、名護市長の権限、いろいろあります。土や石を運ぶために10tダンプが10万台、1年かけて走るんです。こんなものが世界のメディアで世界に知らしめられたら、日本の国が民主主義国家として世界から尊敬され愛されるか。その痛手は格段にあると思う。

なおかつ、年配の方々や若い青年たちが辺野古に集まる事態になったら、今は100人規模ですが、1000人規模になると思う。とても海上保安庁や機動隊で止めることは簡単ではない。絶対に造らせないということをアメリカには伝えたい。あなたがたが決めたからできると思ったら間違いですよ、と。

アメリカは「日本の国内問題だから私たちは知らない」と、僕らが行くと必ずそう言います。ところが日米同盟が崩れるということからすると国内問題ではないんです。アメリカさんは私からすると、今度の日米首脳会談でも辺野古には言及していない。本当は嫌々(辺野古案に同意しているの)ではないのかと私は推測しています。まず「できない」ということを伝えたい。私自身が安保体制を十二分に理解しているからこそ、理不尽なことで日米安保を壊してはいけない。誇りある日米安保を作り上げ、尊敬される日本、尊敬されるアメリカにならなければ、アジアの経済がさらに安定することはないだろう。

沖縄の将来の目標は平和の緩衝地帯としてこの場所があってもらいたい。日本の防衛のために基地をたくさん置くのではなく、アジアと日本の架け橋になると夢見ながらやっているところです。

■基地は沖縄発展の阻害要因

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Q 沖縄が300年前、豊臣秀吉の朝鮮出兵のとき、出兵を断った。300年後、沖縄に多くの米軍基地がある。沖縄は米軍基地なしで経済的に立ちゆくのか。

秀吉の朝鮮出兵のとき、確かに沖縄は断った。武器のない島ですから、参加することは不可能だった。その代わり、さとうきびやいろんな形でお金を出したと聞いています。私が「日本の独立の神話」と申し上げたのは、戦後27年、米軍の施政権下で、キャラウェイ高等弁務官が「沖縄の自治は神話だ」と言って、沖縄の自由や自治が保障されなかった。

今、沖縄から見ていると、日本の米軍基地の73.8%がありますので、日米地位協定がどういう内容かよくわかる。辺野古に基地を作ろうとしている時、サンゴ礁で45tのブロックを使っている。サンゴ礁を壊しているのではないか、調査させてくれと言っているが、日米地位協定をたてにとって調査させてくれない。工事の作業船、海上保安庁の警備艇、防衛局の調査船はみんな入っている。沖縄の調査船は入れないんですよ。米兵の犯罪もみなそうです。日米地位協定がいかに日本を縛っているか。防衛局に抗議に行ってもただ「米軍に伝えます」というだけ。当事者能力が日本にないのを見ると、「日本の独立は神話だ」とアメリカが言っているのではないかという感じさえ受ける。

「日本を取り戻す」「美しい日本」が、本当に出来上がろうとしているのか、もっと地に足がついた形で、自国民を愛して、日米安保を作って、誇り高いアジアのリーダーとしての日本をつくっていただきたい。

経済的に言いますと基地は沖縄発展の最大の阻害要因です。終戦直後は沖縄全体のGDPの50%ありました。復帰するときの基地関連収入は15%まで落ちています。今は4.9%ですよ。那覇市の新都心地区で言いますと、25年前に返還されるときは、52億円の軍用地料がありました。地主さんたちが「これがなくなったら私たちは生きていけるだろうか」と心配した。15年前、私が市長になったとき、区画整理をして街ができた。52億円が600億円になりました。雇用は米軍の家を直したり、芝生を刈ったりといったのが180人しかいなかったのが、今は1万8000人ですよ。税収は6億円から97億円、15倍に増えているんです。基地がなくなれば沖縄は大きく発展するんですよ。

基地関連収入なんか沖縄としては問題でない、むしろ経済からしたら迷惑な話なんですよ。基地が私たちを助けてきたというのは、貧しい時に食料を与えてもらったときはあったかもしれないが、それは日米両政府がやったことなので、沖縄からすると私たちの責任ではない。爆弾で産業も何もなくなって、それに頼るしかなかったんですが、今は跡地利用で世界の資本がホテルを作りたいといって県庁にやってくる。しかし基地があるから前に進まない。これだけ迷惑をかけていることを日米両政府にはわかっていただきたい。

仲井真さんのときに経済効果を試算しました。普天間や那覇軍港が返されたときの経済効果は、基地関連収入が500億円に対し、経済効果は8900億円。約20倍です。民間の施設が立ち上がり、ホテルやいろんなものができて、沖縄経済がぐーんと伸びていく。それを基地が邪魔しているんです。基地で沖縄が食っているというのは30〜40年前の話です。

