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「日本人は精神的な休養を取りましょう」 スリランカの農村開発活動家・アリヤラトネさん

2015年06月12日 01時09分 JST | 更新 2015年06月12日 01時33分 JST
Wataru Nakano

スリランカで半世紀以上にわたって仏教精神に基づいた農村開発をする民衆運動のリーダー、A.T.アリヤラトネさん(84)がこのほど来日し、ハフポスト日本版のインタビューに応じた。「リトル・ガンジー」として国外からも高く評価されているアリヤラトネさんは、日本人に向けて「思考を止めて、精神的な休養を取りましょう」と訴えた。

A.T.アリヤラトネ 1931年、スリランカ生まれ。1958年に教員養成学校を卒業後、コロンボの仏教系エリート高校の生物教師となる。1960年にサルボダヤ・シュラマダーナ運動を開始。1969年にアジアのノーベル平和賞と言われるラモン・マグサイサイ賞を受賞した。

アリヤラトネさんの運動の名は「サルボダヤ・シュラマダーナ」。教師だったアリヤラトネさんが、夏休みに生徒らを最下層の農村に連れていき、貧しい農民たちと一緒に野良で働いたことが始まり。貧しい農村での労働奉仕活動は他の高校や市民グループの間に拡大し、現在、スリランカ全農村の約半数で活動を展開している。農道やトイレ、灌漑づくりのほか、保育所や共同炊事、母親学級なども運営する。宗教的基盤が根底にあるが、多数派の仏教徒だけでなくヒンズー、イスラム、キリスト各教徒も加わっている。

――まず、「サルボダヤ・シュラマダーナ運動」について教えてください。

サルボダヤは「すべての人の目醒め」、シュラマダーナは「労働奉仕」を意味します。国や民族、宗教は関係ありません。世界から飢餓や病気、争い、無知をなくすことをめざす活動です。知識や財力、スキルを分かち合って社会を作り出します。すべての人が潜在力を持っているので、政治指導者が人々を導かないといけません。

――スリランカでは、26年間にわたった内戦が2009年に終結しました。

民族によって、意図せず社会が分断されました。いまはリハビリの時期です。国はまだまだ貧しいです。貧困という「共通の敵」に向かって、見識あるリーダーシップで立ち向かっていかないといけません。今年1月には大統領選があり、現職が敗れてシリセナ氏が当選しました。シリセナ氏は「一族支配と汚職の追放」を掲げていて、まっとうだと思います。人権状況も改善してきており、国際社会もそれを認めていると思います。

スリランカでは、一部の畑で多くの農薬が使われており、土壌や水が汚染されています。そして口に入る農作物が汚され、病気にもつながっています。森林も破壊されています。スリランカ政府が国民に教育をしないといけませんし、この分野で日本のさらなる協力を期待しています。

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アリヤラトネさん=東京都千代田区

――日本がいま、世界で果たすべき役割は何だと考えますか。

日本は技術大国です。日本はその技術を戦争のために使うのではなく、災害のために使ってほしいです。日本は原爆を投下され、最近では原発事故も経験しています。太陽光エネルギーを積極的に導入するなど、核エネルギーに代わるエネルギーを日本は開発できるでしょう。

ふたつめに、裕福な国である日本は、世界の貧困問題に対して、政治、経済の面でもっとリーダーシップを発揮してください。日本は、第二次世界大戦での敗戦から這い上がりました。現在、隣国の中国や韓国とのいざこざはありますが、世界的に日本は好意を持って受け止められています。そして、日本だけでなく、どの国でも必要なのは、「見識あるリーダーシップ」を持った政治的指導者です。

――日本人は働き過ぎですよね。

日本は、物質だけでなく精神的にも豊かになってもらいたいし、仏教の哲学をもっと知ってほしいです。これだけ発展したのですから、日本人はちょっと立ち止まったらいいと思います。朝でも夜でも、ちょっとの時間を取って、思考を止めて、「精神的な休養」を取りましょう。瞑想をすることで、心が穏やかになります。

――いま84歳ですが、元気に世界を回っています。その秘訣はなんでしょうか。

人の幸せのために尽くすと、心の奥で喜びを感じます。幸せに、さらには健康にもなります。貧困をなくしたいという一心でやっています。

今は新たな時代ですね。だれもが、昔に比べて簡単にコミュニケーションを取れるようになりました。孫がFaceboookを使っているのを見ると、そう感じます。そこに明るい未来があると信じています。

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