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「ガンダム」の売上高、バンナムで過去最高767億円 根強い人気の理由は?

2015年06月03日 23時29分 JST
AFP via Getty Images
An 18-metre tall statue of popular TV animation hero Gundam is lit up at a park in Shizuoka city, 150km west of Tokyo on July 6, 2010 for a press preview. The huge statue of the life sized robot, which attracted over 3 million spectators in Tokyo last year, will be displayed for the commemoration of the 30th anniversary of the establishment of the Gundam plastic models. The statue will be opened to the public from July 24 through the early next year. AFP PHOTO/YOSHIKAZU TSUNO (Photo credit should read YOSHIKAZU TSUNO/AFP/Getty Images)

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いまだ巨大市場を形成 『妖怪ウォッチ』をも圧倒する『ガンダム』のコンテンツパワー

先日、バンダイナムコホールディングスの2015年通期決算が発表された。売上高は過去最高となる5654.9億円(昨年同期比11.4%増)で、その好調ぶりが話題となったが、注目したいのが、IP(キャラクターなどの知的財産)別売上高だ。昨年から大ブームを巻き起こしている『妖怪ウォッチ』の552億円に対し、『機動戦士ガンダム』が767億円と、いまだに「ガンダム」の強さが示されたのだ。この両者の巨大コンテンツを比較しつつ、あらためて「ガンダム」コンテンツを検証してみたい。

■『妖怪ウォッチ』より『ガンダム』の売上が高い理由

そもそも『妖怪ウォッチ』のブームは、ゲーム会社「レベルファイブ」から発売されたニンテンドー3DSのゲームソフトが大ブレイクしたことに始まり、コミック、アニメへと派生していった。妖怪メダルなどのオモチャに関してはバンダイだが、映像に関してはテレビ東京などとともにバンダイは制作グループの一員でしかなく、DVDは角川グループから販売。バンダイナムコの売上を事業別でみると、大きく「トイホビー事業」と「コンテンツ事業」のふたつに分けられるが、コンテンツ事業での『妖怪ウォッチ』はせいぜいバンダイチャンネルで再放送するぐらいだ。つまり552億円は、ほぼトイホビーの売上となる。トイホビー事業のキャラ別をみると、『妖怪ウォッチ』の552億円に対し、ガンダムは229億円。オモチャだけなら、『妖怪ウォッチ』が『ガンダム』を圧倒しているわけだ。

トイホビー事業では『妖怪ウォッチ』に差をつけられた『ガンダム』だが、前年が184億円だったことを考えると、順調に伸びているともいえる。プレミアムバンダイの高額ガンダムフィギュアは好調のようだし、ガンプラ(ガンダムのプラモデル)をはじめとする既存のオモチャも順調。しかし、『ガンダム』の売上を単純計算すると、コンテンツ事業では538億円となり、ガンダムの売上全体をけん引しているのは、コンテンツ事業であることはまちがいないだろう。また、ガンダムの制作で知られるアニメ制作会社「サンライズ」も、1994年にはバンダイ傘下に入っている。ガンダムに関しては、アニメの制作からオモチャの販売にいたるまで、すべてバンダイナムコが手中に収めている。

■各世代、各作品ごとに新規ファンを獲得

周知のとおり、1979年に放送が開始された『機動戦士ガンダム』(いわゆる“ファーストガンダム”)は、ガンプラの爆発的ヒットの相乗効果もあり、社会現象化までした。その後、『Z』『ZZ』、映画『逆襲のシャア』と続き、「宇宙世紀シリーズ」(宇宙世紀=物語中の年代設定)を中心に、90年代の『Gガンダム』『ガンダムW』『ガンダムX』『∀ガンダム』、2000年代以降の『ガンダムSEED』『ガンダムUC』『ガンダム00』『ガンダムAGE』と、テレビアニメや映画、OVAなどで続いていくことになる。“少年がモビルスーツに乗って戦っていくうちに人間として成長していく”という物語設定は基本的に同じだが、『ガンダムSEED』では、美少年・美少女キャラが多数登場。ファーストガンダムのように、少年少女が苦悩や葛藤など、人間関係を通して成長していく姿を描き、それまでのガンダム作品にはなかった“女子中高生”という新たなファン層までも獲得し、大ヒットした。

さらに今、こうした新しいガンダム作品を子どもと一緒に観て、熱が甦って再度ガンダムの世界に戻ってくる、という“カムバック系”の大人も増えているという。2月28日から2週間限定で上映された、ファーストガンダム直前の世界を描いた映画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い瞳のキャスバル』が、わずか全国13館の上映ながら、週末興行収入ランキングで7位に入ったのも、そのあらわれだろう。

■もはや『ガンダム』は通過儀礼のようなもの

また、バンダイナムコの決算報告書には、『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) episode7 「虹の彼方に」』が、映像コンテンツと音楽コンテンツを連動させて、昨年は好調だったと書かれているが、この作品は実は2007年に小説ではじまり、DVD化されたのは2010年。このDVDの第7弾が、2014年にヒットすることからもわかるように、それぞれの作品の息が非常に長いのもガンダムの特徴だ。こうして各世代、各作品のファンを巻き込みながら拡大し続け、ホビーの分野とも連動して商品開発をおこなっていく。そこにガンダムの最大の強みがありそうだ。

かつて筆者が、ガンダムの生みの親・富野由悠季監督にインタビューした際、「少年が男に成長するために必要なことを、ガンダムを通じて教えたかった」という趣旨のことを発言していた。極端にいえば、ガンダムは多くの少年が成長していくうえで、通り過ぎなければならない通過儀礼のようなものであり、もはや父から子へと伝承されていく、文化のひとつとさえいえるのではないだろうか。『妖怪ウォッチ』が、果たして『ポケモン』のように息の長い人気作品になるかどうかは、まだ誰にもわからない。しかし富野監督の名言「子どもを舐めちゃいけません」ではないが、ビジネス的にも「ガンダムを舐めちゃいけません」という状況は、今後もずっと続いていくように思われる。

(文/五目舎)

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