あるイタリア人教師の出した、夏休みの宿題が素晴らしい。さあコンピューターから離れよう。

イタリア北東部、アドリア海沿岸にある小さな町フェルモにある、ドン・ボスコ ハイスクール。この学校の教師チェーザレ・カタさんが出した夏休みの宿題リストが今、口コミでイタリア中に広がっている。

イタリア北東部、アドリア海沿岸にある小さな町フェルモにある、ドン・ボスコ ハイスクール。この学校の教師チェーザレ・カタさんが出した夏休みの宿題リストが今、口コミでイタリア中に広がっている。

カタさんは、生徒たちに必修の課題図書を伝える代わりに、素晴らしい人生を歩むために15の宿題を課した。それは、この先、数カ月の間で、「素晴らしい日の出を見る時間を持つこと」「将来について夢を描くこと」、そして「本を読むこと」だった。なかでも読書は、“もっとも素晴らしい反抗の手段”だという。

ハフポスト・イタリア版がカタさんにメールでインタビューしたところ、彼は自分の指導法は、2014年8月に亡くなったアメリカの人気俳優ロビン・ウイリアムズさんが、1989年に映画『いまを生きる』で演じた人物を手本にしていると語った。「生徒は、文学や哲学、文法といったものを、自分らしさを考える手段とすることがあります」とカタさんは答えた。「夏の輝きは、とくに思春期の生徒たちにとって、すごく精神的によい影響があると思います」

カタさんが生徒たちに出した夏休みの課題

以下が、カタさんFacebookページに載せたものだ。

1.ときどき、朝ひとりきりで海辺に散歩にでかけること。

日の光が水面に反射する様子を眺めて、自分が人生で最も愛する物事について考えよう。幸せになるんだ。

2.今年、一緒に学んだ新しい言葉をいくつかを使ってみること。

伝えられる言葉が多くなるほど、考えられることも多くなる。そして考えられることが多くなるほど、君はより自由になるよ。

3.できる限り多くの本を読むこと。

でも、読まなければならないからではないよ。夏は、冒険心や夢を駆り立ててくれるから読むんだ。本を開けば、君たちは空中を飛ぶツバメのような気分になるだろう。読書は、“もっと素晴らしい反抗の手段”だ。どの本を読むべきかアドバイスが欲しければ、私のところに来るように。

4.君をネガティブな気分にさせたり、空虚な気持ちに感じさせるような物事や状況、人々を避けること。

興味をかき立てる状況を見つけよう。君を理解し、励まし、ありのまま良さを認めてくれる友だちとの交流を探し求めよう。

5.もし悲しくなったり、恐れを感じたりしても、心配しないこと。

夏は――どんな素晴らしいことでも時にそうなるが―心がかき乱されることもある。自分の気持ちを理解する手段として、日記を書いてみるといいだろう(9月に、よかったら一緒に読んでみよう)。

6.踊ろう、恥かしがらずに。

近所のダンスフロアでも、自分の部屋でひとり踊ってもいい。夏はダンスだ。踊らないなんてばかげている。

7.少なくとも一度は、日の出を見ること。

静かに目を閉じて、深呼吸しよう。目を閉じて、感謝の気持ちを持とう。

8.たくさんスポーツすること。

9.素敵だなと思う人に出会ったら、できるかぎり、心から、丁寧に、その人に伝えること。

もしその人が理解できなくたって、どうってことはない。わからなくても、その人にとって大きな問題ではありません。そうすれば、2015年の、この輝く夏を、ともに過ごせるだろう(もし上手くいかなかったら、リストの8番へ戻ること)。

10.授業のノートを復習すること。

授業で学んだりことと、実際に自分に起こったことを比べてみよう。

11.太陽の光のように、幸せになること。

海のように扱いにくいヤツとなること。

12.罵らないこと。

常に行儀良く、親切であること。

13.悲しい物語の映画を観ること(できれば英語で)。

言語のスキルと、夢見る才能を高めることになるよ。クレジットを観終えた瞬間に、映画を終わらせてしまわないように、自分の人生でも実践してみよう。この夏に体験してみよう。

14.きらめく太陽を感じながら、もしくは暑い夜のひとときに、「自分の人生がどうしたいのか」また「どうあるべきか」夢を描こう。

諦めることのないように、夏の間は自分ができる全てのことをやろう。自分の夢を追い求めるために。

15.良い人であること。

6月初めにイタリア マルケ州ポルト・サン・ジョルジョビーチにて。写真はチェーザレ・カタの厚意による。

――何にインスピレーションを受けて、このリストを作ったのか?

カタさんは33歳で、7年間教師をしている。この15の宿題は、夏がもつ“魔法”から生まれたという。「私自身も、夏にインスピレーションを受けてきました。夏は特別で、魔法のような時間です。夏は、学校で学んだことが、私たち日常に深く関係していることを、より深く理解する手助けをしてくれます」と語った。

――カタさんはどのように夏を過ごしたか?

「学生だった頃の夏を、完璧に覚えています。数年前のことした。スポーツや水泳、恋愛関係、ダンス、夢といったものに満ちていました」とカタさんはハフポストに語った。彼はまた、本を読むことが重要な役割を担ったことも覚えている。「これまで夏に読んだ本は、来るべき日々を明るく照らしました。そして、愛する人や親しい人々、喜び、そして今後立ち向かう課題に、新たな鍵を与えてくれました。

その時期に、文学や芸術への関心が生まれたのです。それは今でも決して衰えていません」

カタ カンポフィローネ、イタリアにて 2014年6月。

カタさんのリストで、生徒たちに「一緒に学んだ、新しく学んだ言葉を使ってみること」をすすめている。新しい言葉には、以下のようなものがある。

1.Philosophy(love of wisdom)哲学(知恵を愛すること)

2.Agape(mystic love)神の愛(神秘的な愛)

3.Unconscious 無意識

4.Nostalgia 郷愁

5.Ontological 存在論の

6.Nihilism 虚無主義

7.Solipsism 独在論

8.Hermeneutics 解釈学

9.Humanities 人文科学

10.Absurdism 不条理主義

カタさんはまた、映画を見ることも勧めている。彼のお気に入りは、『ティファニーで朝食を』、『サウス・キャロライナ 愛と追憶の彼方』、『君に読む物語』、『ワン・デイ』、『マディソン郡の橋』、『永遠の愛に生きて』だという。

カタさんも、この夏、大きな計画をしている。初めての小説を書こうとしているのだ。フェスティバル用のシェークスピア劇を5作品、自身が監督を務めるという。多数の随筆も仕上げる。だが、自発性を残す余地も残すつもりでいる。

「夏は、何か予期せぬもの、また私たちの計画能力を超えたものが存在すると思います」とカタさんは述べた。「細かく全てを計画するのは好きではなく、夏の黄金の地平線が示してくれるでものを待つのが好きです」

この投稿は当初、ハフポスト・イタリア版に掲載された。現在、英語に翻訳され各国に展開されている

イタリアの猫たち