■「自国民を守れない日本が『日本を取り戻す』?」

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Q 来週、アメリカ人に何を訴えるのか。

私は15年前の少女暴行事件のときに、抗議でワシントンDCに行った。カリフォルニアからサンフランシスコに言って、アメリカの基地閉鎖を見てきた。アメリカでは、閉鎖して、まず汚染された土壌を1〜2m削って、大きなタンクで地下水をくみ上げて15年経たないと街は造らせない。それぐらい軍隊の汚染とは大変なものだ。ところが今の日米地位協定は、アメリカ軍の中に私たちは入れない。環境問題だけでも調べさせてくれと言っているが、「前向きに考えます」という去年の協定は、具体化していません。

アメリカ並みにするためには、15年前から作業しないといけないのに、3年前に返してまちづくりをやるなどということは、子供達にとって大変なこと。いかに今のやり方が理不尽か。自国民を守ることができない、さわることもできない日本が、日本を取り戻すことができるのか。

Q 香港の記者です。日本は、中国の軍事力が脅威だから沖縄の基地が絶対必要だと言っている。中国は本当に脅威なのか。これからどう向き合うのか。

中谷防衛大臣と話した時「中国が脅威で、尖閣も含めてこれだけスクランブルがあり、だから自衛隊も石垣にも与那国にも置かなければいけない。日本の安全保障を考えて理解してほしい」と言われた。私たちが申し上げたのは「ソビエトとの冷戦構造のときは今の時代より平和だったんですか」と。積極的な平和主義ということでオバマさんと協定を結んで、これからは中東も視野に入れて沖縄の基地を使うと言っている。冷戦構造のときは「自由主義社会を守るから」といって基地を置かれたのに、いつの間にか中国、そして先々は中東も視野に入れるという。世界の平和のためにいつまでも我慢しろということになる。

アメリカの原潜に20発ぐらいのミサイルを積んでいるそうですが、そのうち1発の威力はヒロシマ・ナガサキの5000倍だそうです。中国の場合は少し劣るかもしれませんが、それでもおそらく500倍(の威力)はあるんじゃないでしょうか。それが嘉手納に飛んできたら、沖縄県民も軍人軍属もみんな一発でやられる。だからグアム、サイパンなど遠いところから防衛すべきだという議論がありました。ところが前知事が了解してしまったものですから、この論は後ろに下がってはおります。

ただ、言ってることは正しい。中国の脅威に本当に沖縄の基地を強化して対応できるのか、私からすると大変疑問です。なおかつオスプレイは輸送するための飛行機ですので、抑止力になるなどということはありえない。1県に日本の防衛のすべてを押し込めて本土が逃げたら、また沖縄が戦場になる。保守政治家として日米安保体制を認めますから、全体として平等になるのはOKですけど、74%も背負わせて「沖縄は何を考えているんだ」という話をするのは、よっぽど自制心のない人ではないか。

■沖縄県民の感情は教科書検定で変わった

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Q ここ4、5年、沖縄の県民は本土に差別されているということを言っている。知事自身も態度を変えたことを含め、沖縄県民の感情を決定的に変えたのはなんだったのか。沖縄経済への楽観的な見方もここ数年の新しい動きだが、北谷町のアメリカンビレッジは成功例だが、98年以降、沖縄の小売の売り上げは伸びていない。県内のゼロサムゲームの争いがあると思うが。

おそらくその原点は、8年ほど前の教科書検定だと思いますね。あのときの戦争で、沖縄は立派な日本国民になるんだということで、日本軍と一緒に戦いました。現実に現場ではお墓に逃げた沖縄の人を追い出して日本軍が隠れる。あるいは足手まといだから手榴弾で自決を迫る。私たちは祖父、祖母から聞かされてきた。しかし教科書検定でそれを消そうとした。そのとき、沖縄の人が10万人集まって「それはできない。祖父、祖母から話は聞いている」と、保守も革新も関係なく集まって抗議した。一定程度是正されたが、沖縄があれだけ操を尽くしても、こういう形で歴史の教科書を変えるとなると、沖縄からすると立つ瀬がない。私たちは何を誇りにして沖縄の地に立って「アジアに、世界に飛躍しろ」と言えるのか。

それ以降「何かおかしい」というのは、沖縄の人権の目覚めと同時に、アジアの経済成長なども絡み合ってきて出てきた。私たち自身が自分の足で歩きたい。自己決定権であって独立とは違いますが、地方自治のあり方といったものをもう1回考え直さなければいけないとなる。それでも基地の問題は、ある意味で「粛々と」沖縄県に降りてくる。私たちからすると、これはいかがなものかと思っている。

数字から見るとGDPは着実に伸びている。失業率も前は本土の2〜3倍だったのが、本土が4%なら沖縄は6%。1.5〜1.7倍です。観光客の数を含め、沖縄が元気になっていることは間違いない。なぜなら世界からの投資の金額が群を抜いている。台北に行ってきましたが、向こうの経団連の方々とお会いしたら「沖縄にはぜひ投資したいので、早めに規制を撤廃して欲しい」と熱烈なラブコールがあった。どこの国でもあります。いろんな数字で、沖縄は確かに力をつけたと思っています。

■「オスプレイはいずれ沖縄に戻ってくる」

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Q オスプレイについて。配備撤回を欧米で訴える気持ちはあるのか。横田基地のオスプレイ配備が大きな問題になっている。沖縄であれ日本のどこであれ配備するのは、日米同盟に対する大きなリスク。日本全体への配備をどう考えるか。

この原点も日米地位協定と関わりがある。日米合同委員会で決まったオスプレイ運用規定がある。市街地のヘリポートでは飛ばない。夜10時以降は飛ばないなど。しかしこの規定の次には「できる限り」と書いてある。最初の1年で沖縄県が調査して「300件ある」といったら、「努力してると思いますよ。できる限りやると言っていますから」。何の重みもならない。日米地位協定がこういうものだと、沖縄の人間にはわかるが、本土の方にはわからない。

フィリピンやミャンマーなど国力の小さい方が「絶対にアメリカには譲らない」という自立の気持ちを持っている。日本だけが、日本の安全保障、戦後70年の高度経済成長の中でアメリカと一緒に栄えていく。栄えていくのはいいですよ。しかしこの配備はおかしなこと。横田基地への配備も「沖縄への配慮」だと言っています。これを支える部隊は嘉手納にある。新辺野古でもごちゃごちゃしていて、余計に反対運動が起きるからと、横田に仮置きしている。落ち着いたら沖縄に来る。私たちは70年間、アメリカのやり方を見ているから、間違いなくそういうことになるだろうと思っている。

だから日米同盟というものは、本当に日本国民にとって品格のある誇れるものか。人間の尊厳とか生き方として本当に満足できるかということが、オスプレイの問題としてあるのではないか。

Q 新辺野古基地について、本土での関心は徐々に高くなっているのは事実だろう。日米同盟の観点から考えると、一方でこの問題を果たして米国民がどれほど認識しているのかはわからない。訪米を前に、米国民の関心についてどう考えるか。

地元紙もワシントンに記者を派遣して、ワシントンの情勢を把握している。向こうの方から聞くと、アメリカでも国を預かる上層部の人は、アーミテージさん、キャンベルさん、マイケル・グリーンさんもそういった問題意識を持っている。ところが米国民の関心は日本に対しても、沖縄に対しても、中東など世界の戦場でやっている状況を見ると、あるのかなあという感じ。

しかし沖縄からするとそういうわけにはいかない。日米安保体制はアメリカにとっても重要なはず。新辺野古基地が造れません、10年かけてできることはありえません。10年間、普天間を固定化するんですかということを踏まえて、訴えてこなければいけない。米国世論にも訴えなければいけません。私たちのパワーではそこまではいきませんが、しっかり米国を握っている方々には伝えられると思う。「もう1回、日米安保体制を品格あるものにするために新辺野古基地を考え直してください」と。

日本に考える余地があるかないかもわかりにくいですが、しかし「今のままではいけませんよ」とはっきり伝える中で、沖縄の基地のしわ寄せを解決すると同時に、アジアのあり方、沖縄が平和の緩衝地帯として頑張っていくということを伝えられればいい。

■「尖閣で小競り合いなら石垣環境に影響」

Q 香港の記者です。中国の李克強首相に会った感想を。尖閣をめぐる摩擦が続いているが、沖縄として中国とどのように付き合っていきたいのか。

李克強総理とお会いした。今は基地問題ばかりが表に現れていますが、沖縄はアジア経済戦略構想というもので、成長著しいアジアのダイナミズムを取り入れて、物流拠点、情報通信産業、国際環境リゾート、こういったものをいかにアジアの中心地にするか、一生懸命動いています。その一環として北京に行きましたし、台湾にも行きました。北京に行った理由は、河野洋平さんが戦後40数年にわたって日中友好の貿易交渉のために連続して行っていたのを評価され、私も長い付き合いなのでご一緒させてもらった。河野さんから、(李首相に)沖縄の観光・貿易問題を話す時間も与えられたので、福州との歴史的な意義を強調して定期便を飛ばして欲しいとお願いしたら、3週間後に許可が下りた。

沖縄は平和の緩衝地帯になりたいと言いました。13年前のNYのテロがあったとき、私たちは遠い国の出来事と思ったが、1〜2週間目に米軍基地があるから修学旅行が中止になったりして、沖縄の観光が3〜4割落ちていった。抜けだすのに2、3年かかりました。尖閣は、日本固有の領土だと思っていますが、万が一、今のような状況で小競り合いが起きたら、石垣観光が今順調で100万人の観光客がいるのに、100万人が10万人に落ちる。いざこざは起こしてもらいたくない。平和で我慢して、尖閣を考えていただかないと、勇み足でやってしまったら取り返しのつかないところに行くのではないか。

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【沖縄】揺れる辺野古(2014年)
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